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15時から26時まで、この11時間に、今日も悩める人たちがポツポツやってくる。

「カフェ Pian piano(ピアンピアーノ)」

イタリア語で「ゆっくり」という意味。

「自然体、あるがまま、無理をせず、のんびりと生きたい!」

そう思いませんか?

一生懸命努力して頑張るのもいい、だけどたまに休まないと疲れます。

「だから『自分なりに精一杯』がいい!」

こころからそう思うあなたをを応援したい、

オーナのサキさんの願いを込めたカフェなのです。

『想い』は何処に?

「カフェ Pian piano(ピアンピアーノ)」

駅そばのカフェならではだろう、「外国帰り」の人が「ひと休み」をしていく。

まだ、日が高い午後4時過ぎにこうしたお客さまが「考え事」をするためにやって来る。

スーツケースをゴロゴロ引きずって、アキラはカフェに入った。お土産がやたらに増え、スーツケースの重みが増している。
アキラは思いつめた表情をして席を探した。

テーブル席は3つあるが、すでに主婦たちに占領されている。残りはオーナのサキがほほえみを浮かべている前のカウンター4席だけという状況だった。

サキサキ

いらっしゃいませ、こちらでよければどうぞ

と、カウンター席の真ん中の席を薦めている。

素直に先の前にすわったアキラは愛想よく話し始めた。

アキラアキラ

いつからこのお店はできたの?

サキサキ

開店して半年程度なんですよ。

それはそうと、お客さん、とても素敵なネクタイピンですね。どうされたのですか?

アキラアキラ

あ、これは・・・高等専門学校を卒業したときにお祝いでもらったんだよ。

お世話になった先生かね。卒業祝いと就職祝いだって、ゼミ生全員に。

そして、うつむきがちにぽつりと言った。

アキラアキラ

でも、せっかく紹介してもらった会社に就職できたけど、もう限界・・・

まだ幼さが残る顔立ちに、紺地にグレーのストライプを施したのビジネススーツはまだ早いように見える。

アキラはもの珍しそうにメニューを眺め始めた。

普通の飲み屋と異なり、今まで食べたことがないメニューばかり書かれている。

アキラアキラ

この『ベルギー・ビール』って初めてなんだけど?普通のビールとどう違うの?

サキサキ

ビールなんですけど香りも口当たりもがワインに近いんですよ。独特の香ばしさがあるんです。

ヨーロッパではとても人気が、特に女性から絶大な支持があるんですよ。

アキラアキラ

じゃ、『ベルギー・ビール』のお勧めの味で!

サキは冷蔵庫からビールを一つ取り出した。

コップにビールを注き、残りのを華やかなラベルのビンとともにアキラに差し出した。

ラベルにはなにやら書かれているが、アキラには読めない。

サキサキ

『ベルギー・ビール』の中でもおすすめがこのフランポワーズです。

気になりますか?「Directeur de la vie」はフランス語で「人生の舵(かじ)取り」という意味らしいですよ。

自分が『人生の舵取り』をする

そして、声のトーンを落として続けた。

サキサキ

お客さんは、ご自分で『人生の舵取り』をされてますか?

アキラは目を見開いてサキを見つめた。まるで心の中が見透かされているようだ。

アキラアキラ

さっきのちょっと聞こえちゃったかな・・・ま、いっか。別に隠すことでもないし。

そういってアキラはビールを一口含んだ。

アキラアキラ

僕はゲームを作りたくって高等専門学校(高専)に入ったんだよ。

でも、思っていたよりもプログラミングが難しくって・・・

C言語っていうんだけど、全然できなかったんだよ。しかも数学も本当に難しい。だから成績よくなかったんだよ。

だから、ゲームなんて、とてもじゃないけどできないって言われちゃったんだよ。

サキサキ

誰にですか?

アキラアキラ

先生や友達からだよ。

だから、就職は製造業で電子回路の設計を担当することにしたんだよ。

サキサキ

電子回路って、家電とかで利用されているものですよね?

アキラアキラ

お姉さん、詳しいね

サキサキ

こう見えても、一応、職業訓練学校で教員をしていたことがあるんですよ。

CAD(図面を書くソフトウェア)を使って図面を描くんですよね?

