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転職を考える際、転職先が倒産するというケースは誰も想像したくはありません。しかし、年間に9,000件以上の企業倒産が発生しているのも事実です。ここでは転職において、倒産しにくい企業の探し方についてご説明します

経営が危ない企業はこんなにある

2015年の年間倒産件数

東京商工リサーチによると、2015年に倒産した企業は8,812社で、7年連続で前年件数を下回っています。これらの多くは中小企業ですが、「大企業なら安心!」というわけではありません

注目すべきは負債総額です。2兆1,123億円で前年比で12.7%増加しています。これは、負債額が100億円を超える大型倒産が15件と同2倍になったことによる影響が大きいと言われています。

30代後半からは骨をうずめることができる企業を選びたい

特に30代半ばをすぎてからの転職においては、元から再転職するつもりである方は別として、骨をうずめることができる企業を選びたいものです

なぜなら、30歳を超えると転職市場において、「若手」とは評価されないためです。ご存知のとおり、一部のキャリアを除いて、歳をとればとるほど転職の選択肢が限られてきます。独立起業でもしないかぎり、誰もがいつかは骨をうずめる企業を探す日が来るのです。

そして、骨をうずめるなら、経営状況の良い企業を選びたいものです

倒産しにくい会社とは?転職先の置かれた状況の確認

競合企業は少ないか、参入障壁は高いか

まず、転職しようと考えている企業にライバル企業、いわゆる競合企業がなければ、その企業の将来は当分安泰です。競合企業がいると当然価格競争が起こり、利益の減少につながります。独占的な企業の強みは価格決定力が高いところにあります。

また、現時点で競合企業がいなくても、参入障壁が低い場合は、今後新規参入した企業がライバルとなる可能性があります。参入障壁とは、ある企業が別の業種に新規参入する際の困難さを指します。

例えば、自動車産業は工場という多額の設備投資と、設計・開発に高い技術力が求められるため、比較的参入障壁が高いと言えるでしょう。そのため、過去何十年にも渡って、大手と呼べる自動車メーカーは新たに現れていません。

そして、法による規制はさらに高い参入障壁となります。例えば、国や地方自治体を顧客とする建築業者は競争入札するための資格が必要です。資格を得るためには国や地方自治体が発注した工事を施工した実績が必要となるため、新たに参入することが非常に困難です。

また、生命保険などの保険業は、保険業法に守られています。ライフネット生命保険株式会社が戦後唯一創業された独立系生命保険会社であることからも、その障壁の高さがうかがえます。

代替技術の脅威はないか

一方、参入障壁が低くても、全く異なる技術によって業界全体が脅威にさらされる可能性もあります

例えば、民法テレビ業界は従来安定して利益を生み出していましたが、今やネットストリーミングテレビやソーシャルネットワーク(SNS)に押されて、視聴率を下げ続けています。ラジオや新聞、雑誌に至っては、広告収入においてインターネット媒体に完全に逆転されてしまいました。

オックスフォード大学の研究によると、今後は人工知能の発達によって、半分近くの職業が機械やコンピュータに置き換わる可能性があると言われています。あくまで可能性でしかありませんが、そういった業種に偏った企業の場合、注意しておいた方がよいでしょう。

見分けるポイントはここ!(上場企業・大企業編)

IR、財務ハイライト、財務諸表は宝の山。過去にさかのぼって確認する

倒産しそうな企業を見分けるには、業績と財務状況を確認するのが最も有効な方法です。そして大企業であれば、これらはホームページで簡単に確認することができます。

上場企業であれば必ず開示されています。ホームページの「IR情報」や「業績ハイライト」「有価証券報告書」を確認してみましょう。

また、Uletであれば、上場企業の財務指標や企業概要、経営課題、事業リスクといった情報を確認することができます。また、このサイトが便利な点として、企業の財務情報を簡単に比較することができる点をあげることができます。

では、次の章から経営が危ない企業のチェックポイントについて解説します。なお、ここで説明する項目は「有価証券報告書」に載っています。

収益性

営業キャッシュフローや経常利益がマイナス(商売と経営がうまくいっているか)

営業キャッシュフローとは、その企業が本業によって1年間で得た現金の額です。そのため、営業キャッシュフローはプラスであることが望ましく、多いほど良いと言えます。その企業の「実力」とも言える「本業の儲け」がマイナスの場合、経営状況は良くないと言えます。

また、仮に営業キャッシュフローがプラスでも、経常利益がマイナスであれば、その企業が
借入金の返済や利息の支払いに苦しんでいることがわかります。

売上高営業利益率が低い(効率よく儲けているか)

売上高営業利益率とは、これが高ければ高いほど良いとされる収益性の指標です。

売上高営業利益率=営業利益÷売上高

営業利益も売上高も損益計算書で確認することができます。売上高営業利益率は業界によって違いがあります。卸売業はかなり低めですし、サービス業は高めです。そのため、売上高営業利益率は同じ業界内の競合企業と比較するようにしてください。

また、「営業利益÷従業員数」で一人あたりの営業利益がわかります。これも収益性を確認するための良い方法と言えるでしょう。

安全性

流動比率が低い(借入に対する返済能力)

