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営業からカスタマーサービスまで、さまざまな用途で各企業が活用するようになったコールセンター。

矢野経済研究所の「コールセンター(テレマーケティング)市場・コンタクトセンター/CRMソリューション市場に関する調査結果2015」によると、市場規模の拡大傾向が将来的にも続くと見られています。

各コールセンターでは多くの人材を必要としていて、経験を問うことなく活発な求人募集が出されています。

この記事ではこれからはじめてコールセンターの仕事に挑戦しようという方のために、仕事の内容や給料などの情報をくわしくご紹介します!

コールセンターの仕事内容

まず、コールセンターのお話をするにあたってはよく使われている用語で説明させていただいた方がわかりやすいのでいくつかご紹介致します。

用語 意味
インバウンド 電話を受ける仕事
アウトバウンド 電話をかける仕事
受電 電話を受けること
架電 電話をかけること

コールセンターのことをくわしく知らないという方は、みんなオフィスでモニターの前に座ってずっと電話をしているというイメージがあるのではないでしょうか?

小さな会社では電話を受けることもかけることも事務のスタッフが兼任していますが、コールセンターを設けるほどの企業になると「分業制」になっています。

インバウンド、アウトバウンドのそれぞれを専門とするセンターがありスタッフは漠然と話をしているわけではないのです。

そんなコールセンタースタッフの仕事について、もっと掘り下げてご説明していきましょう。

インバウンド

インバウンドのコールセンターはお客さんからの電話を受け付ける専用の窓口となっていて、電話番号が電話帳やホームページなどに掲載されています。

共通してお客さんは目的を達するために電話をしていますから、その目的に適った対応をすることが第一の仕事です。

また、オペレーターとして慣れてくるとそのお客さんのさらなるニーズを探ることができるようになります。話を広げていった結果として、別な商品やサービスの受注へ至ることなどが珍しくありません。

カスタマーサポート

商品やサービスに関して、お客さんから問い合わせたいことがあるときに対応する部署です。

一例として、次のようなものがあります。

企業ジャンル 詳細
コンビニエンスストア 商品に関するお客さんからの問い合わせ、フランチャイズオーナーからの相談に対する対応など
家電量販店 取り扱っている商品の使用方法に関する説明など
銀行 残高の確認や住所変更、金融商品に関する問い合わせへの対応など

基本的にはお客さんの状況を確認し、想定されている事例に対してマニュアルなどで定められている内容を説明します。

テクニカルサポート

商品やサービスに関して、お客さんが技術的なことで問い合わせたいときに対応する部署です。

応対のマニュアルは用意されているのですが、不具合の状況から考えられる原因を推測するというように一定の専門的な知識が求められます。

一例として、次のようなものがあります。

企業ジャンル 詳細
携帯電話事業者 端末が故障した場合の問い合わせ、回線を停止する手続きなどに対応
パソコンメーカー 各種の設定方法がわからない、トラブルが起こったといったお客さんからの問い合わせに対応し必要があれば遠隔操作によるサポートなども

インバウンドマーケティング

新聞や雑誌の広告、テレビで放送されている通販番組などで紹介されている商品やサービスの受注などを行います。

商品やサービスに興味を持っているお客さんが連絡してくるため、成果につながりやすくなっています。

アウトバウンド

電話を受けるインバウンドに対してアウトバウンドのコールセンターは電話をかけることを専門としている部署であり、企業にとっては営業手法のひとつとなっています。

かつては電話帳に掲載されている電話番号へ片っ端から電話していくということが行われていました。

近年ではシステム上のデータベースに架電対象となる電話番号が登録されていて、オペレーターはワンタッチで架電することができます。

システムによっては、システムが自動的に架電してつながった場合にだけオペレーターへ振り分けられるようになっています。

テレフォンアポインター

営業活動のサポートとして、営業職のスタッフが商談へ訪れるためのアポイントを取りつけることが仕事です。

ただ、機械的な架電は先方の都合を考慮していないものであるため嫌悪感を抱かれることが多々。「本題」へ至るまでに高いハードルがあり、資料送付の約束を取りつけてさらにフォローするといった「後追い」も必要です。