アキラアキラ

え・・そういわれても返しに困るんだけどね。

サキサキ

わたしは『サキ』といいます。お客様のお名前お伺いしてよいですか?

アキラアキラ

『アキラ』

アキラはベルギー・ビールを呑みながら、すでにもう酔いが回ってきているようだ。赤い顔をしながら、身の上話をした。

現在23歳。母子家庭に育ったこともあり、早く就職をして家族を楽にしたいという思いが強かった。

中学校の担任の先生の勧めもあり、高専であれば確実に就職先があるため、進学することにした。

高専のお金はアキラがアルバイトをして自活していた。そのため成績悪くはないものの、勉強に時間が取れるわけでもないため、ゲーム・プログラマーの道を断念せざるを得なくなったという。

アキラ自身はもともと絵を描くのは得意だったので、設計図を描くのは楽しくて仕方がなかったという。

どうせ仕事をするなら、自分が楽しめるほうがいい、と考え、ゼミで指導してもらった先生の紹介で製造業の中小企業に就職した。

そして、入社と同時に電子回路設計の部署に配属になったということらしい。

アキラアキラ

実際の仕事は設計図を描くわけもなく、すべて外注なんだ。

しかも最近は人件費の安いアジア圏に発注しているしね。

言葉はもちろん通じないけれど、働く意識が日本とはまるで違う。日本人は8割がた仕事をするんだけど、あちらでは8割がた仕事をしないんだよ。

これでは、思うような品質の図面が来るわけでもない。

アキラはそういってうつむいた。

アキラアキラ

でも全部僕が悪いんだよね・・・やっぱり

アキラはうつむいたまま、顔を上げない。

アキラアキラ

転職っていっても、「経験」がなければどうにもならない。そんなことくらいわかってるんだ。

だけど、最近「テンショク」という言葉に反応しちゃうんだよ。

【ポイント1】
強みを「職」につなげる

アキラは高専まで順調に自分の人生の舵をとっていたと感じているようです。

ゲームプログラマになりたくて高専に進学したのですが、Cプログラミングと数学の難しさに断念しました。

そして、希望とは異なる電子回路設計を担当することになりました。

しかし、ここで重要なことがあります。

『強み』を意識した職業選択

強み=生まれ持った才能+経験+教育+スキル

絵をかくのが好き、得意という才能を「職」に結び付けています。

実は人をまとめる力もある(アキラ本人は気付いていない)。

アンラッキー

高専で学んだプログラミング言語や教育カリキュラムが古すぎた。しかし、このアンラッキーをラッキーに変えることができます。

サキのワンポイントアドバイス

プログラミングの素養はできているのだから、実務未経験だからといって尻込みする必要はありません。

もっと簡易なプログラミング言語を勉強してゲームプログラマーをチャレンジしてみることです。

なぜなら、プログラムも簡易、かつ、難しい数学を理解しなくてもプログラミングできるようなライブラリがそろっているからです。

経験こそ新たな「職」のチャンス

そのとき、カフェに別の客が入ってきた。勢いよくアキラの隣のカウンター席に座った。

サキサキ

いらっしゃい、ケンさん

ケンケン

キョウコも一緒なんだよ

少し遅れてキョウコが店に入ってきた。

キョウコキョウコ

こんばんは、ご無沙汰してます

サキサキ

いらっしゃい!さて、今日、ここで「悩み相談してくれる人」、手、上げて!

キョウコキョウコ

は~い

といった瞬間に、人がまた増えた・・・

マリマリ

は~い

明るく手を挙げながら登場した。アキラと同じくらいの年の女性というよりも女の子だ。

サキサキ

あらら、マリちゃん。ちょうどよかったわ。

あなたの半年前の状態の彼がいるわよ。

アキラはちょっとむっとしたが、あっけらかんとしているマリを観てちょっと恥ずかしくなった。

マリマリ

こんにちは

アキラアキラ

え、あ、こんにちは。ここにはよく来られるんですか?

