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学生時代の厳しい就職活動をくぐり抜け、新卒で就職を果たした企業でもすぐに辞めてしまう可能性はあります。

そのような状況では、仕事について十分なスキルや専門的な知識を身につけるに至っていません。短期離職者となってそれから再就職先が見つかるのか、大きな不安に襲われても仕方ありません。

近年の人材市場においては、新卒から3年未満での離職者が第二新卒者という扱いになって中途採用者と区別されるケースが増えてきました。

この記事では新卒からの再就職事情について、転職活動のポイントとなる点なども踏まえながらご紹介します!

新卒者の短期離職状況

新卒者の短期離職については、大卒で就職してから3年を経過するまでに離職している割合がおよそ3割に達していて憂慮すべき状況となっています。

厚生労働省が発表している「新規学卒者の離職状況」や「若年者雇用実態調査」などのデータをもとにして、状況をくわしく見ていきましょう。

厚生労働省の発表データ

「新規学卒者の離職状況」として卒業年別、学歴別で新卒者の離職に関する状況がまとめられています。

それによると2013年に新卒として入社した大卒者のうち31.9%、高卒者のうち実に40.9%が入社から3年のうちに離職しています。

内訳としては、次のようになります。

離職時期 1年目 2年目 3年目 合計
大卒者 12.8% 10.0% 9.1% 31.9%
高卒者 20.1% 11.8% 9.1% 40.9%

大卒者と高卒者のいずれについても就職してすぐ、1年目のうちに離職している人の割合がもっとも高くなっています。

入社1年目で離職した新卒者の割合については近年、以下のようになっています。

入社年月 大卒者 高卒者
2013年4月 12.8% 20.1%
2014年4月 12.3% 19.5%
2015年4月 11.8% 18.1%

このデータは1987年から公表されているのですが、学歴にかかわらず3年目までに離職した人のうち半数近くは1年目で辞めているという傾向があります。

つまり、仕事の内容や職場の環境などに思うところがあって次のステップへ向けて行動を起こそうとするまでのタイミングがかなり早いのです。

これは、新卒からの短期離職者という立場が再就職先を探すにあたってメリットとなることも関係しています。

離職につながる理由

「若年者雇用実態調査」の中で、転職経験者が初めて入社した企業を辞めた理由に関してデータがあります。

順位 理由
1位 労働時間・休暇・休日の条件がよくなかった
2位 人間関係がよくなかった
3位 仕事が自分に合わない
4位 賃金の条件がよくなかった

労働条件への不満は仕事を続けていくことに対する身体的、精神的な不安につながり退職へ至ったということになります。

人間関係は職場環境、仕事との相性は業務内容とのミスマッチであり給料への不満は自分への評価に対する疑問とも解釈されます。

いずれにしても、短期離職者は新卒者として入社した企業が希望する労働条件やライフスタイルに合わないという結論に達したところで離職を決めていると考えられるでしょう。

短期離職者に対する企業の見方

企業は短期離職者に対して肯定的、否定的な相反する見解を持っていてそれぞれの視点から採用活動へ臨んでいます。

再就職活動を行う上では短期離職者のどこが注目されるのか、何が不安視されているのかについて理解した上で面接を受けなければ良い結果は得にくいでしょう。

短期離職者への肯定的な見解

積極的に新卒の短期離職者などの第二新卒者を採用している企業では、その肯定的な部分を評価しています。

新卒者の一定割合が早期離職していることで、若い世代の人員が不足している企業は少なくありません。人材を補うにあたり、第二新卒向けの求人を出せば通年採用を行うことができ企業にとってもメリットが大きいのです。

若さへの期待

再就職を目指す新卒の短期離職者はまだまだ若く、将来的な成長に期待することができます。

また、柔軟性に富んでいるため教育しやすく適応力もあるので職場の環境や実務にもなじみやすいであろうと見込まれるのです。

社会人経験の評価

第二新卒者は、短い期間で離職しているとしても間違いなくそれ以前に就職していた経験があります。ビジネスマナーなど社会人としての基本が備わっていることは、確実にプラスの評価へとつながります。

また、前の職場と相性が悪かったとしても退職を決意するまでに自分を見つめ直し仕事について熟慮した経緯はあるもの。

働くということについて考えてきた過程で、労働への確たる目的意識を持つようになっている人が多いのです。

そのあたりも、純然たる新卒者より前へ進んだところにスタートラインを設定することができるポイントとして認められるでしょう。

否定的な見解

新卒で短期離職をしていると、企業が再び短期間で辞めてしまうのではないかという懸念を持ってしまっても仕方がありません。

退職までの期間によっては、次のようなマイナス評価になることも考えられます。

  • 忍耐力がない
  • 社会人としての意識に欠けている
  • 勤労意欲が低い

採用担当者はたくさんの入社希望者を見極めてきたプロですから、前職を辞めたことについて納得することができるだけの理由を聞くことができなければ容易に採用しません。

再就職を考えるにあたっては、こういった前提を踏まえた上で前向きな姿勢をアピールするための準備が必要です。

第二新卒者として再就職を目指す

第二新卒者という扱いで再就職を目指す上では、まず第二新卒であることのメリットとデメリットを理解しておかなければなりません。

その上で、学生時代の就職活動と同じように「今の自分」に対する自己分析を行い就職先に関する情報収集をすることも大切。

短期離職をしたという負い目から急いで次の職場を見つけなければならないと焦り、安易な理由で転職を決めてしまう事例は少なくありません。

このような理由で再就職先を選ぶことは、NGです!

