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アルバイトの募集を探していると、「正社員登用あり」と記載されている求人広告が見かけられます。
アルバイトとして仕事をして、職場のことがよくわかった上で正社員として就職することができれば働きやすそうな印象があるでしょう。
ただし、現実には年月が経っても100%正社員になることができるというわけではありません。本気で正社員になりたいという気持ちがあるならば、いつ登用されるかわからないアルバイトの求人へ応募することは必ずしも得策ではないとも考えられるのです。
この記事では「正社員登用あり」の求人に関する実態、就職を志すにあたっての選択肢としてどう捉えるかについても考えていきます!
「正社員登用あり」のバイト求人が存在する理由
既卒で就職先を探している場合、またなかなか就職が叶わずフリーターを続けている場合などに「正社員登用あり」というアルバイト求人は魅力的に映るもの。
あくまでも募集されているスタッフはアルバイトであるのですが、後々正社員へと雇用形態が変更される可能性を加える理由はどこにあるのでしょうか?
企業側のメリット
2014年に経済産業省と経済産業政策局によって実施された「第4回日本の「稼ぐ力」創出研究会雇用システム改革」の事務局説明資料で、非正規雇用者の正社員登用などに関する事例がまとめられています。
以下、その一例です。
会社名 | 取り組み |
---|---|
ファーストリテイリング | 16,000人のアルバイトとパートを地域限定の正社員として登用 |
イケア・ジャパン | パートを時間限定の正社員とし、正社員と同一の業務を担当する場合には時給換算で評価 |
すかいらーく | パートやアルバイトの正社員登用が可能となるよう、研修プログラムを用意 |
このように各社で非正規雇用者を正社員として登用する動きが活発になっていることには、いくつかの意図があります。
人材不足への対策
近年は、多くの業界において人材の不足が深刻な問題としてクローズアップされてきています。
その対策として、アルバイトという雇用形態で採用したスタッフをより雇用が安定する正社員にすることで「職場離れ」を防ぐことができるのです。
イメージ戦略
このところは、大企業であっても従業員との間で何かしらのトラブルが起こるとすぐに「ブラック企業」ではないかとしてインターネット上やSNSなどで問題視されます。
事実に反してそういったイメージが生まれてしまっただけでも、求人を出した際に応募が少なくなるなどの悪影響が懸念されることに。
アルバイトの正社員登用制度があると、非正規で雇用しているスタッフのことまでをしっかり考えている企業であるという印象につながります。
つまり、社員に対して優しい企業であると外部へアピールするイメージ戦略としての面があると考えられるのです。
働く側のメリット
正社員登用制度の存在は、アルバイトとして働く側にとって将来へ希望を持つことができるものです。
雇用が安定することはもちろん、身分が変わることによる変化として次のようなことが考えられます。
収入の増加
正社員登用されると、大部分の場合で給料は時給制から月給制へと変わり基本給で最低限の生活が保障されることになります。
また、社員となれば定期的に昇給のチャンスがありますしボーナスによって収入が大幅に増加する可能性もあります。
昇進の可能性
正社員として登用されることによって、やがて昇進して役職がつくといったことが考えられます。
そうすると手当などがつくほか部下を管理する、仕事の幅が広がるなどの変化が見込まれあらたなやりがいが生まれることにもなります。
正社員登用の実態
「正社員登用あり」のアルバイト求人を見つけた場合ですが、すぐに飛びつくのではなくちょっと待ってください!
その登用制度がどのようなものであるのか、制度としてしっかり機能しているのかといった「実態」についてしっかり確認する必要があります。
そういった企業で働いていた人の中では、いつまで経っても正社員になることができなかったといった話も聞かれるのです。
制度の実績
正社員登用制度自体は存在しているものの、現状としてあまり正社員登用を実施していない会社があります。
- 過去に正社員登用をしたところ、該当者は期待していた成果を上げることができなかった
- 社内で設けている正社員登用の基準が非常に厳しく、基準に足るアルバイトスタッフがなかなか現れない
そういった企業の求人広告で「正社員登用あり」の文言がある場合、実際に正社員となることは難しいかもしれません。
制度の詳細
正社員登用制度については、具体的な登用までの流れや対象者の基準などを社内で開示している企業とそうでない企業があります。
当然ですが、どうなれば正社員になることができるのか明確にされている企業で働くことによって働く側はモチベーションを保ちやすいもの。
いつごろまでに正社員になりたいという希望があるわけですから、制度の詳細を確認する上ではいくつかポイントがあります。
正社員までにかかる期間
正社員登用制度は法律によって定められているものではなく、あくまでも各企業が任意で設けているもの。
そのため、アルバイトスタッフが正社員となるまでに要する期間は企業によってまちまちです。半年程度で正社員になったという事例がある一方、3年以上がかかったといったケースもあり一概にいつごろまでという見通しを立てることはできません。
少しでも早く正社員になりたいという気持ちがあって正社員登用制度を活用したいならば、勤続期間などの条件を公開している企業に応募することをおすすめします。
正社員登用試験
業務上の実績から正社員としての登用を決める企業はありますが、主流とはなっていません。制度としては、正社員登用試験を実施してその結果によって判断するという場合が大部分です。
具体的な試験の内容は企業ごとで異なっていますが、小論文による試験や面接の結果で判断するケースが多くなっています。
小論文については業務とかかわる内容が中心であり、これからの意気込みや職場が自分を正社員とすることでどのような利点があるかといったテーマが多くなっています。
就職活動でいうところの自己PRをうまくすることで、良い結果につながる可能性が高くなります。
ブラック企業が隠れている?
