語学力がある皆さんは、当然ながらその語学力を活かしたお仕事で活躍をしたいと願っておられると思います。

語学と言うとすぐに英語が思い浮かぶと思いますが、お隣の国の中国語は世界一母国語人口が多いという事は余り知られていません。

公用語としても英語に続いて世界第二位です。ですから、中国語力をお持ちの皆さんには、大きなチャンスがあります。

それでは中国語を活かせるお仕事や転職事情にはどんな特徴があるのかご紹介致しましょう!

まず、どこで働き、誰の為に仕事をするのかを考える

日本人だから日本で働くのは当たり前。でも外国語ができるとしたらどうでしょう。

中国語が話せるとしたら、中国や台湾(以降、中華圏と記載致します。)で働いてみたいと思う方もおられるのではないでしょうか。

どこで働き、誰の為に仕事をするのかという切り口で仕事を分類すると、とても分かり易く仕事を探すことができます。

日本で働くのか、中華圏で働くのか

就活をする時に、どこで働こうかと先ず考えますよね。

ご家族の兼ね合いで今のお住まいを離れることができない方もおられれば、全国どこでも転勤をいとわない方もおられることでしょう。

同じように、中国語能力をお持ちの方でも、日本国内で仕事をしたい方と、中華圏で仕事をしてみたいと思われる方に分かれるでしょう。

どちらに共通する仕事もありますが、どこで仕事をするかによっては少なからず求人のある仕事に違いがあります。

企業の求人は、その時点で必要な職種や条件を提示されていますが、必ずしもそれが永久に続くとは限りません。求人の段階では国内勤務だったとしても、ある時期に海外赴任を言い渡されるかもしれません。

逆に、海外勤務条件での求人だったとしても、国内に帰任させられることがあるかもしれません。

求人の職種と条件は、あくまでもその時点での企業側のニーズであって、永久的に保証された条件という訳ではないのです。

とはいえ、ご自身がどこで働きたいのかという事は、転職先を決定するプロセスでとても大事なポイントですし、求人の見つけ方も変わってきます。

そこで、日本で働きたいのか、中華圏の現地で働きたいのかを先ず決めて行動しましょう。

日本人を相手にするのか、中華圏の人を相手にするのか

働きたい場所を決めたら、次には中国語を誰に対して活かしたいのか考えてみましょう。

日本人である貴方ご自身が中国語を活かすのですから、日中双方の人達の間に入るお仕事に就くわけですが、日本人を顧客にするのか、中華圏の人を顧客するのかで、仕事にも自ずと違いがあります。

前項で述べた分類は勤務地をどこにするのかという分類で、ここで述べるのは誰に対して仕事をするのかという分類です。

4パターン分類による転職先

<日本に居住>:<中華圏に居住>
≪日本人が顧客≫:≪中国人が顧客≫

この様に、勤務地2パターンと、対象者2パターン、大きく分けて4つのパターンで分類すると、転職先の絞り込みがし易くなります。

こうして中国語を活かせる仕事の種類を分類してみましょう。

日本に居住して、日本人が顧客の仕事

日本に住んで、日本人を対象にして中国語を活かす仕事です。

最も典型的な仕事は通訳と翻訳業です。

一般企業に中国語の通訳者か翻訳者として採用されるケースはとても少ないのが現状です。一般企業では純然たる通訳や翻訳の仕事は、アウトソーシングするのが一般的だからです。

ですから、通訳者や翻訳者に特化して働きたい場合は、三つの方法になります。

1)フリーランスとして働く
2)人材派遣会社に登録して派遣先で働く
3)通訳翻訳専門会社に就職する

転職という観点から考えますと3の専門会社への就職ということになりますが、専門会社といえども正社員で人材募集する求人は少なく、フリーランスの翻訳者と契約しているケースが多い為、正社員入社は狭き門と言えます。

尚、通訳の場合は通訳士という国家資格があるので、資格を取られると有利です。

二つ目の典型的な仕事は、中国語を勉強したい日本人生徒に中国語を教える教師や講師の仕事です。

民間の中国語学校が一般的な就職先ですが、大学の外国語学部で教授を目指すというのも選択肢の一つです。

三つ目の典型的な仕事は旅行会社のツアーコンダクターです。

中国や台湾へのツアーに参加する日本人旅行者に同行して現地に赴き、堪能な中国語を活かして観光ガイドをする仕事です。
日本に住んで就職しますが、中華圏の都市に日本人旅行者と共に出張することが多い仕事です。

中国にビジネス展開している日本企業は多いのですが、中国語能力だけで転職するのはとても困難です。

一般企業は、一定の業務遂行能力にプラスして語学能力がある人材を求めるからです。

中でも中国の法務と財務は、日本と違って特殊性があるので、中国法務と中国財務に関する識見がある方はとても有利と言えます。

お示ししました事例全てに言える事ですが、中国語に堪能な日本の皆さんの最大のライバルは日本に居住する日本語のできる中国の人達です。

日本に居住して不自由なく日本語が使える中国の人達は、皆さんと同様に日中両国の言葉ができる存在です。その上ネイティブなので中国語力は確かです。

ですから、中国語力だけでなく、その他の能力で個性を発揮する事がポイントになります。

日本に住んで、中国人が顧客の仕事

日本に住んで、日本に居住する中華圏の国の人達か、観光で来日する中華圏の国の人達を対象にして中国語を活かす仕事です。

最も典型的な例は各種の接客の仕事です。主としていわゆる中国からのインバウンド需要に対応する仕事です。

空港、ホテル、百貨店、家電量販店、一般小売店、飲食店、観光地案内所など、日本にいる中華圏の人達に対する接客業です。これは業種の特定ができない位に幅が広い求人がありますが、採用人数は各求人共に少ないと言えます。