一例として、次のようなものがあります。

企業ジャンル 詳細
リフォーム会社 リフォームが必要な箇所の確認、提供しているリフォームサービスの案内など
家庭教師派遣会社 家庭教師をつけての教育に関心がある家庭へ向けて、パンフレットの送付など
リサイクルショップ 不要品の有無に関する確認、買取サービスの案内など

テレフォンマーケティング

満足度調査などの目的で、すでに企業の商品やサービスを利用しているお客さんへ電話して感想や使い勝手などのヒアリングをします。

また、過去に資料請求や問い合わせなどがあった潜在顧客に対して改めてアプローチする場合もあります。

一例として、次のようなものがあります。

企業ジャンル 詳細
自動車ディーラー 利用状況のヒアリングに加え、新車の提案や付属品の案内など
ケーブルテレビ事業者 利用状況のヒアリングに加え、それに合わせた別プランの追加案内など

インバウンド・アウトバウンド業務の共通点

インバウンドとアウトバウンドのコールセンターでは受電、架電という業務の違いこそあれ仕事の進め方には共通する点が多々あります。

いずれの現場でも、通話を開始すると同時にまずお客さんの本人確認ということで名前のほか住所や電話番号などを確認します。

用件やどういった対応をしたかという詳細については、コールセンターという業態が現在のようなかたちになるまでは手書きで記録していました。

業務のシステム化が進むにつれ、オペレーターは通話をしながら同時にコンピュータ上でその内容をデータとして入力するようになっています。

そのため、通話しながら入力などの操作をすることができるようヘッドセットを装着して業務にあたることが一般的です。

コールセンターの給料事情を知りたい!

コールセンターは比較的新しい事業分野であり、業務によっては営業色が強くなっているものの全般的にはオフィスワークという位置づけ。

基本給のほか、成果に応じてインセンティブとして加算される金額がかなりの割合になる場合が見られています。

給料のデータについて出典がないものは、転職サイトである「DODA」に掲載されている求人情報の募集要項から平均値を算出しています。

業務内容による違い

オペレーター

「コミュニケーター」や「エージェント」とも呼ばれ、役職はつかずに電話応対の仕事をしている一般社員です。

求人・転職情報サイトである「はたらいく」の「職種別平均年収・月収100職種徹底調査」によると平均年収は277万円、平均月収は20万円となっています。

トレーナー

オペレーターの教育を担当するスタッフであり、入社時からフォローアップまでの研修を担当し必要なマニュアルの整備なども行います。

月給の金額については、22万円から25万円程度を支給しているセンターが多く見られています。

スーパーバイザー

「SV」と略されることが多く、オペレーターの勤怠管理やモニタリングにあたるとともにクレーム対応なども担当します。

責任のある管理職ということで、月収を24万円から28万円ほどに設定している企業が中心です。

マネージャー

「センター長」と呼ばれることもあり、スーパーバイザーの上に立ってコールセンターの統括にあたる責任者です。

それぞれのセンターでは最高責任者となっていて、月給は28万円程度から35万円程度まで幅があります。

魅力的なインセンティブ

コールセンターで働く場合の大きな魅力となっているものが、基本給と別に支給されるインセンティブです。

1週間や1ヶ月間などで期間を区切り、その中で成績が優秀だったスタッフが支給の対象となります。

その基準は、支給の有無を含めセンターによってまちまちです。

  • 対応1件ごと(金額は数円)
  • 成約した場合に売上金額の一定割合
  • 期間内に設定されている架電件数や受電件数の目標達成(金一封)

一般に営業活動を行うアウトバウンドの仕事に設定されている場合が多く、トップセールスを誇るスタッフが万単位のインセンティブを得ている例もあります。

コールセンターという仕事・職場で働くメリットとデメリットは?

どんな仕事についても当然、働く上でのメリットとデメリットが表裏一体で存在しています。

コールセンターで働く場合にはどんな良いところ、またつらいところがあるのでしょうか?

