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情操教育を担う音楽教師の仕事は、音大や教育大を経て、「教えたい!」という熱意がある人もいれば、自分がプロとして活躍したかったけれど、食い扶持がなくて先生になった…という人いますよね。

特に後者の場合は、教育現場があまりにも芸術とはかけ離れたものであり、しかも音楽活動は教師生活のごくごく一部で、こんなことなら音楽教師を辞めたい!と感じている人は多いでしょう。

ここでは、音楽教員として働いていたけれど、辞めたいと思った理由や、音楽教員の転職先について紹介します。

音楽教員が教師を辞めたい理由

音楽教師を辞めたい理由その1:進学校だと音楽の授業を休憩の時間だと思って真剣に受けない

音楽の授業を楽しみに待っている生徒もいれば、そのまったく正反対の生徒もいますよね。

特にその態度が顕著にあらわれるのが、進学校の生徒…。数学や英語など、受験に関係のある科目の時間はまったく寝ずに真剣に取り組んでいるのに、音楽の時間になると寝る、ふざける、歌わない、演奏しない…などの暴挙に出る学生もいて、本当に辛いですよね。

他の教科担当の先生に「○○君の授業態度どうですか?(ひどいですよね?)」と聞いてみた時に「とても真面目ですよ!」と返された時の無気力感…。

音楽の授業が勉強の休み時間のような扱いになっていて、自分が学校で音楽を教える意味を考えると、辞めたくなってしまう人も多いでしょう。

音楽教師を辞めたい理由その2:学担じゃないから児童生徒との距離が縮められず授業がうまくいかない

小学校の音楽の先生は、同じ小学校教諭でも専科と学担にわかれ、いわゆる「音楽の先生」は、担任を持たないために担任業務をしなくてもよいというメリットがある反面、担任がないからこその悩みがありますよね。

児童生徒はやっぱり学担の先生とのきずながあって、いろいろあっても学担の授業はちゃんと受けるものです。

でも、専科の教諭と児童生徒がふれあう時間は短く、いつまでたっても信頼関係を築きにくく、授業もどこか他人行儀…。

音楽の授業は、専科のデメリットがもろにでてしまう機会で、こんなことが続くと、転職を考えてしまう人も少なくありませんよね。

音楽教師を辞めたい理由その3:運動経験がないのに運動部の部活顧問になって辛い

学校の規模が小さいと、運動部・文化部のうち、運動部の勢力が強くて文化部は美術部だけ…という学校もあります。

そうなると、特に新任の音楽教諭は、自分がまったくやったことも、観戦したこともないような運動部の顧問にまわされて、本当に辛いですよね。

中学・高校では吹奏楽部だったのに、いきなりバレー部やバドミントン部などの運動部の顧問になれば、朝練・放課後練・土日練・遠征など、休む暇がなく、しかもルールもよくわからないので生徒からも無視され…いいことがなくて、辞めたい!と強く思う人がいて当然です。

音楽教師が学校を辞める時に気にしてしまうのは…

音楽教師が学校を退職して転職活動にうつる時、他の教師とはまた違った「心配事」がありますよね。

それは、小学校教諭よりも、中学校や高校の音楽教師の方に顕著にあらわれることが多いものです。

小学校教諭なら、専科から学担に鞍替えするという選択肢もありますが、高校や中学では、音楽教師を辞める=学校を辞めるということになってしまいます。

特に高校や中学の音楽教師の場合、教育大などの他にも音大を出てから音楽教師になったという人も多く、教育的には芸術性の高いものを受けてきたことで、一般企業で通用する音楽以外のスキルがないことが、大きな不安要素になってしまうでしょう。

音楽の勉強をしてきて、学校でも音楽のみを教えてきて、転職して一体どんな企業で働けるというのか…。

そして果たして一般企業で「元音楽教師」は受け入れてもらえるのか…。需要はあるのか…。

でも安心してください。次の章では、音楽教師の年収が、転職によって下がるばかりではないことを紹介します。

【年代別】音楽教師が転職したら…収入はこう変わる!

音楽教師は、自分の得意分野、特性を生かした仕事で、勤務先に恵まれれば天職だと思って熱心に取り組める人も多いかもしれません。

でも、勤務先の学校に恵まれなければ、上記のような理由から転職を考えてしまうものですよね。

先生としての収入を越える転職は、そもそもある特定の層を除いては低収入といわれる音楽分野でも可能なのか?

この問題について、20代~40代まで、年代別にまとめてみました。

20代なら音楽教師として民間で活躍できる…年収維持も可能

民間の大手音楽教室では、ピアノやオルガン、フルートなどの演奏を指導するインストラクターを募集しています。

このような仕事に転職できて、なおかつ生徒の募集も芳しければ、20代のうちなら年収を維持したままの転職が可能です。

30代は稼げる営業で年収アップも可能

音楽に携わってきたという経験を活かして、音楽楽器等の営業職に転職できれば、年収維持どころか、年収アップも実現できます。

特に今は転職希望者売り手市場ですから、特に直接部門の営業職なら30代前半~後半にかけてでも需要があります。

40代なら雇用形態にこだわらなければ転職可能…収入はダウンの傾向

40代になるとやはり転職するにしても年収を維持、もしくはアップするのは難しいでしょう。

そもそも公務員の40代年収は、一般企業の年収よりもかなり待遇がいいケースがほとんどですから、その一般企業の年収を越えるのは、非常にレアケースです。

それでも、雇用形態を正社員にこだわらなければ、転職の可能性は十分あります。

音楽教師が転職するなら…こんな仕事がおすすめ!

