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今回は、面接の突破力を上げるテクニックについてお話しします。とはいえ、特別なテクニックを伝授する、というわけではありません。

多くの転職エージェントでも似たり寄ったりの面接指導をしています。

しかし、深く考えていないのです。

この深く考える、という姿勢を身に付けると、面接の突破力は格段に上がります。面接の受け答えやコミュニケーション、姿勢が「一歩前に出る」ので、その他大勢から抜け出せるのです。

この一歩前に出る、9つのキーポイントについてご説明しましょう。

1.自己紹介と志望動機を徹底的に考える

面接では何が言えなければいけないことは、究極的にはこの2つだけです。この2つがちゃんと伝わっていれば、後は少々のことでトチったところで、面接は通ります。

なぜなら、面接官にとって、採用するうえで知りたい情報は、究極的には「あなたは何ができる人間なのか」ということと「当社でどうして働きたいのか」ということにまとめられるからです。

自己紹介と志望動機は面接の骨格となる部分です。

もちろん、他の応募者の方も、自己紹介と志望動機については対策しています。皆さん、「それなりのこと」は話せるのです。結果として、皆さん似たり寄ったりの自己紹介なり志望動機になっています。

大事なことは、「徹底的に考えた」自己紹介と志望動機を話せることです。1分程度で、「この人材は“使える”」と面接官に納得させられるよう、自分なりの言葉でブラッシュアップされていなければなりません。

面接の準備で、一番基本で一番大事にしなければならないポイントです。ぜひ押さえてください。

2.面接は「質疑応答」ではない、「コミュニケーション」だ

実際の面接で大事なポイントは、面接は、単に質疑応答をこなせば良いというわけではなく、面接官との「コミュニケーション」の場だということです。

コミュニケーションとはどういうことでしょうか。よく、話が上手い人、相手にウケる話が出来る人のことだと誤解されがちですが、そのようなものではありません。面接はもっと理性的な場で、ビジネス上の一致点について、相手とすり合わせていくものです。

上手くいっている面接は、話がどんどん展開していきます。「人事の仕事は何年やりましたか?」と聞かれたら、「5年です」では終わらせないで、「5年間、月毎の給与計算のほかに、賞与、社会保険事務、年末調整などを全般的に担当し・・・」と相手の求める人材像に合わせて、話を構造的に展開していくのです。これによって、いわゆる「会話のキャッチボール」が成立します。

これとは反対に上手く行っていない面接では、「なぜ当社に応募されたのですか?」「高いスキルの技術者が大勢いると思いまして」「それは他社にもいえることですよね。その中でもなぜ当社を?」「やっぱり、高いスキルの・・・」といったように話が堂々巡りになっています。

思い当たる節がある方は、上の2つの違いをしっかり捉えましょう。

3.キーワードを「自分の言葉」で翻訳する

自分の強みについて、「社交性」「協調性」「好奇心」「指導力」「企画力」といった、キーワードで終わらせている方が非常に多いです。

結果として、内容がその他大勢と似たり寄ったりになり、採用されるための「頭1つ抜けた」自己PRになっていきません。面接も表面的な質疑応答で終わってしまいます。

ここで大事なテクニックは、キーワードを「自分なり言葉」で翻訳し直してみることです。例えば、「協調性があります」と単に言った自己PRと、「多様な年代・立場の人と、お互いの違いを超えて協力し合って仕事を進めてきました」とでは、面接官がどちらの話の方が展開しやすいか、一目瞭然ですよね。

キーワードを自分の言葉で翻訳することで、厚みのある、中身のある自己PRに変わっていくのです。

4.職歴は、ストーリーを持って話そう

面接の序盤に、「あなたの今までの職歴について話してください」という質問は、ほぼ必ず聞かれるといって良いでしょう。

そんな時に、単に経歴を職務経歴書に沿って羅列的に話すのでは、コミュニケーションは成立しません。

ここで重要な点は、職務記歴に「筋」を持って話をすること。例えば「C言語だけではなく、Javaなど様々なプログラミング言語に携わってきた応用力のあるエンジニア」という筋を作り、それに基づいて担当したプロジェクトを具体的な経歴として話すのです。

