公務員で年収もよく、期間を満たせば税理士の資格も取得できる税務署職員の仕事は、外部から見るととても魅力的に見えるものです。

しかし、実際に働いてみると、思っていたよりも違う能力が求められたり、精神的にもきついことが多く、その結果せっかく公務員試験にも合格したのに、「辞めたい!」と思う人も多いものです。

ここでは、税務署職員ならではの悩みと、税務署職員からの転職先はどんなところがあるのかについて紹介していきます。

税務署職員を辞めたい人の悩み・理由

公務員の中でも知識で戦うイメージの強い税務署職員ですが、実際はそうではなく、そのギャップに悩んで辞めたいと考えている人が多いですよね。

では、税務署職員の人は、どんなことに悩んでいるのでしょうか。

悩み1:アタマの良さより、コミュニケーション能力が求められる

税務署内で電卓をたたいたり、パソコンとにらめっこしたり…といったようなデスクワークが多いイメージを持って税務署に入った人は、実務とのギャップに苦しんでいませんか?

税務署の中でも税務調査担当になると、1日のうちに机に座っている時間はほんのわずかで、あとの時間はすべて外出して調査を行うため、アタマの良さというよりも、調査上必要な人間関係を構築するチカラが求められますよね。

高校や大学でめちゃくちゃ成績がよくて、数学もいつもA評価だったような人が、コミュニケーションは苦手で、調査でなかなか結果を残せないという悩みを持っている人は多いのではないでしょうか。

悩み2:転勤が多い!田舎→都市→田舎の引っ越しに適応できなくて辛い

税務署職員は、癒着を防ぐために2~3年に1度くらいのペースで転勤が発生して、これが結構な負担になって辛いですよね。

税務署の一番の繁忙期は、確定申告が行われる3月であり、普通の公務員なら4月からの転勤となるところ、毎年7月に転勤となることが多く、子どもの転校の手続きなどにも苦戦している人が多いのではないでしょうか。

しかも、転勤になる地域も毎回代わり、郊外に勤務していたら、次の転勤は都市部、その次はまた郊外…というように、交代で郊外と都市部に転勤になるため、体と頭が適応できずに体調を崩す人もいるでしょう。

悩み3:徴収の仕事が精神的にキツすぎる

税務署職員の中でも、徴収部門に配属された瞬間に「辞めたい!」と強く思う人は多いでしょう。

税金滞納者に対して、税金の徴収を行う仕事がメインであり、そもそも払える余裕があれば払っている人も多い中で滞納している人は、税務署職員を「天敵」と思っていて、激しい口調でケンカ腰に怒鳴りつけてくることがよくありますよね。

一般企業のクレーム客と違って、税務署職員のほうには「法律」という盾があるにも関わらず、「税金=悪」と思い込んでいるような人を相手に徴収を行うのは、本当に辛いですよね。

実際、年収も800万円は手堅く、休みもとりやすくなった税務署職員を辞めたいと思って実際に辞めていく人は、この徴収の精神的負担に耐えられなかったという理由のケースが多くなっています。

「税務署職員を辞めたい!」から始める転職活動

せっかく合格した公務員試験。一般企業と比べても待遇はいいと思う。辞めるなんてもったいない…と思いながら、ひたすら我慢して働いていませんか?

でも、1度きりの人生ですから、精神的に病んでしまうその前に転職するという選択肢もあります。

でも、「税務署職員を辞めたい」と思っても、民間で通用するのか…今さら民間に転職して年収が下がってもやっていけるのか…不安になっていませんか?