  • 募集要項を見て給料が良さそう
  • 会社概要だけを見て安定していそう

転職先の職場に対してまた不満を持ち辞めることになると元も子もありませんから、「急がば回れ」で入念に準備することを第一に考えましょう。

必要な準備

再就職というゴールを設定したならば、無理なく段階を踏んでそこへ向かっていく必要があります。

就職活動の成功率を高めるためには闇雲に動き出すのではなく、まず必要とされる準備を万全にすることがスタートです。

経費や「生活の糧」の確保

転職活動をするには相応の時間がかかりますし、必要なものを購入したり面接へ出かけたりするために「経費」が発生します。

転職活動だけに専念するとなれば、その間は無職であり「生活の糧」を得ることができません。

いついつまでには次の職場を見つけようと期限を決め、そこまでの資金を確保した上で計画的に動いていきましょう。

退職理由の分析

自分が短い期間のうちに職を辞してしまった理由について改めて分析することは、再就職を成功させるためにもっとも重要であると言っても過言ではありません。

自分の悪かったところは認めて反省し、次の仕事ではどのように改めていくのかと考えます。

たとえば就業環境や労働条件に関する不満があったということであれば、そもそも企業に関する情報収集の手法に問題がなかったかどうかを省みることで次に行う情報収集のアプローチが違ってきます。

応募する企業のピックアップ

短期離職した理由を振り返り分析した内容をもとにして、今の自分が望んでいる働き方や仕事について考えてみます。

その条件に沿って再就職先を検討し、求人情報を収集した上でいよいよ応募書類を用意すれば再就職活動は本格的にスタートです。

短期離職者を多く採用している業種や職種に注目する

短期で離職したという事実がある以上、元から短期離職者を積極的に採用している業界や企業の存在は再就職を考える上で近道になります。

具体的には景気の好況や需要の増加によって業績が好調な業界、今後の成長が期待される業界などが挙げられます。

業界 職種 特記事項
情報通信 SE、Webデザイナー 経歴は問わず、スキルを重視して採用
製薬 MR 専門知識が必要とされるものの、若手を育成すべく未経験者を積極的に採用
不動産 営業 大手から中小まで、意欲を重視して採用

なお、第二新卒者を多く採用している企業では新卒者と同条件の研修制度などを整え働きやすいよう配慮している傾向があります。

再就職活動のポイント

新卒からの再就職活動を成功させるためには、前職での失敗や反省を糧としなければなりません。これからどうなりたいのか、あらたな職場や仕事に何を求めるのかを明確にして選考へ臨むことが大切です。

面接の場において、面接官は転職を考えている理由や志望動機が理に適っているかどうかをチェックしています。

採用担当者をうなずかせるだけの説得力がある「答え」を用意するために、いくつかポイントがあります。

改めての自己分析

今の自分を分析する

新卒者としての就職を目指し学生時代に就活を始めるにあたり、誰しも自己分析をした過去があるはずです。

ただ、その時点で思っていた長所や短所と社会へ出て一定の期間を過ごして思う長所や短所は違っている可能性があります。

就職して働いてみた中で、それまで知らなかった自分のあらたな一面に気づくという場面が往々にしてあるのです。

仕事を経験したことによって変化した自分について、改めて現時点での自己分析を行うことが不可欠です。

分析結果を再就職活動に役立てる

今の自分について客観視した上で、志望動機として転職に望むことやスキルアップしていきたい部分を突き詰めて考えていきます。

働きながら、あるいは離職してから資格の取得など自己啓発に時間を費やしていたということであればそれも自己PRの材料となります。

面接の場で話さなければならないことは、以前の職場に関する不満や自分の将来に対する不安ではありません。

もちろんインターネット上やマニュアル本で紹介されているような言葉を上っ面で語っても通用しませんから、自己分析の結果をもとにして自分の言葉で伝える内容を用意する必要があります。

転職エージェントを活用する

学校からのサポートがある学生当時の就職活動と違い、短期離職後の再就職活動は自分の力だけで進めていかなければなりません。

ですが、気になっている企業の職場環境などといったくわしい内部情報までを個人で収集することには限界があります。

そこで転職エージェントに登録すれば転職先の紹介から勤務条件に関する交渉、面接のスケジューリングまでさまざまなサポートを無料で受けることが可能。

それだけでなく、キャリアコンサルタントという第三者の担当者から人材として見られることで自分で知らなかった長所や仕事への適性が見つかる可能性もあります。

まとめ

第二新卒者の採用は活発になってきていて、新卒から短期間のうちに離職したからといって再就職先がないだろうと悲観する必要はありません。

ただし、なんとなく仕事を辞めてしまったから次の職場を探すということでは残念ながら良い転職先を望むことはできないでしょう。

転職活動を成功させるためには、じっくり自分を見つめ直すとともに情報収集の手間を惜しまないことが大切。

便利な転職エージェントも積極的に利用して、希望に合った再就職先を見つけたいところです。