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今回は、オールラウンダーの転職エージェント・パソナキャリアと、親身・親切なキャリアサポートで利用者の評価が高い転職エージェント・マイナビエージェントを比較します。

正直なところ、どちらを登録すれば良いか分かりませんよね?そこで、今回も5つのポイントから両社を分かりやすく比較し、あなたに登録をおすすめできるポイントを探っていきます。

その際に重要な視点が、転職エージェントのビジネス構造。どういう成り立ちでサービスがスタートし、何をターゲットにどのような営業戦略を描いているのか。

小難しい話に聞こえるかもしれませんが、あなたのビジネス人生を左右するうえでは、ぜひ知っておいていただきたい視点なのです。

今回も、元業界人、キャリアアドバイザーだった私による、専門的ですが、分かりやすい解説を心がけていきます。どうぞ最後までお目通しください。

パソナキャリアとマイナビエージェントを求人数で比較

まず、求人件数を単純比較してみましょう。

パソナキャリアは、HPによれば、非公開求人が2万5千件、取引実績社数が約1万6千社になります。一方、マイナビエージェントは、調査したところによると、非公開求人が約2万3千件あります。

両社ともそれほど違いはない、という結果になりました。

この際に両社を分けるポイントは、後述しますが、キャリアアドバイザーとの相性になってきます。転職エージェントでは、転職者自身が求人検索をしないため、キャリアアドバイザーの力量によって、有望な紹介求人が来るか決まるからです。

その点、パソナキャリアは、求人件数が少ないにもかかわらず、最大手のリクルートエージェントに負けないくらい紹介求人が来る転職エージェント、という評価も多いです。これは、パソナキャリアが情報の「鮮度」が良いことを示しています。

情報の鮮度とは、いったん求人企業からオーダーがあったら、そのオーダーが「生きている」か管理する能力のこと。

求人企業の中には、オーダーを出したら出しっぱなしというところもあるので、求人情報がクローズしていないか、細かくチェックしていかなくてはなりません。

パソナキャリアはその点、管理が徹底されている印象です。反対に、マイナビエージェントは、求人件数のわりに紹介数が少なく、管理が甘い印象がぬぐえません。

単純に求人数を比較するだけではなく、一歩深掘りをして情報の中身をチェックすることも必要ですよね。

パソナキャリアとマイナビエージェントを求人の質で比較

パソナキャリアは、パソナキャリアが属するパソナグループは、連結対象子会社58社。持分法適用会社4社。海外拠点53か所の巨大な総合人材サービスグループの1社。

このグループの総合力が大きいです。業界問わずまんべんなく張り巡らされた人材サービスのネットワークを駆使した情報収集力で、パソナは他社を凌駕しています。

この「食い込みの深さ」が重要で、特に、企業の業務処理を一括してアウトソーシング(外注)を受ける、「ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)」事業を展開していることが大きいです。

通常、人材サービスの営業先の窓口となるのは企業の人事部止まりで、現場部門の責任者と会える機会は滅多にありません。そのため、現場の細かい人材ニーズにまでフィットした情報が収集できず、紹介時にミスマッチを引き起こすことが多くあります。

パソナキャリアはその点、BPOに進出することで、日常的に業務を処理している現場部門のニーズをくみ取ることが出来ているのです。このパソナの情報収集力が、穴のないオールラウンダーの転職エージェントとしての地位を確立しているといえるでしょう。

一方、マイナビエージェントは、もともと求人広告媒体を運営していた毎日コミュニケーションズを前身として出発したサービスです。企業の求人広告の営業というと、典型的な人事部止まりのサービスですから、求人開拓力で比較すると、パソナキャリアより力が落ちます。

ただ、毎日コミュニケーションズ時代の求人媒体は、現在もマイナビとして転職求人サイトとして発展しています。コストパフォーマンスが良いことから、企業の人事部に長年のファンが多く、そうした信頼関係を通じて、マイナビエージェントが転職紹介の求人開拓でブランドを築いている面はあります。

結論的には、職種、業種問わずオールラウンドな求人の紹介と紹介の質を取るならパソナキャリア、中堅企業を中心に、昔ながらの信頼関係で求人の質を取るならマイナビエージェント、といったところでしょうか。

パソナキャリアとマイナビエージェントのサポート体制を比較

ここでいうサポート体制とは、キャリアアドバイザーの質以外の部分、転職ノウハウや情報提供のコンテンツ部分の充実度です。

パソナキャリアとマイナビエージェントのHPを比較しましたが、コンテンツをいろいろと整備しているのはパソナキャリア。

「転職ノウハウ」と書かれた場所をクリックすれば、「転職活動のはじめ方」「キャリアについて考える」など、転職のフェーズ(段階ごと)に沿って、転職活動のノウハウ・コンテンツが展開していく流れになっています。職務経歴書のサンプルもダウンロードが可能です。

