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厚生労働省の統計によれば、いわゆる非正規社員は、全体の約37%にあたる1,962万人。そのうち、約15%にあたる、約292万人が契約社員と推計されています。(平成26年度)

このページでは、契約社員と正社員、派遣社員の違いなどを解説しています。

正社員になるために動き出すべきなのか悩んでいる方は決断の参考資料として読んでみて下さい。

契約社員ってそもそもどんな制度(契約)なのか

まず、そもそも契約社員とはどのような制度をいうのでしょうか。ここでは、その法的な側面を中心に、正社員や派遣社員と比較しながら、契約社員という制度について説明します。

正社員と何が違うのか?

そもそも契約社員とは、一般的に「雇用期間に定めのある」社員のことをいいます。

正社員は、法律上は「雇用期間の定めのない」社員のことをいいます。この点が、正社員と契約社員の大きな違いです。

企業に入社する時、私たちは、その企業と「雇用契約」を締結しています。

これは、私たちが企業に労働力を提供する対価として、賃金(給与)を受け取る契約のことです。企業が私たちに採用の内定を出し、私たちがこれを承諾することによって成立しています。

この雇用契約に基づいて、企業に直接雇用されている点では、正社員と派遣社員は同じです。同じ社会保険に加入し、福利厚生も同じく利用できるケースが多いです。

そこで、「契約期間」が決まっているか、いないかが、正社員と異なります。そのため、契約社員の場合、契約期間が満了になれば、基本的に雇用契約は終了になります。

多くのケースでは、契約を更新することによって、そのまま働き続けられますが、双方の合意が必要で、企業側が更新しない意思表示(一般に、雇止めともいいます)をすれば、契約は終了になってしまいます。契約社員の立場が決して強くない点が特徴的です。

一方、正社員の場合は、労働契約法に基づく解雇制限ルールがあり、法律上は、簡単に辞めさせることができない点が大きなメリットになっています。

但し、契約社員の場合も、例外的ですが、労働契約法第19条に解雇制限ルールが定められています。

これは、①その契約社員の契約の実態が、正社員と同視できる場合、②更新を期待できる合理的な理由がある場合には、正社員と同じく、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない不更新(契約終了)はできない、というルールです。

また、雇止めできる場合であっても、厚生労働省の通達に基づき、3回以上契約が更新されている場合や、1年以上契約が継続している契約社員を雇止めする場合は、30日前までに雇止めを予告しなければなりません。

派遣社員と何が違うのか?

今度は、派遣社員と比較してみましょう。一番大きな共通点は、「契約期間が決まっている」という点です。

一部、派遣会社に正社員採用されているケースは例外ですが、ほとんどの派遣社員は、契約期間に定めがあり、契約期間が満了になれば、基本的には契約が終了します。

但し、契約社員の場合、その契約期間が半年、1年等、比較的長いのに対し、派遣社員の場合、3ヶ月ごとの更新、という短めケースが多いです。

派遣社員と契約社員の一番の違いは、その契約形態です。派遣社員は、企業(派遣先)と直接雇用関係・契約関係が生じることがなく、派遣会社(派遣元)と締結しています。

したがって、派遣社員と契約社員との間では、加入する社会保険も、受けられる福利厚生も違います。

ただ、多くのケースでは、社員食堂や休憩施設等は、正社員、派遣社員、契約社員は等しく利用できるようにしている企業が多いです。

契約社員の給与制度

次に、契約社員の給与制度は、どのようになっているでしょうか。その内容を解説します。

正社員との給料の違い

企業に直接雇用されている契約社員の場合、正社員と同じ給与体系(基本給、職能給)で、共通している部分が多くあります。

これは、後述するように正社員に登用する制度を利用があった場合にも、契約をスムーズに移行できるようにするためです。

したがって、交通費や残業手当も、正社員と同様に支給されるケースが多いです。

但し、どちらかというと少数ではありますが、時給制の契約社員制度を取っている企業もあり、この場合は、正社員より派遣社員に近い給与体系になります。

一番の違いは、正社員との給与テーブルです。これは、社員の能力に応じた給与の等級表のことをいいますが、裁量も権限も小さくなる契約社員は、正社員と異なる給与テーブルが用いられます。

したがって、同じ仕事をしていても、正社員より給与が低いというケースが多いです。

賞与(ボーナス)も、支払われるケース、支払われないケースまちまちですが、支払われるケースであっても、正社員より支払額が低いケースが多いでしょう。

また、契約社員の場合は、1年経過して仕事の質が向上しても、契約は更新、つまり同じ内容で新たに契約し直されるだけであって、昇給は基本的にありません。正社員との大きな違いの1つになっています。

派遣社員との給料の違い

次に、派遣社員との比較ですが、共通点は、時給制の契約社員の場合、働いた時間に応じて賃金が支払われることが共通しています。

但し、支払われるのが、企業から直接払われる点で、派遣社員と異なります。派遣会社の中間マージンが入らない分、一般的に契約社員の方が、派遣社員より実際に受け取れる給与の支給額が多い傾向があります。

また、多くの派遣社員のケースでは、交通費が支給されません(時給に含まれていると説明されます)。これに対し、契約社員の場合は、支給されるケースが多い点も大きな違いでしょう。

正社員になるのが本当にいいことなのか?デメリットの検討

正社員にステップアップすることが、あなたのキャリアにとって、必ずしも良い事ばかりではありません。デメリットの検討も必要です。

正社員になると、通常は契約社員や派遣社員とは異なる就業規則が適用となります。

したがって、裁量や権限、責任が増えたり、全国に事業所がある場合は、転勤のリスクも覚悟したりしなければならないでしょう。(但し、最近では地域限定の正社員といった制度を導入している企業もあります。)

正社員の制度も多様化しているので、もし、正社員に登用されるチャンスがでてきたら、細かい契約、人事面は、その企業の人事部にしっかり確認しましょう。