定時になったとき、「さて、夕食(夜食)でも買いに行くか」と考えるのは、おかしなことなのです。定時になれば、デスク周りを片付けて帰宅する。これが普通のはずなのに、いつしか、残業をするのが当たり前になってしまったという人は、多いのではないでしょうか。

今日も明日も、そして明後日も残業。このまま仕事ばかりをして生きていき、死ぬのかなと、不安になる日もあるでしょう。

毎日の残業に疲れて、この記事にたどり着いた貴方は、残業ばかりの日々に疑問を抱いているはずです。この会社は残業させすぎではないか、他の会社はどうなのか……。

疑問を抱いている今のうちに、日本の残業の実態について知り、転職を考えてみることが、自分の心身の健康にとって、大事なことなのです。

ブラック企業の残業ってどれくらい?

残業時間の平均・相場はどれくらい?

厚生労働省の調査 によれば、10.8時間が残業時間の平均となっています。

ただし、残業時間の実態を知るにおいて、厚生労働省の調査はあまりあてにはなりません。「会社に申告していない残業時間」があるからです。

そういった残業時間を含めると、残業時間の月間平均は47時間だと言われています。これは、VORKERSという、社員口コミ情報サイトの調査結果による数字です。

VORKERSの残業時間に関するレポートは、こちら をご覧ください。

厚生労働省は会社に調査を入れ、口コミ情報サイトは社員に調査を入れます。どちらも視点に偏りがあるので、鵜呑みにしてはいけません。参考程度に留めておきましょう。

法律で認められる残業時間ってどこまで?

本来、労働基準法では時間外労働は認めていません。「じゃあ残業をさせる企業は全て違法か」というと、そうでもないのです。

36協定というものがあります。これは、職員の過半数で構成される労働組合と締結する協定です。締結をし、労働基準監督署に届出をします。そういった労組が無い場合には、労働者の過半数代表と締結します。

36協定には、1ヶ月に45時間(1週間で15時間)という限度が定められているのです。

ただし、次のような例外があります。

「受注が多すぎて追いつかない場合は、労使との協議を行った上で、1ヶ月60時間、1年間420時間まで残業時間を延ばすことができる」

この残業時間の延長は、6回までが限度となっています。常に切迫した状況だからといって、常に残業時間を延ばしていいわけではないのです。これを破った場合には、その会社は労働基準法に背いていることになります。

何時間の残業からがブラック企業?

1日3時間の残業が毎日ある場合、週に15時間という制限を無視していることになり、間違いなくブラック企業だと言えます。

残業時間は上下するでしょうから、1ヶ月単位で考えてみましょう。1ヶ月45時間の残業は、これもまた制限を無視していることになり、間違いなくブラック企業だと断言できます。

1ヶ月40時間の残業であれば、ブラック企業だと断定はできません。ただし、1ヶ月40時間の残業で、1週間に15時間を超える残業をする週がある場合は、ブラック企業だと言えるのではないでしょうか。

中には残業200時間の企業もある

ブラック企業と言っても、色々あります。1日の残業時間が長いだけで、土日休みはしっかり取れる会社があれば、休みすら取れない会社もあるのです。

残業時間が長く、休みも取れない場合、1ヶ月の残業時間が200時間を越えることもあります。

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1ヶ月の残業時間が200時間を越えるとどうなるのか、実際の話を例にして考えてみましょう。200時間の残業をしていた彼を、Aさんとします。AさんはIT企業に勤めていて、毎日デスクワークに奮闘していました。

定時は9時~17時でしたが、朝7時に出社して仕事をするのが当たり前。食事はコンビニおにぎりやパンといった、栄養の偏ったものがほとんどでした。デスクで片手で食べられるため、周りの誰もがそうしていたのです。

トイレ以外の休憩はほとんどなく、パソコンに向かいっぱなしです。定時を越えても、まだ仕事をします。20時を超えると、電気を極力落として仕事をすることもあるのです。仕事を終えるのは深夜1時。