音楽教師は小学校なら学担・専科とさまざまな教育に携わっていくことができますが、中学校や高校だと音楽教科専門となりますから、潰しがききにくいと思いがちですよね。

でも、音楽のスキルや経験、教育者としてのスキルや経験を活かして、こんな仕事に転職することが可能です。

音楽教室の先生

民間の大手音楽教室では、元音楽教師も活躍しているように、音楽のスキル、そして教育者としてのスキルを活かすことができます。

「元音楽の先生」という肩書きは、保護者の間でも信頼性が高く、人気クラスになれば高収入にもつながります。

個人経営のピアノ教室

もう誰かの下で働くのはイヤ…やる気のない生徒には教えたくない…という場合、自分が個人事業主となってピアノ教室を開室するという方法もあります。

社会保険や年金などの手続きは個人で行う必要がありますが、経費などでうまくやりくりすれば、教員時代の収入に追いつくことも可能です。

最近はSNSで習い事がヒットする傾向にありますから、SNSの利用に長けている人は、それを活用して生徒募集すれば、生徒獲得にもつながります。

楽器の卸営業

いろいろな楽器に触れていきたい、音楽の世界で高収入を実現したい…という場合は、楽器店に楽器を卸す営業職になるという選択肢があります。

営業職は直接部門で売り上げが直に収入につながってきます。教員時代の知人・友人などの人脈を駆使して営業にあたれば、年齢にそれほど関係なく収入アップが実現できます。

教師から転職!教員を辞めたい方におすすめの転職先と転職成功の秘訣を解説
昔からの夢で教師になった方もたくさんいると思います。 しかし、現実はとても厳しく、「教師を辞めたい」「民間企業へ転職したい」と心が揺らいでいる方もいるのではないでしょ...

音楽教師からの転職体験談

小学校音楽教師から個人経営のピアノ教室の先生へ転職(30代前半・女性)

小学校では、美術と音楽の専科をしていましたが、学担を持たない私はどうしても子どもたちとの距離を縮められず、一部の子どもからは心ないことを言われることもあり、打たれ弱い私は10年という時間を区切りに転職しました。

今さら民間企業への転職には抵抗がありましたので、自営でピアノ教室を開講。生徒の獲得に苦戦していますが、近所の子どもたちの間で、自宅がきれいなこと、あまり厳しい指導をせずに音楽を楽しむことなどの噂が広まり、週に10名ほどの生徒を抱えています。

最近では大人になってピアノを始める男性や女性も多く、そのような方に向けて仕事終わりの時間帯も開講したことで、より年収アップにつながっていると感じています。

中学音楽教師から専門学校の教務事務へ転職(30代前半・女性)

中学での音楽の授業は、思春期の生徒ということもあって、苦労も多く、私が転職を決めたのは、そんな中でも部活指導対象だった軽音楽部が廃部になり、まったく経験のないバドミントン部の顧問に替えられたことです。

私自身経験もなく、まったく興味も関心もないスポーツに、土日、放課後、早朝の時間をとられ、授業準備もままならない状況に、「私が音楽教師を続ける意味って…」とふさぎこんでしまい、両親からのアドバイスもあって退職することにしました。

今は音楽の専門学校で教務事務をしています。その中でも私が担当しているのは広報です。

音楽に興味のある高校生に対し、魅力的な演奏をきかせたり、おすすめの音楽家やアーティストを紹介して入学者数を増やすことが楽しいです。

年収は20%ほど下がりましたが、部活指導もなく、時間外労働もほぼないので、プライベートで音楽を楽しむようにシフトしています。

高校音楽教師から楽器の卸営業に転職(20代後半・男性)

教育大から少ない男性陣の中で奮闘してきたものの、男性の音楽教師で、しかも女子高に配属されてしまい、学生にはからかわれるどころか、いじめともとれるような発言、行動をされ、いかに自分が教師に向いていなかったかと思い知りました。

転職するなら“第二新卒”が有利という情報を見て、行動するならはやいほうが…と思い、25歳で民間企業に転職。

楽器の営業になって、学校、楽器店を中心に営業をしています。この業界ではむしろ男性が多く、同期の社員とも仲良くなれて、環境は非常にいいです。

営業なので収入は月によって変動があるところが教員時代とは異なるところで、最初は違和感も持ちましたが、考え方を変えれば、自分で頑張った分が収入に反映されるわけですから、むしろやりがいを持って取り組んでいます。