マリマリ

あっちの人たちほどじゃないけど・・・

といってケンとキョウコを指さした。

誰からともなく、互いに自分のこと、自己紹介ともいうが、語り始めた。

ケン
52歳というが、10は若く見える。

ある大学に工学部に行き、外資系データベースシステムを販売構築する会社に入社。

入社当初は自分の希望とは異なり、カスタマーサポートばかりをやることになった。そして、社内転職し業務システムのプログラミングやSEを経験。

日々、多くのトラブルシューティングを行い、家に帰ることがない状況が続いた。

結婚をし、子どもができたことを機に会社の同僚と大学時代の友人たちとで起業をして現在に至るらしい。

起業したての頃はわからない統計を学び、プログラミングをし、DB最適化やマイニングツールをつくっていたという。

最近ではハードウェア開発・販売もするようになり、時代はいよいよDBとマイニングだと豪語している。

3年ほど前まではプログラマからコンサルタントや研究もこなし、いろんな会社の経営戦略から立案して商品開発やシステム開発をしているようだ。最近はもうコンサルタントをしているという。

ただ、自分の趣味で時には統計や機械学習のアルゴリズムを改良したり、研究論文を書いたりしているという。

ケン「たまには自分の好きなことやらないと、ストレスたまるからね」

キョウコ
もともと銀行員。10年前に合併のさなか転職したという。現在40歳。

完全文系だったが、銀行で業務を叩き込まれ、法人営業やらファンドを扱ったりしてきた。

業務知識は十分あるため金融システムの上流工程を担当することで雇われた、いわゆる業務SEだという。

駆け出しの3年間はきつかったという。いきなり出社しなくなったプログラマー何人か出た職場だったらしく、急きょプログラムも組むことになったという。

1週間の簡単なプログラミング研修後、みよう見真似でプログラミングを覚えたという。毎日終電か徹夜が当たり前。

ブラック企業という名前もまだなかった10年前。懐かしそうに当時を振り返っていた。

キョウコ「ま、確かにブラック企業は大変だけど、修羅場くぐった分だけ、力と度胸はついたかな・・・」

マリ
現在、専門学校でシステムエンジニアを目指して勉強をしている。

大学卒業後、プログラマということで採用されたが、社長の勝手な判断で文系という理由だけで営業に回される。

不服が募ったが、心理学部出身ということで持ち前のカウンセリング力を生かし、エンジニアをうまく使うことから、他の会社より引き抜きが掛かり転職をした。

とはいえ、やはり営業よりは、エンジニアになりたい、という気持ちが大きくなり、一念奮起、専門学校に入学した。あと、3年学ぶ。

マリ「エンジニアが心も身体も健康な状態で仕事ができるよう、研究をするんだ」

アキラアキラ

なんだ、みんないろいろあるんですね。俺だけじゃないんだ。

俺、家が貧乏だからな。マリちゃんみたいにまた学校生きたいけど。家族全員を養わなくっちゃいけないし。

だからといって、今のままでいいなんて全然思えないし・・・

ケンケン

ウチもそうだけど、プログラミングの素養があれば未経験者でも雇う会社はある。

会社によっては異なるけれども、アルバイトからだったり、あるいは契約社員だったりする。

もちろん、社員として雇うとこともある。

キョウコキョウコ

アキラくんは製造業での知識があるから、それを活かせる職場がいいかも。

アキラアキラ

今の職場は大きな仕事やってるんですよね。アジアにも工場持ってて。

自動車業界に部品卸して。そう考えるとなんだか足踏みしちゃってて。

【ポイント2】
自分の強みを増幅させる

自分の強みは増やすことができます。

先程もお話した強み=生まれ持った才能+経験+教育+スキルということです。

そして、経験、教育、スキルは自分がその気になれば身に着けることができます。

強みを増やす

就職することで「経験」を重ね、強みを増やしていますよね。

ケン:IT知識と顧客対応力
キョウコ:銀行業務知識
マリ:カウンセリング

3名は自分の身に着けた経験とスキルをうまく使って転職を試みています。

常に前向きになれるメンタル

3名ともピンチをチャンスに変えていますよね。

何があっても気分を上げられるような『自己完結できる楽しみ』を持つと安定した成果を出すことができます。

サキのワンポイントアドバイス