休日はあっても週に1日で、土曜日の出勤は当たり前でした。有給休暇は親族が倒れた・亡くなった、といったときでもないと使えず、申請するときには嫌味を言われます。

こうして毎日の残業時間と、休日出勤が積み重なった結果、200時間という膨大な時間が余分に会社に注ぎ込まれていったのです。

Aさんの場合残業が多いのを見越して給料が高かったのですが、残業と休日出勤に揉まれている内、「自分の好きにお金を使う意欲」すら消え失せていきました。

最後には倒れてしまい、医者に「過労死手前」と宣告されるに至ったのです。

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ブラック企業の残業あるある

残業代を支払わない

残業代を支払わないというのは、ブラック企業ではよくあることです。残業時間が長い上に残業代が出ないとなると、モチベーションも失われてしまいかねません。仕事に見合った給料が得られず、ストレスが溜まってしまいます。

泊り込みが多い

泊り込みが多いという話も、よく耳にします。残業時間200時間を越えたAさんの話をしましたが、彼は深夜1時から2時に仕事を終えていました。こういった労働時間では、電車通勤の場合だと、終電を逃していることが多く、会社で寝泊りをするのが習慣化します。

「寝袋を持参している」という人も多いです。

「残業は社員の能力が低いせい」という風潮

無謀なノルマを課しているにも関わらず、「仕事が定時に終わらないのは、社員の能力が低いからだ! やる気がないからだ!」と考える上司がいるというのは、よく聞くブラック残業あるあるです。

残業代を支払わないという会社の中には、こういった考えが蔓延しているところもあります。やる気があっても、能力が高くても、無謀なノルマを課されれば、終わるはずがありません。

「そうだ、俺の能力が足りないからだ」と同調してしまうと、抜け出せなくなるので注意してください。

無理してまで残業させる

残業が続くと、体を壊す人が必ず出てきます。仕事中に体調が悪くなって、どうしても仕事ができないということもあるでしょう。そういったとき、帰らせてもらえないかと上司に尋ねたとして、「断られることが多い」というのも、ブラック企業の残業あるあるです。

そのような残業の先には、過労死が待っています……。

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残業と病気は直結している

残業でストレスが溜まり、「うつ」になる

残業続きになると、どうしてもストレスが溜まってしまいます。「ブラック企業の残業あるある」で述べたような状況が続くと、なおさらです。

「効率よく仕事をするには、どうすればいいだろうか」「自分が弱いから体調を崩してしまうんだ」と、自分を責めるようになる方も大勢おられます。

仕事のことで四六時中頭を悩ませた結果、うつ病になるのです。これは「心の強さ・弱さ」という精神論では、語れません。

『仕事辞めたい病』というのは「甘えである」と決めつける人がいますが、当人にとってはとてもつらい状況なのです。

さらに、精神が強かったとしても、慢性的に疲労を感じていたり、栄養が偏っていたりすれば、そこから鬱になることがあります。

過労死の可能性もある

慢性的な疲労から鬱になる場合がありますが、残業による慢性的な疲労と、より深く関わりがあるのが「過労死」です。残業は「死」に直結していると言っても、決して過言ではありません。

月80時間の残業が、「過労死ライン」と言われています。これを超えると、過労死の可能性が大きく上がるという線引きです。月200時間の残業というのは、まさに「正気の沙汰ではない」状況と言えます。

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逆に、ホワイト企業ってどうなの?

残業月20時間以内

残業時間をホワイト企業の基準とするならば、月20時間以内だと、よく言われています。

休日出勤が無く、1日1時間以内の残業であればホワイト企業です。残業が長い日もあるでしょうから、残業が無い日も当然あります。

1日1時間以内の残業なら、自分の時間を毎日しっかりと持つことが可能でしょう。過労死ラインとも遠く、健康的に働くことができます。

残業代が出る!