流動比率とは、負債に対する企業の支払い能力を見るための安全性の指標です。

流動負債=流動資産÷流動負債✕100

流動資産も流動負債も貸借対照表で確認することができます。一般的に、200%以上が望ましいと言われています。また、単年で評価するのではなく、過去5年程度を推移を確認することも重要です。また、流動比率が高めの業界もあるため、競合企業の数値と比較するようにしましょう。

成長性

営業利益増益率がマイナス(商売は成長しているか)

営業利益増益率とは、その名のとおり、本業の儲けがどの程度伸びているのかを示す成長性の指標です。営業利益は損益計算書で確認することができます。前年度の営業利益に対して当年度の営業利益がどれだけ伸びているかで算出することができます。成熟した業界や成長が鈍化した大企業よりも、成長産業や上場前後の企業の方が高くなる指標と言えます。

見分けるポイントはここ!(非上場・中小企業編)

上場企業の場合、金融商品取引法によって、有価証券報告書の開示が義務付けられています。そのため、転職者は事前にその企業が倒産しそうにないかを財務面から確認することができます。しかし、転職を検討している企業が非上場企業である場合、事業報告書を開示するかの判断は企業に委ねられます。ここでは、事業報告書が開示されていない場合の見分け方について説明します。

現金に困っていないか

倒産前の企業はとにかく現金に困っています。しかしどの企業も「現金に困っています」なんてことは表に出しません。そんなことが表に出た途端、取引先企業はあっという間に離れていき、仕入れもままならなくなるためです。では、どうやってその兆候を掴むべきでしょうか。

現金に困っている企業はまず資産の現金化を急ぎます。例えば、自社ビルを売却して賃貸ビルに借り換えたり、保有している特許や著作権を売却します。本社や支社の移転はホームページにも必ず掲載されますので、チェックが必要です。

また、直近にメインバンクが変更されている場合も注意が必要です。メインバンクは当然その企業の懐事情を把握していますので、資金の貸し渋りが起こってメインバンクを変更するケースもあります。

成長性が高い企業においても、その成長過程でメインバンクを変更するケースもあるため、一概には言えませんが、いずれにしても注意が必要です。メインバンクについては、東京商工リサーチや帝国データーバンクで調べることができます。

従業員の年代比率(新卒大量採用、ベテランと若手だけは危ない)

企業が倒産しそうかどうかを一番知っているのは、メインバンクですが、次によく知っているのは他ならぬ従業員です。そして、油ののった20代半ばから30代半ばの従業員は次々と離職していきます。転職を検討している企業がベテラン企業と極端に若い従業員で構成されているケースや、常時・大量に若手を募集しているケースには注意が必要です。

インターネットで分かることは意外と多い!

経営者の経歴をチェック!

インターネットに掲載された情報は玉石混交ですが、その企業の経営者が発信した情報は非常に重要な情報です。

例えば、ワンマン企業において経営者が次々と会社を立ち上げては売却し、また立ち上げているというケースであれば、その企業もいずれは売却される可能性があります。ワンマン企業の場合、経営者がいなくなると経営は大きく傾きます。

従業員のSNSへの投稿をチェック!

SNSには勤務先を開示しているユーザーが多くいます。転職を検討している企業の従業員を名乗る人物が会社についてネガティブな内容を投稿しているケースは注意が必要です。そういった人物が複数いれば尚更です。

転職クチコミサイトをチェック!

インターネット上には転職クチコミサイトがいくつもあります。

これらのサイトでクチコミを調べるのも有効です。インターネットに掲載された情報を鵜呑みにするのは危険ですが、特に、法令遵守に問題がありそうなケース、元営業担当だったと名乗る人物が「とにかく現金回収に厳しい」といったクチコミを寄せているケースには十分注意してください。近年、法令違反を起こした企業はあっという間に「炎上」して、業績に大打撃を受ける例が数多くあります。

転職エージェントを使った倒産しにくい会社の見分け方

最後に、転職エージェントを活用することで、転職リスクの低い企業を見つける方法についてご紹介します。

転職エージェントは業界情報に詳しい

もしもあなたが現職とは異なる業界への転職を考えているなら、迷わず転職エージェントの話を聞いてみるべきです。なぜなら、転職エージェントはその業界の利益構造や業界全体が好調か不調か、今後5年間の予想される動向について、多くの情報を持っているためです。

ここまでの章で紹介してきた数字等は「開示された情報」です。しかし転職エージェントが持っているのは「開示されていない情報」なのです。転職という大きな決断をするのであれば、あなた自身が動いて「開示されていない情報」を取りに行くことが重要です。

転職エージェントを使う企業には資金が必要

そして、転職エージェントを通じて転職すること自体が倒産しそうな企業を選ぶリスクを下げてくれる効果があります。

なぜなら、一般のホームページ等を通じた採用よりも、エージェントを通じた採用の方が企業側の費用がかかるためです。

倒産しそうな企業がほしいのは現金です。通常の採用よりも現金を使って採用活動を行っているということは、それだけでも「早々に倒産することはない」ということのサインでもあるのです。

まとめ

いかがだったでしょうか?
「とにかく数字が嫌い!」という財務諸表にアレルギー反応を起こす方や、企業の実態を調べるのが手間だとおっしゃる方もいますが、転職先が倒産した場合、あなたの一生にも影響があります。あなたの転職先が安全かどうかを紹介した方法で調べてみてはいかがでしょうか。