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「老健に移動になった〜(涙)」

という声を周りの理学療法士から何度聞いてきたことか…

理学療法士にとって、医療施設から介護老人保健施設(以下、老健)への異動は不安になることが多いようです。

こんなことを言ってしまうと、今から老健への転職を考えている方にとって不安を書き立ててしまうかもしれませんね(笑)

でも、不安に思う気持ちもしょうがないと思います。

老健は理学療法士を始めとするリハビリ専門職の配置が必須とされる数少ない介護施設である一方、医療施設と制度的な部分を含め違いが多すぎます。

学生時代も就職後も老健で直接働くことのない限り、業務内容なんて知る機会ないですよね。

今回は、そんな老健で働きたい理学療法士のために必要な情報を紹介したいと思います!

そんな私も老健に10年近く携わっています(現在進行形)ので、是非参考にしてみてください。

これからの老健で必要とされる理学療法士の仕事内容

老健は「医療と在宅(施設)の中間施設」という名目で介護保険制度開始から、重要な施設に位置付けられ、さらにはリハビリ施設であると謳われています。

そのため、理学療法士の仕事内容もしっかりと確立されていると思われがちです。

でも、そんなことはありません!

介護保険制度も15年以上経過して、何度も改訂が行われています。もちろん老健も制度改訂の波にさらされ、役割を再確認していく必要性に迫られています。

巷では「小規模多機能施設」を文字って「大規模無機能施設」なんて呼ばれちゃってます(涙)

そんな中、理学療法士の役割も見直されているのが現状です。

今からの時代は老健で働く理学療法士は、しっかりと老健で求められる役割を果たす必要があります。

そこで、老健で働く理学療法士とって重要な仕事内容は次の2つになります。

1.リハビリテーションマネジメント
2.在宅生活支援

たったの2つ!?

と思われるかもしれませんが、一般的な理学療法士の治療などができることは大前提です。

それを踏まえた上で、老健ではこの2つの業務ができるかが非常に重要になります。

それぞれの業務内容を紹介していきましょう!

1.リハビリテーションマネジメント業務

医療施設では理学療法士は医療従事者として、いわゆる機能訓練を中心として実施します。

しかし、老健ではIADL動作を含む活動や社会参加に直結するリハビリを必要とします

また、それを理学療法士だけが実践するだけでなく、介護職を中心とした多職種が協働して生活の中で実践していく、「生活リハビリ」を行うことが重要です。

そこで、理学療法士に最も重要な役割は何か?

それは、リハビリをマネジメントしていく能力です。

老健のリハビリでは個別でリハビリ加算が算定できるのは最大40分です。

機能回復が落ち着いた時期でに40分間医療機関と同様の理学療法を行っては効果的ではありません。

そこで、生活場面でリハビリの視点を取り入れるために、理学療法士が多職種協働を調整する役割を担うのです。

そのような意味ではケアマネジメントを行う、ケアマネージャーの役割に近いかもしれません。

余談ですが、私はケアマネージャーの資格を取得しており、老健で働く上では非常に役立っています。

医療よりも理学療法士の業務が包括化されたハビリ施設でもある老健では、理学療法士によるマネジメント業務がより一層重要になるということを覚えておきましょう。

2.在宅生活支援業務

老健は在宅復帰施設であると同時に、在宅生活を支援する地域の中核施設という役割があります。

理学療法士だけでなく、医師や看護師といった医療職まで必須で配置されている介護施設は老健以外ありませんので、この役割は当然とも言えるでしょう。

ただ、今まで在宅生活支援と言っても十分に役割を果たせていないという実情もあり、今後は介護報酬などで評価していく流れになっています。

そのため、老健に所属する理学療法士が施設の外に出ることが必要になります。

施設の外にでると言っても、訪問リハビリだけではありません。入所前後の在宅訪問はもちろん、介護予防を中心とする総合事業への関与、ヘルパーと同行訪問などの役割を求められる可能性もあります。