月20時間以内の残業で、さらに残業代が出るのがホワイト企業です。本当なら当たり前ですが(笑)

残業が少ないからこそ、残業代を払うことが出来ると言い換えることもできます。

仕事をした分の給料がしっかり出るなら、気を引き締めて残業をすることが可能ではないでしょうか。

無理してまで残業させない

ホワイト企業は、無理してまで社員に残業させません。体調が悪いなら定時で帰らせたり、早退させたりします。何故かというと、体調を崩したままだとパフォーマンスが落ちますし、風邪を他の社員に移されても困るという考えがあるからです。

客観的に考えると、こういったホワイト企業の残業の特徴というのは、「当たり前のこと」に過ぎません。ただ、残業が長く続くと、残業が当たり前になってしまって、本来の「当たり前」を忘れてしまいます。

残業時間に疑問を持っている今のうちに、転職を考えてみてはいかがでしょうか。

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残業でストレスがたまるくらいなら、転職を考えよう

一朝一夕にはいかないから、一度ゆっくり仕事をしてみては?

残業でストレスを感じて転職を考えるなら、「残業が少ないこと」を最優先事項にすることを、検討してみましょう。要は給料が少なくなってもいいから、残業の少なさを優先させるということです。

残業が少なくて給料が良い職場というのは、なかなか見つかりません。「あちらを立てればこちらが立たず」という言葉がありますが、まさにその通りです。いっそのこと、一度ゆっくりと仕事をして心身ともに休めてはいかがでしょうか。

そのために、「ホワイト企業の残業の特徴」で挙げたような企業を探しましょう。

残業の無い会社って、あるの?

残業ゼロの会社は、多くはありませんが、あります。

存在はしているのですが、残業のある会社に比べると、求人は出にくいです。特に残業が無くて基本給が良い会社の求人は、なかなか出回りません。理由は、離職率が低いからです。残業が無く、給料もそれなりなら、少なくとも「お金」と「時間」が理由で辞めることはありません。

よくある退職理由のうち二つが無くなるので、離職率が低く、求人が出回らないのです。

見つけるコツは、「粘り強く探す」「転職エージェントに頼る」の二つです。

条件の良い求人は転職エージェントの非公開求人とされていることが多いですから、転職エージェントに登録・相談して、そういった求人を引っ張ってきてもらう必要があります。すぐに見つからなくても、諦めないことも大切です。

転職エージェントを使うならリクルートエージェントがおすすめです。応募が殺到する条件の良い求人を多く抱えていて、残業少なめ・残業なしといった好条件の募集を紹介してもらえます。

残業に苦しんでいる人は、いますぐの転職ではなくても、ホワイトな優良企業の求人を常にキャッチできるようにしておきましょう。

交代勤務は特に残業が少ない

残業が少ない職場を見つける一つの指標として、「交代勤務」を提案します。

交代制であれば、勤務時間を終えると次のシフトの人たちが職場に来て、仕事を始めます。その際に多少のタイムラグがあるので、その範囲内で残業をすることはあるのですが、多くの場合30分程度です。

選択肢の一つとして、考えてみても良いでしょう。

残業が少ない業界・職業の特徴

簡単に言うと、「自社で製品を作っている会社」は残業が少ないです。逆に、「クライアントから仕事を請ける受注産業の会社」は残業が多くなっています。残業が多いことで知られる電通は、後者の会社ですね。

この根拠は、東洋経済オンラインの「残業の少ない会社トップ500」という記事です。上位の企業の多くが、自社で物を作っています。

残業が少ない業界は、メーカーです。特に製造部門や開発は、慢性的な残業は少ない傾向があります。納期前には残業があったり、製造量が一日の目標に達しなかった場合は、残業があるのですが、一時的なものです。