では、税務署職員から転職した人たちは、どんな場面で活躍しているのでしょうか。

税理士事務所の税理士

税務署職員としての勤務経験がある年数に達すると、税理士の資格が与えられますよね。その税理士の資格を使って、税理士事務所の税理士になるという選択肢があります。

役職に就いていた人は、退職していきなり税理士事務所を立ち上げて独立する人もいますが、その土地で地盤を築いてイチから事業を始めるのはかなりハードルの高いことなので、実行する人は多くありません。

それよりも、元々ある税理士事務所に税理士として転職する方が現実的です。年収は600~700万円と、税務署職員時代よりはダウンしますが、精神の衛生は保ちやすいのが特徴です。

私立学校の経理

経理・会計の中でも少し特殊な学校会計・学校経理ですが、税務署職員としてのスキル・キャリアがあれば、問題なく適応できる範囲です。

私立の中学や高校などの経理・会計は、基本的に異動がなく(まれに高校・大学などの一貫教育があると、高校部門から大学部門に、またその逆の異動があるケースもあります)、転勤もないため、転勤が多くて辛い思いをしてきた税務署職員には向いている転職先です。

私立とはいえ、公務員に準じた給与体系のところが多いため、若干の年収ダウンの可能性はあるものの、安定した収入が期待できます。

地方銀行の営業職

税務署職員は、税金に関する経験的な知識が豊富であり、それはコンサルタント業務にも活かすことができます。

地方銀行の営業職になって、コンサルタント業務に携われば、税務署時代の経験を活かして顧客である中小企業の事業主などを中心に税金に関するアドバイスも行うことができます。

また、地方銀行とはいえ金融機関ですから、年収は税務署時代と同じくらいか、働き方によってはそれ以上になることも期待できます。

税務署職員からの転職体験談

公務員だし、一般企業に比べても専門性が高いことから給与も高いし、このまま定年まで我慢しているしかないかな…と思いながら、いろいろなことを我慢していませんか?

お金が絡むと、人が変わる人もいるように、税務署の仕事をしていると、お金でおかしくなってしまった人を説得したり、怒鳴られたり、本当に大変ですよね。

こんな思いを続けるくらいなら、まったく違う業種・職種に転職して、自分の適性に合った、無理なく続けられる仕事を探したほうがいい!と思いませんか?

実際に、税務署職員からでも異業種にチャレンジし、転職を成功させている人もいます。

税務署職員から私立高校の経理に転職(男性 当時20代後半)

高卒で公務員試験を受けて、税務署の職員となってから、安眠できた日は数えるほどでした。徴収の仕事に就いてからはそれが一層ひどくなって、一種の睡眠障害になったほどです。

原因を考えてみると、やはり仕事しか思い浮かばず、家族にも相談した結果、転職することになりました。

高校の経理の仕事は、事務長との相性がよければ、人間関係の環境としては非常に恵まれると思います。

インフラ関係の業者や銀行などとの取引はありますが、一般市民とのかかわりはほとんどなく、この点が私にとっては非常に精神衛生上よかったようで、ようやく安眠できるようになりました。

私立高校ではありますが、給与は公務員の学校事務の等級に準ずるような給与体系になっているため、年収でいうとかなり下がりはしたものの、非常に安定しています。

税務署職員から税理士事務所の事務職へ転職(女性 当時20代後半)

結婚を機に転勤が頻繁にある税務署を退職することになり、地元の税理士事務所に事務職として転職しました。

税金についての知識はかなりあるし、簿記の資格もあったので、かなり重宝されています。事務職の中でも、私だけ基本給がよく、その分仕事もまわってきますが、土日・祝日は休みだし、対人的なストレスもないので、転職してよかったと思います。

税務署職員からへ建設系コンサルティング営業に転職(男性 当時30代後半)

税務署の仕事には適応できていたと思いますが、小学生になった子どもが私に向かってはっきりと「もう転校はしたくない」と言ったことがきっかけで転職しました。

公務員から民間にうつることには抵抗がありましたが、年収を下げないためにも直接部門である営業職を選びました。

土地の活用を提案する仕事には、税金の問題も関連していることが多く、かなり踏み込んだアドバイスができることもあって、仕事は順調です。

年収は税務署にいた頃よりも10%くらいアップしましたが、インセンティブによるところも大きいので、その部分で年収が下がらないように日々努力しています。