そのため、理学療法士としての専門性を高めるのを大前提として、内部のマネジメント能力以外にも外部とのコミュニケーション能力が重要になります。

この点は、医療における中間施設である回復期病院と似ていますね。

ただ、老健は介護専門職や介護事業所との連携が中心となるという大きな違いがあります。

あまり、専門性を振りかざしてしまうと、連携なんてとれません。

あくまで、「協働」です。どの職種にもわかるように、そして同じ目標で進めるように連携を図り、利用者の在宅生活を支援することが重要なのです。

ここまで、老健の仕事内容について2つのポイントに絞って紹介しました。

在宅復帰に向けて、いわゆる理学療法士の専門的な関わりはもちろん重要です。でも、それだけができても全く通用しません(笑)

病院で長年トップを務めていた理学療法士が、老健では他職種から邪魔者扱いなんてことも実際にあります。

是非、ご紹介した内容はしっかり覚えておいてください!

老健はどこも働きづらい?オススメの転職先を選ぶポイント

最初にも言いましたが、医療施設で働いた経験のみでは、老健への転職は不安だと思います。

でも、老健にも理学療法士にとって働きやすい職場は多くあります!

そこで、オススメの転職先を選ぶポイントを紹介します。

ズバリ、最重要なポイントはリハビリ職員の数です!

というのも老健のリハ職の人員配置って知っていますか?

「入所定員100人あたり1人」です。

つまり多くの施設が定員100人未満なので、理学療法士を含むPOSのリハ職いずれかが1人いればOKということになります。

なので、リハ職が少ない場合も多いのです。

目安は4〜5人といったところです。(もちろん専従です)

これより少ない場合はリハ職の役割を理解されていないか、リハに積極的ではないと認識しましょう。

あとは実際に理学療法士がどのような働き方をしているのか次のポイントを参考に聞いてみるのがオススメです。

リハ職の働き方を見るポイント
・個別リハの実施状況
・介護業務への関わり方
・リハ職間での役割分担

最初に説明したように、老健で働く理学療法士は仕事内容が確立しておらず、施設によってかなり差があります。

介護職とうまく連携を図りながら生活リハビリを実践しているところもあれば、リハ室で流れ作業のように個別リハを行っていることもあります。

そのため自分はどのように老健でリハビリを実施していきたいかで、フィットする役割が変わってきます。

また、介護業務にどれくらい携わるかも重要です。施設によっては介護現場への介入もかなり多くなります。

先程のリハスタッフの人員に関連するところでは、どのリハ職がいるかという部分でも仕事な内容が異なります。

作業療法士や言語聴覚士の配置次第では、理学療法士がカバーすることもあります。(私も工芸の補助や嚥下訓練をしたりしました)

あくまで理学療法士としての専門性を重視するならば、POSとバランスよく在籍する老健がオススメです。

どちらにせよ医療施設と比べて、リハ専門職種間の業務内容に差が少ないということを念頭においておきましょう。

理学療法士にとって老健への転職状況は?

以前は介護保険施設である老健は理学療法士にとってマイナーな転職先であり、老健へ転職する理学療法士は貴重な存在でした。

しかし、今は若い理学療法士も老健で働くことが少なくない状況です。

そのため、今後、求人数は減少傾向になるでしょう。

また、老健のリハビリは包括報酬の部分も多く、リハ職の経験や技術が報酬に反映されない場合があります。

ここまで書くと、転職状況は芳しくないと思われるでしょう。

そうとは限りません!

施設によってはリハ職に対しての期待や役割が大きく、施設の管理者クラスに抜擢されるなど、収入も期待できます。

ただし、そのような魅力的な老健は退職する人も少ないので狭き門でもあります。

そのため、先程紹介した「転職先を選ぶポイント」を参考にして、良い転職先を逃さないようにする必要があるのです。

老健で介護領域のプロフェッショナルになろう!

老健は介護保険領域でも特に理学療法士が活躍できる施設です。

しかし、どこの施設でもリハが積極的というわけではありません…

もし、良い施設で勤務できれば、介護分野で活躍できる知識や技術を身につけることができます。

しっかり、老健の仕事内容や転職状況を把握して、良い施設への転職を目指しましょう!