自社で物を作るなら、生産量は自社で決めることが可能です。決められた量だけ作れば、それだけで済みます。一日の目標を達成したら、後は社員を帰らせても問題ありません。

受注産業だと、クライアントから仕事を請けて初めて、業務として成り立ちます。多くの収益を上げるためには、どんどん受注しなければなりません。納期が迫り、仕事は増える……残業が多くなるのは当たり前です。

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残業が少ないのは良いことなのか? デメリットはあるのか

残業が少ないことのメリットは、プライベートな時間を持つことができることです。

残業が少ないことのデメリットは、残業代が少ないことです。「残業は多いけど、残業代が支払われる会社」で働いていた人が、残業の少ない会社に転職すれば、このデメリットを強く実感することでしょう。

基本給が同じなら、残業をしたほうが多く稼ぐことができます。その分生活は楽になり、趣味にもお金を多くつぎ込むことができるようになるのです。

ただし、残業が長期化すれば、残業をするデメリットの方が多くなります。先述したような「病気」「過労死」の可能性が、出てくるのです。毎日残業があれば、趣味につぎ込むお金は増えても、趣味をする時間が減ります。メリットが打ち消される事態も、想定できるのです。

残業が少ないのは良いことなのかは、個人の考え方によります。ただ、客観的に考えると、「多いよりも少ないほうが良い」のは確かです。

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自由な時間が出来、心に余裕が生まれる

残業が少なくなると、残業に追われていた日々からは、想像も付かないほどの余暇が出来ます。その時間を自分の趣味や、心身を休めることに使うことができるのです。

自由な時間が出来れば、心に余裕が生まれます。うつ病の発症の可能性を抑え、身体の健康にも良い影響を与えてくれることでしょう。

副業をする時間が出来る

会社の規定に反しないなら、副業をすることもできます。仕事の合間にWEBで稼いでいるという人も、少なくありません。自分の好きなことを副業としてやることで、残業代が抜けた分の稼ぎをカバーすることも考えられます。

副業だけでなく、前から興味があった資格をとるための勉強も出来るでしょう。

休むだけでなく、有意義に時間を使うという選択肢もあるのです。そこから、思わぬ利益が生まれることもあります。

残業をしないことで仕事の成果が上がり、時間対効果も上がる

「残業は生産性を悪くする」ということは、近年よく言われていることです。それでも私たち日本人は、残業をします。その理由は単純、「仕事が終わらないから」です。

実際の例から考えてみます。これから話すのは、Bさんの体験談です。

彼は、自分の仕事が終わらないのは、自分の効率が悪いからだと考えていました。定時になっても仕事が終わらず、「今日やる分が終わってないから、やり遂げてから帰らないと」と思い、残業をします。

彼の上司も、「終わらなかったら残業をしなさい」というスタンスの人でした。週に何日も残業をすることになり、Bさんは「効率が悪いから仕方がないよな」と考えるようになったのです。

残業続きのBさんは、体調を崩してしまいました。そこで周囲に説得されたこともあってか、転職をすることにしたのです。転職した先は「残業ゼロ」を謳っていて、それを実施している企業でした。

「終わらなくても残業をすることができない」ということになり、Bさんは焦ったのです。今までは「終わらなければ残業をすればいい」と、心のどこかで思っていました。

残業をすることができなくなってからは、「効率を良くしなければ」という意識になりました。残業をしないということが、自分の仕事の欠点を克服するきっかけになったのです。

時間制限を設けたほうが、人は集中することができます。時間対効果が良くなり、自分の欠点克服のきっかけにもなる。結果として自分の評価が上がれば、残業をしていたときよりも高い基本給が貰えることも考えられます。

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まとめ

残業が少ないということは、残業代が少ないというデメリットもありますが、それを補って余りあるほどのメリットがあります。毎日の残業で疲れきって病気になるよりも、健康的に働いて仕事の効率と評価を上げるほうが、建設的ではないでしょうか。

毎日の残業に疲れきっているなら、残業の少ない企業への転職を、おすすめします。