これによって、「あなたはどのような実績を積み上げてきた人材なのか」「何ができる人材なのか」ということを理解してもらうことなのです。

5.具体的な固有名詞や数字で話す

前述した、職務経歴を「ストーリー」をもって話すことにも関係する点です。

職務経歴を話す際に、なるべく固有名詞や数字(実績)などを具体的で客観的に分かる要素で話すことを、どこの転職エージェントでも指導されると思います。

ここから一歩考えましょう。なぜ、具体的な固有名詞や数字で話す必要があるのでしょうか。

多くの方は、「今までやってきた実績の“証拠”になるから」と考えるでしょう。そこで終わったら、他の人と似たり寄ったりの実績紹介です。

もう一歩進めて考えるべき点は、「志望企業で実績を“再現”できるかどうか」という点です。過去に積み上げた実績を再現できるところまできちんと説明することで、面接官が求める人材像との一致点を結び付け、本当の意味での「面接のコミュニケーション」が成立するのです。

6.面接には「具体的な企画」を持って行こう

具体的な企画、と書きましたが、何も志望企業の経営改善計画みたいなものを持って行く必要はありません。

具体的な企画というのは、あなたという人材の「売り込み企画」のことです。

面接の質疑応答であなたが答える内容は、何かのアンケートに答えるように単純にこなしてはいけません。あなたの回答があなたという人材の「プレゼンテーション」になっていなければならないのです。

相手が興味を引くようなポイントは、求人票の「求める経験・能力」などにヒントが隠されています。求人票をしっかり読み直して、その求め人材イメージにあったプレゼンテーションを心がけましょう。

7.面接官が見ているのは「話の中身」ではなく「あなたの姿勢」だ

面接時のマナーについては別記事でまとめていますが、ここでは、「コミュニケーション」ということにフォーカスしてお話しします。

心理学の研究によれば、人間の第一印象は、表情、声、しぐさといった情報が大きく影響していることが分かっています(興味のある方は、「メラビアンの法則」という言葉で検索してみてください。)。プロの面接官も人間ですから、この影響からはまぬがれません。

転職エージェントの面接指導で、「面接では堂々とした態度で」とか「フルネームをはっきりした声で」といった指導がなされることは、実は科学的な根拠があるのです。

私的に直してお話しすると、面接で面接官が見ているのは、答えの内容よりもあなたの姿勢です。あなたの堂々とした姿勢が、話の中身に「真実味」を与える、ということは大いに起こりうることなのです。

8.結論を先に話すことがなぜ必要か

面接での質疑応答で、結論を先に話すことを指導された方も多いと思います。私も賛成です。面接での話し方も基本的にはこの型を意識して話しましょう。

理由は次の3つです。

  • 結論から先に話すことで、面接官に分かりやすく伝わる
  • 緊張していても、ぶれずに話すことができる。結論を後に持って行くと話をしている途中で訳が分からなくなってしまい、質問とずれた答えになりがちになってしまう。
  • 結論から先に話すことで、相手の反応が薄い場合に、話を止めることができる。相手が興味を示さない話をだらだらと続ける必要がない。

9.練習しないで面接を上手になろうというのは虫が良すぎる

今までお話ししてきた、面接のテクニックは、一朝一夕で身に付くものでしょうか。

面接は普通のビジネス交渉と違って、特殊な環境で行われるため、独特の緊張感があります。しかも、多くの方にとっては、新卒時の就職活動を除けば、面接を日常的に経験する機会がほとんどありません。

また、あなたが面接している時には、他の応募者という競争相手がいることも忘れてはいけません。その他大勢の中に埋もれてはダメなのです。

というわけで、面接にも他の技術習得と同様、練習が必要です。練習しないで上手くなることはありませんし、本番の緊張感を切り抜けることもできません。

また、人間である以上、ミスは必ずつきもの。そのミスを潰さずに、第一志望の会社の面接を受けるというのは無謀ですが、多くの方がろくに練習せずに第一志望の面接を受けています。

練習するだけで、その他大勢から抜け出せるのです。

まとめ

最後に、面接の自己PRなどで、その他大勢から抜け出す重要なポイントを1つ。

他の応募者にはない、あなたの本当の強みとなる要素は、あなたが日常的に仕事をしていることの中にあります。

私も面接指導や書類添削を通して、ご自身の魅力を伝えきれていない方にお会いした方に数多く出会いました。その原因の多くは、自分の職歴や自己PRの「掘り下げ」が不十分でした。

その他大勢から抜け出すためとは言っても、特別なことをすることはないのです。自己紹介や志望動機を「徹底的に掘り下げて考える」ことによって、自分の強みを引き出し、面接突破につなげていくのです。