これを観ると笑える、という動画やアニメ、物語、写真を一週間にひとつづつ増やしていってみてください。

たとえば、公園の桜、街路樹の紅葉、近所のみかん、隣の子供の泣き声でもよいです。

それだけで人生が明るく前向きに考えられるようになります。

使える「助言・サービス」はすべて使い倒す

キョウコキョウコ

その気持ちわかるよ。わたしもそうだったもん。

だけど、将来を考えたの。私は女でしかも、文系。

銀行員続けてトップになれるか?いやいや、「紐つき」は部長にはなるけれどわたしはひも付きでも何でもなからね。

だから、出世はないな、って思ったのよ。

そうしたら、こんなに頑張ってもどうなるかもわからない会社にいる必要もないなって。

そして、転職活動を始めたの。

アキラアキラ

どうやって?

キョウコキョウコ

わたしはIT系の求人に強い転職エージェントに登録したのよ。

マリマリ

わたしも転職エージェントに登録したよ。ついでに人材派遣もね。

ケンケン

ウチも転職エージェントに良い人材がいたら紹介してくれって言うけどね。

けど、紹介料が高いんだよ・・・これが。だから僕は直接応募が好きかな。

最近はクチコミサイトもあるからね。いつもドキドキしながら自分の会社の評判をみてるよ。直近でやめた社員なんかが書いてたりしてね。

社員が辞める時が一番気を付けないといけないんだけどね。経営者としては。

お互いに話し合って納得したうえでやめるということをしないと、お互いよくないんだよ。

キョウコキョウコ

転職エージェントに登録をして情報をもらう。気に入ったところは「自己応募」したらどう?

マリマリ

あ、それいいかも!さすが~キョウコさん!おとなの発想ですね。

キョウコキョウコ

ま、年の功ってとこね

そういって、ウインクをした。

ケンケン

それに、求人に出していないけど、常に会社ではこんな「人財」欲しいな、ということがあるんだよ。

気に入った会社があれば、求人がなくても履歴書や職務経歴書、志望動機を出してみるといいよ。

【ポイント3】
複数の「頭」を持つ

「出会い」で人生は決まる

「出会い」はチャンスを生み出します。

転職エージェントは求人情報をたくさん持っています。

しかし、それ以上に大事なのは、キョウコのように自分自身のキャリアを展望し、会社から去るという決断をすることです。

『コミュニケーション』を最大限強みにする

アキラはもうひとつ重要な『強み』があります。

アキラがケンから助言をもらおうと思ったら、やはり、普段からいろんな人とコミュニケーションをとっていないとできないことではないでしょうか。

サキのワンポイントアドバイス

もし、あなたがコミュニケーションが苦手だと感じていたら、近所や行きつけのお店の定員さんと話を始めてみてください。

慣れてきたら、いろんなところに出かけ、何気なく話しかけてみてください。

「種まき」して刈り取る

アキラアキラ

ケンさん、ちょっと突っ込んだこと聞いていいですか?

社内転職したり、起業したりしてますよね?

僕から見たら、すごいな、って思うんです。どうやってしたんですか?

キョウコキョウコ

あ、アキラ君、いいとこつくな・・・

ケンケン

社内転職ね。これは時の運もあるんだけど、やはり、しっかり日ごろからアピールしておくことって大事だと思うよ。

時の運っていうのは、予算に余裕があるようなプロジェクトが立ち上がって、プログラマが必要になる、ということが起こるタイミングに出会えるかどうかかな。

日ごろから、自分の仕事で接している人たちには「プログラムくみたいんですよね」とそれとなくいっておくのもいいよ。

だけど、一番効果的なのは、入社するときの志望動機に書くこと。

「すぐには難しいかもしれませんが、ソフトウェア開発をしたい、プログラマになりたい…」ということを明記しておくと、タイミングがよければ「白羽の矢」があたるよ。

と言って、ケンは残り少ないビールをアキラの空になったコップに注いだ。

キョウコキョウコ

起業は、プログラマでうつになったからだよね?

マリマリ

え、初耳・・・

キョウコキョウコ

知らなかったの?

マリマリ

ケンさんって、見かけによらず、デリケートなんですね

アキラは声を殺して笑っている。

サキサキ

ウチの自慢はビールだけじゃないのよ。

もしよければ、特性ビーフシチュー、試さない?