ただ、厳しいことをいえば、内容は通り一遍の在り来たりな内容。ネットでググれば調べられる内容を簡潔にまとめ過ぎていて、痒いところに手が届いていない印象です。

ワンストップで細かいニーズにまで行き届いた転職コンテンツの作成という点では課題を残します。ライトな働く人へのお役立ち情報をまとめた「はたラボ」も同様です。

一方、マイナビエージェントは、「職種図鑑」「平均年収ランキング」など、読み物としては面白いかもしれないが、転職活動の実践に役立つコンテンツが少ない・・・。

総合的にみて、両社とも転職コンテンツの充実にはあまり力を入れていないというのが結論でした。「転職活動のいろは」的なことを学ぶならば、市販の転職本を買う、ネットで調べるといった方が得策でしょう。

この背景には、両社とも、次のパートで述べるように、マン・ツー・マンでの個別の転職サポートに力を入れる営業戦略を取っていることが影響していると思われます。

パソナキャリアとマイナビエージェントをキャリアアドバイザーの質で比較

キャリアアドバイザーの質は、転職エージェントを通じたあなたの転職活動の成否を左右します。

この点、ネットの口コミサイトの単純比較では総じて評価が高いのがマイナビエージェントです。一言でいえば、「親身・親切」

一方、パソナキャリアのキャリアアドバイザーも、職務経歴書の添削が丁寧、模擬面接も実施してくれるなどの評価がある反面、「常識に欠ける対応が結構ある」「上から目線で横柄に感じた」といった批判も目にします。

総合的にみて、客観的にみるとマイナビエージェントの評価が高いです。

ただ、利用者目線ではマイナビエージェントのキャリアアドバイザーの評価が高いかもしれませんが、それが決して、「あなたにとって最良のキャリアアドバイザー」を意味しないことには注意が必要です。なぜなら、利用者にとって居心地の良いキャリアアドバイザーということは、利用者の言い分を100%汲んでしまうキャリアアドバイザーになりがちです。

それでは、たんに「お手伝いさん」になってしまい、第三者的な立場からこれからの転職をサポートするアドバイザーとしての意味はないのです。

あなたにとっては、キャリアアドバイザーが多少押し付けがましいところがあっても、有益な求人情報を提供し、時にはあなたが気づかなかったポイントを指摘してくれるキャリアアドバイザーの方が、視野が広がり、結果としてハッピーな転職につながるキャリアアドバイザーになることも十分考えられます。

その点、キャリアアドバイザーの教育に不安点を残していますが、パソナキャリアのアドバイザーも十分考慮に値する転職エージェントです。

マイナビエージェントのキャリアアドバイザーのようなタイプを好む方は、転職活動自体をじっくり長期戦で考える方には向いていると思います。

パソナキャリアとマイナビエージェントを利用しやすさで比較

最後のチェックポイント。利用しやすさで比較してみましょう。

パソナキャリアもマイナビエージェントも大手総合型の転職エージェントです。様々な業種・職種の取り扱いがあり、多様な人材に門戸を開いている点で、登録しやすさとしては甲乙つけがたい面があります。

また、転職サポート期間も特別な制約がなく、速攻で転職を決めたい方、じっくりマイペースに進めたい方、両方におすすめできる転職エージェントです。

私は、転職エージェントを複数組み合わせて利用することをおすすめしています。その点を踏まえたパソナキャリアとマイナビエージェントの利用イメージですが、

  • 他の大手総合型の転職エージェントにはない独自求人で、レスポンスも早く、視野が広がる転職の選択肢を望むならばパソナキャリア
  • 長期戦じっくりマイペースで、自分が主導権を握った形で転職活動を進めたい。親身なサポートで二人三脚による転職エージェントのサポートを望むならばマイナビエージェント

といったところでしょうか。

最後に

パソナキャリアもマイナビエージェントも、それぞれ特色ある転職エージェントであることがお分かりいただけたでしょうか。

この特色の部分が、自分の転職ニーズとマッチしているか、しっかり考えておくことが大切です。合わない転職エージェントと転職活動のパートナーとすることは時間の無駄であるだけでなく、時に有害ですらあるからです。

両社の特色を上手く活かして(もっといえば、上手く使って)、効果的な転職活動の成功につなげていっていただければと思います。