近年は、求人広告で「正社員登用あり」と打ち出して多くの応募者を集めようとするブラック企業が見られるようになっています。
正社員登用制度に企業の裁量が許されているがために、自社にとって都合の良いように制度を使うことができるというわけです。
それでは、ブラック企業は具体的にどのようなことを考えて求人を出しているのでしょうか?
正社員登用制度の「悪用」
正社員登用制度はその性質上、必ずアルバイトを正社員にしなければならないというものではありません。
そこで、「ブラック」と呼ばれる企業はその制度を悪用して狡猾に労働力を確保しようと企てています。
「正社員登用あり」とすれば、なかなか職が決まらず就職活動で苦しんでいる人がたくさん応募してくるもの。
そして、実際にはアルバイトとしていくらがんばって働いても正社員にすることなくスタッフを使い捨ててしまうわけです。
そこに文句を言っても、制度の詳細を明かすことができないとされればそれ以上何も言うことはできません。
見極めることはできる?
正社員登用制度があると謳っているブラック企業を見極めるためには、面接の場で突っ込んだ質問をするに尽きます。
- 現実に正社員登用された社員がいるのか
- 今いるどの社員がアルバイトから正社員になったのか
- いつ頃どのような基準で正社員に登用されるのか
具体的な部分まで曖昧なところがなく逐一確認することができれば、制度についての信憑性が増すでしょう。
ただし、ブラック企業の側でもボロが出ないよう「対策」を強化するようになってきています。働き始めてみて「どこかおかしいぞ」と感じるような例が出てきていて、見極めは難しくなっているかもしれません。
最初から正社員として就職しよう!
正社員として就職したいという気持ちを持っているならば、最初から正社員を募集している企業の求人へ応募することが近道であることは間違いありません。
思うようにいかない就職活動、自分に対する自信のなさといったことから「正社員登用あり」のアルバイトが素敵なものに見えてくるのです。
いま一度、それぞれの募集へ応募して採用された場合について「その後」を冷静に考えてみましょう。
100%の正社員登用はない
正社員登用制度がある企業に勤務しても、100%絶対にアルバイトスタッフを正社員としているわけではありません。
人によっては何度も正社員登用試験に臨み、合格することができないままに長い年月が過ぎていったというケースがあります。
そうすると、結果的には職歴としては何年もアルバイトとして働いていたことにしかなりません。後々あきらめて別の職場で正社員になろうと思っても、転職活動には不利な材料ばかりが積み重なっているのです。
社員としての待遇が得られる利点
経験したことがない業界や職種で正社員として就職するとなると、仕事や職場に対する不安は大きいでしょう。
それでも、社員として迎えられる以上は給料や福利厚生面などの充実した待遇が用意されています。また、正社員として会社の中心になって仕事をしていくために必要な教育を受けることもできます。
もちろん、研修中で実際に現場へ出るまでの期間も正社員としての職歴でありれっきとしたキャリアになるのです。
それを考えると、将来がどうなるかわからない「正社員登用あり」のアルバイトよりも普通に正社員の募集を探すことでメリットが大きいのではないでしょうか?
まとめ
正社員登用制度を設け求人募集で「正社員登用あり」の文言を記載することには、企業なりの思惑があります。応募する側も、そこに魅力を感じて就業先を決める上での選択肢として重視することになります。
しかしながら、乱暴な言い方になりますが最初から正社員を求めていれば正社員を募集すれば良い話。
正社員以上のパフォーマンスを見せるアルバイトスタッフというように、よほど優秀な人材がいれば取り立てたいというわけですからハードルは非常に高いのです。
正社員として将来を考えるにあたっては、未来が約束されているわけではない職場を選択するよりも確実に社員として就職する道へ向かうことをおすすめします。