メリット

間口の広さ

各コールセンターでは応対の「品質」を高めるために、マニュアルや研修によるスタッフのサポートを充実させています。

研修の一例としては、次のようなものがあります。

名称 内容
基礎研修 電話応対の重要性や言葉遣い、受け方やかけ方の基本を身につける。
ロールプレイング研修 業務フローのマニュアルなどを確認しながら、同僚同士で実際に受け答えの練習をする。
CS研修 「CS」つまりカスタマーサービス、顧客満足のために必要なことを自分たちで考えながら実践に取り入れていく。

実際の業務へ入る前に時間をかけて研修を実施することが通常であり、未経験者であっても安心して仕事をスタートさせることができます。

勉強の場になる

企業の窓口として業務にあたる以上、実際にお客さんとコミュニケーションを取る上で誤った話をすることは許されません。

対応の質を上げるためには、商品やサービスについてプロフェッショナルとなることが理想。スタッフとしてレベルアップしていく中で自ずと専門知識は深まり、業界のことを勉強する場にもなるのです。

後々同じ業界で別の職種へ挑戦することを考えるとしても、その知識は大きな武器になるでしょう。

もちろん電話の応対そのものに関しても経験が蓄積されるにつれてスキルは上がっていき、ビジネスマンとしての大事な財産になります。

環境の快適さ

コールセンターは環境の良いオフィスビルに設置されている場合が多く、空調が効いている職場は夏冬の暑さ寒さと無縁。

座りっぱなしの完全内勤ということになりますが、スタッフ一人一人のスペースはブースで区切られていて周囲からの視線が気になることはありません。

また、特にオペレーターの仕事であれば服装は自由なもので良いというセンターが多くあります。

デメリット

ストレスの強さ

アウトバウンド業務で見ず知らずの人へ電話をかける場合、やはり得体のしれないところからかかってきた電話に対して相手は警戒感を持ちます。

大概のオペレーターは、次のような対応をされたことがあるはずです。

  • 無言のまま電話を切られる
  • さまざまなセールスなどの電話がよくかかって来ているということで怒られる
  • 過去に架電していたことがあり、嫌味を言われる
  • 電話営業自体が嫌いで職業そのものを否定するような説教をされる

コールセンターからの電話に対しては、「早く電話を切りたい」という思いからあまりマナーに配慮しない話し方をする人が少なくありません。

これは職業柄やむを得ないところがあり、気になる人はどうしても少しずつストレスが蓄積されていってしまいます。

また、インバウンドの仕事でも時に理不尽なクレームでひどく怒られるような場合があります。それをきっかけとしてこころのバランスが崩れ、うつなどを発症してしまうケースもあるのです。

目標管理の厳しさ

コールセンターではオペレーターを評価する基準のひとつとして、数値目標を設定しています。インバウンドにしてもアウトバウンドにしても受電や家電の件数について時間あたり、1日あたりなどでどれだけのアクションをするかが求められるのです。

アウトバウンドでは特に売上へつながる成果が求められるため、アポイントメントや資料送付などいくつもの件数目標を課しているセンターが目立ちます。

オペレーターはそのそれぞれを達成しなければならず、なかなか心が落ち着かずに毎日を過ごすことになります。

コールセンタースタッフに必要なスキルって?適性チェック!

「コールセンターの仕事」と一口に言っても、電話をかけると受けるとでは対応が大きく異なります。

それによって向いているタイプ、そうでないタイプが違いますから転職を考えるときには次のようなことに注意しなければなりません。

必要なスキル

大前提が人と話をする仕事ですから、まずは最低限のコミュニケーションスキルがなければ話になりません。

その上で、会話の主導権をどちらが握るかによってそれぞれ異なったスキルが必要とされます。

インバウンド

お客さんからの電話を受けるインバウンドのオペレーターが的外れな応対をしていては、相手をいらだたせていくばかり。

お客さんが何を言わんとしているかを迅速に把握しなければ顧客満足からはかけ離れてしまいますから、求められていることを的確につかむ理解力やヒアリング力が必須となります。