次に、日本語学校の教師や講師の仕事です。日本語学校は日本に住んでいる外国人たちに日本語を教える場所ですから、中国の人たちだけとは限りませんが、中国人学生比率が高い日本語学校の場合は、中国語ができる人材が求められています。

教師講師以外にスタッフの求人という場合もあります。

三つ目の例としては、中国のWEB上に越境EC(電子商取引)出店している日本企業のカスタマーセンターという仕事です。

顧客は中華圏の一般消費者の皆さんで、中華圏のWEBで日本の商品を購入するお客様からの電話によるコールセンターでのお仕事です。中国でもECは年々増加しています。

中でも昨今、品質の良い日本製品を越境ECで購入する消費者が増えているのに伴い、カスタマーサービスとして中国語で消費者からの問い合わせに対応するお仕事です。

2015年の流行語大賞にもなった“爆買い”。中国からの来日観光客が大量に商品を買い込みことを称した言葉です。

ところが中国政府が帰国時の関税率を大幅に上げた事に伴い“爆買い”は急速に減少してしまいました。

その一方で中国大陸からのインバウンド需要は物を購入することとは違う、体験型の付加価値消費に移行しています。

日本独自の文化や歴史を体験する旅行者が増えているのです。相撲部屋訪問や、禅寺での座禅、日本茶の体験など、文化的な場所での中国語需要は高まっています。

爆買いだけが中国人観光客のインバウンド需要ではなくなっている現在、中国語が求められる業界や職種の幅も広がっています。

中華圏に住んで、日本人が顧客の仕事

中華圏に駐在して主として日本人居住者に対して仕事をする場合の仕事です。

最も典型的な例は、日本人駐在員家族に対するサービスを事業とする企業の仕事です。

中国語がうまく話せない日本人ご家族のご要望を日本語でお聞きして、中国語で現地対応する仕事のケースです。

多くは、日本人専用マンション内スタッフ、日本人対応不動産会社、日本人幼児対象の保育園や幼稚園、日本人小中高生対象の塾、日本人対象の旅行会社、日系企業対象の人材派遣会社、日本人専用の病院などがあげられます。

又、日本人駐在員や旅行者向けに日本語のフリーペーパーを製作し配布している会社もあります。

配布対象は日本人ですが、現地での取材、撮影、編集、構成、印刷、発行などのバックヤード業務は現地会社と行いますから、中国語能力が必要になります。

広告会社の場合が多く、紙媒体以外に独自にWEB展開していたり、顧客に中国語でホームページを製作する仕事を請け負っている場合もあります。

クリエイティブな仕事に就きたい方にはお勧めです。

主として日本人観光客を対象とした現地駐在ツアーコンダクターという仕事もあります。

日本から添乗員同行のツアーでは無いケースでは、空港で観光客の到着を出迎えて、そこから滞在中のアテンドをするお仕事です。現地駐在員家族に対しての仕事もあります。

いずれにしても、中国語がままならない日本の人たちに対して、中国語堪能者としてサポートをしてさしあげるというスタンスの仕事です。

中華圏に住んで、中国人が顧客の仕事

最後に、最も中国語が活かせる環境で活躍する仕事です。

中華圏に駐在して、中国人を相手にする仕事です。

中華圏に進出している日本企業に就職するか、現地企業に就職するか、就職先の国籍は大きく二つに分かれます。

このパターンは、業種や職種を特定する事が困難です。言い換えればあらゆる業種であらゆる職種の人材が求人されています。

現実的に既に現地に進出している企業が多い上に、多くの企業では定期採用者を育成し、任地に赴任させるので、転職での求人はとても狭き門と言えます。

ですから、このパターンでの即戦力人材の求人は、新規に中華圏に事業展開する企業が狙い目と言えます。

語学力を活かした転職を望む人の盲点

外国語力がある方には、ご注意頂きたいポイントがあります。

それは、語学力だけで仕事が成立すると錯覚してしまう事です。

企業の仕事は、経営目的を達成する為に行われています。民間企業であれば最も大事な最終目的は自ずと利益の追求です。その究極目的を達成する為に、様々な部署で様々な職種の人達が日々職務を遂行しています。

海外事業を全く行っていない企業にとっては、日本語だけでコミュニケーションが可能ですから、特別語学能力を必要としません。

一方グローバル展開している企業では、複数言語でコミュニケートしなければならないので、語学能力のある人材が求められます。

しかし、言語はコミュニケーションする為の手段です。これが目的ではありません。

中国語能力があると言っても、それは日中双方の人と会話する為であって、事業目的そのものではありません。つまり、語学力と共にプラスアルファのスキルが求められているという事です。

最大の誤解は、語学能力さえあれば仕事ができると錯覚してしまう事です。

仕事は語学の次にあるのです。語学能力だけで評価が可能なのは、ストイックにバイリンガル能力を求められる通訳や翻訳に限ります。それ以外の場合は、中国語を話せた上でこなさなければならない業務があるのです。

この事は必ずご留意頂き転職先を選択して下さい。

中国語が話せたり読み書きできる以外にどんな仕事をする能力があるのかが問われるのです。

中国語能力を活かすとしても、今までどんな経験をしてどんなスキルを育んで来たのかは当然ながら評価されます。
重要なポイントです。

ひところに比べて日本企業の中国熱は冷めているとはいえ、日中の経済関係は不可分の存在です。

ご自身の中国語能力を是非活かして、良好な日中関係が進展する様に、新天地で活躍されることをお祈りしております。