こころもおなかも幸せになること間違いなしよ。手前みそだけど

そういって、サキはウインクをした。

【ポイント4】
自分のやりたいことを話す

ここぞ!というときに、チャンスを得られるかどうかは、適切な場で「自分のやりたいこと」を伝えておく必要があります。

一番重要なものが採用面接と期ごとに行われる面談です。

サキのワンポイントアドバイス

普段から「自分のやりたいこと」のまとめを作っておいてください。

もちろん伝える練習をしておくこともお勧めします。

「カフェ Pian piano(ピアンピアーノ)」のようなところで。

自分を顧みるきっかけに感謝しよう

ケンケン

おいおい、勝手に話を作らないでほしいな・・・

僕はずっと東京で仕事をしていたんだよ。それで、関西に転勤してきてからお客さんの質が変わったんだよ。

関西はすごくウェットな付き合いなんだよね。な~な~ええやん。そんな硬いこと言わんと・・・とかっていって、どんどん仕事させられる。

しかも、お金を払わずにすむことに価値を置いているからタチが悪い

キョウコキョウコ

儲かりまっか?

ケンケン

ボチボチでんなぁ…

ゆ~てる場合じゃないやろ!ってな感じでどんどん迫ってくる。

ウツってゆうんかな?それって?

にこやかにそしてきっぱりとサキはいった。

サキサキ

その症状は明らかに参ってますよ

キョウコとマリは一斉に笑った。アキラもつられて声をあげて笑い始めた。

ケンケン

キョウコ、自分だって合併のさなかに転職したんだろ?

キョウコキョウコ

は~い!そうで~す。

だって、公的資金がガンガンつぎ込まれているのに、いつまでも「バブル」にノスタルジーしているおじさんたち相手に仕事できる?

サキサキ

バブル・・・久々に聞いたそのフレーズを

キョウコキョウコ

人の資産を使って、バブルを作って、バブルを破壊して、好き勝手やって、それで税金まで使って生きてる。そんな中で「正常」でいられる人たちなんだよ!

わたしには耐えられなかったから、なので、まともな道を歩みたかった。

何よりも会社に左右される人生も嫌だった

それで転職したのよ。

もちろん、はじめは本当に毎日終電で、週に一度は徹夜だった。

今では考えられないことだけれどもね。

サキサキ

アキラ君は会社に左右されていない?

アキラアキラ

会社に左右されてるね、完全に。だから、いつも不安定なんだ、って今わかったところです。

やっとわかったよ。僕がいつもイライラしたりしていた理由が。

お水ください!

サキサキ

はい、どうぞ!

アキラは勢いよく飲み干した。その顔には生気が宿っている。

2時間前とはまるで別人のように明るい表情をしている。

どうやら「覚悟」が決まったようだ。

【ポイント5】
「生涯キャリアプラン」を「つくること」と「きっかけ」すべてに感謝

本当の自分の気持ちに気付き、キャリアを変える決断をした「きっかけ」に感謝しましょう。

そして、わかったら、覚悟を決めて行動することです。

その行動は、あなたの強みを生かし、将来こんな自分になりたい、という将来像を描いてください。具体的であればあるほどよいです。

そして、実現可能な計画を立てて転職を成功させてください。

サキのワンポイントアドバイス

キャリアは生涯続きます。

転職は一部にすぎません。

これを機会に生涯キャリアプランを立てておくことを薦めます。

3年後…

ある日の「カフェ Pian piano(ピアンピアーノ)」

アキラアキラ

これから新しいプロジェクトが始まるんだよ。僕が仕切るんだけどね。

今ではすっかりベルギー・ビール通になったアキラはサキに語った。

アキラアキラ

はじめはどうしようかと思った。だって、元々、貿易中心の中小企業でIT部門を立ち上げるって会社だったからね。

どうなるかわからなかったし。だけど今はこれでよかったって思っているよ。

この会社にアキラはアルバイトで就職した。

アルバイトでありながら、プログラマーとして誰よりも優秀な成果を上げた。

そして、1年後に正社員になった。

そして、今年からアキラは最短でマネージャ職になったようだ。前職での経験が評価されての抜擢、ということだ。

すべては「覚悟」して「行動」することから始まります。