アウトバウンド

アウトバウンドのオペレーターは、多くの架電をする中で数少ないチャンスを確実につかまなければなりません。

少ない会話でニーズを探るために、多くの情報を引き出す質問力や問題を解決するための提案力が要求されます。

業務への適性

共通して、紹介する商品やサービスがお客さんのためになるものであるという思いを持つことが必要です。

もちろん商品やサービスに関する十分な知識を持っていて、それだけでなくできれば関係する事柄についても理解を深めておくことが理想です。

インバウンド

たとえば、お客さんは商品やサービスに起こっている不具合の状況についてうまく説明することのできない場合があります。

そんなとき、インバウンドのオペレーターには相手の話をさえぎることなく聞く落ち着きを持っていることが望まれます。

元から自分が話すよりも聞き役になることが多い、聞き上手であるというところがあれば十分な適性はあるでしょう。

アウトバウンド

センターからのコールが成約につながる率は非常に低いため、アウトバウンドのオペレーターにはとにかく架電の数をこなすことが求められます。

掲げられている目標を達成することにこだわり、チャンスを貪欲につかみとろうという積極的な姿勢は大いに好まれます。

雇用形態別の就業状況・転職事情はどうなっているの?

各地で数を増やしているコールセンターから出されている求人募集は、ほぼ常時目にすることができます。

採用されて実際に働いている人たちの状況については、どのようになっているのでしょうか?

全国的なコールセンターの分布

全国的にコールセンターの数は増加しているのですが、やはり運営にはそれなりのコストがかかることから地方で多く開設されている傾向があります。

また、各企業ではオペレーターの対応を均一化するために方言などから地域性が現れることを嫌いがち。そのため、標準語とイントネーションの差異が少ない札幌や仙台は早くから注目され多くのコールセンターが立地しています。

標準的な人員構成って?

複数の勤務時間帯を用意して短時間勤務のスタッフを集める場合が多く、アルバイトや派遣社員がかなりの割合を占めています。

特にオペレーターはほとんどが非正規雇用者であり、正社員はスーパーバイザー以上の管理職に多くなっています。

経験があっての転職であれば、最初から管理職として社員待遇で中途採用される事例が多くあります。そうでなければ、オペレーターとしての業務を経験した上でその実績によって役職者へ昇進していくということになります。

未経験でも大丈夫?

コールセンターに対する需要が増している昨今、求人への応募対象を経験者に限定していてはスタッフの人数を充足させることができないという事態になっています。

そのため、未経験であってもよほどのことがなければ不採用になるということはないでしょう。社会人として電話に関するマナーが身についていれば、最低限でも実務へ入ることはできます。

商品やサービスの専門知識などは、研修の場などを通じておいおい身につけていくことになります。正社員として異業種からの転職を目指す場合は、電話というツールを使った仕事にはなりますが前職までの経験を活かすことが可能です。

一例として…

  • 営業職から転職する場合、外回りの営業手法を応用することができる
  • 事務職から転職する場合、電話応対のマナーがそのまま活きる

スタッフの定着率

離職率は高く、2015年に刊行された仲村和代さんの著書である「ルポ コールセンター 過剰サービス労働の現場から」によると1年間の離職率は9割とされています。

この数字には正社員だけでなくアルバイトや派遣社員が含まれているのですが、やはり非正規のスタッフは就業へのハードルが低いだけに退職も簡単に決めがち。

先々を考えてじっくり働いていこうとするならば、正社員として転職することを考えましょう。

まとめ

業態として勢いがあるコールセンターでの仕事は、誰にでも挑戦することができるものです。ですが相手の顔は見えず、声だけで商品やサービスを紹介したり問題を解決したりしなければなりません。

単純に話をしていれば良いだろうというイメージでいると、痛い目を見ることになるでしょう。

転職を考えるのであれば甘く考えず、正社員として後々管理職になって活躍の場を広げようとしっかり意識することが大切です。