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CRC(治験コーディネーター)は、日々開発される新薬のために、一人でも多くの被験者に治験に参加してもらうため、病院やSMO(治験施設支援機関)に所属して治験のスタートからフォローアップまで行うので、様々な業務をこなす毎日で大変ですよね。

医療従事者の中でも比較的離職率が低いといわれるCRCですが、実際に勤務してみると「辞めたい…」と思う人もいます。

このCRCという仕事に就いている人は、どんな理由で転職を考えるようになるのでしょうか?また、CRCからどんな仕事に転職できるのかについても紹介していきます。

CRC(臨床開発モニター)を辞めたい人の悩み・理由

同業界・他職種のCRAと比較して、土日は休めるし、残業もそんなにないことが多いCRC。

それでも、一部のCRCはこんな理由で「辞めたい!」と考えています。

悩み1:コーディネーターって辛い!複数の人の間で板挟みになるのがストレス

CRC(治験コーディネーター)は、複数の人間の間に立って、治験が無事に行われるようにコーディネートするのがメイン業務です。

治験対象となる被験者をはじめとして、院内では医師、モニター、治験依頼者などの複数の人の要望、クレームに対応しながら治験をすすめていくうちにストレスがたまり、「もう辞めたい!」と思う人もいます。

「仕事だから仕方ない」と割り切れる人は生き残れますが、「すべての人の要望に応えなければならない」というように考えてしまう生真面目な人は、複数人の板挟みになって、精神的なストレスが積み重なるのが辛いところですよね。

悩み2:これってホントに医療の仕事?思ってた業務と違うから辞めたい

特にCRC初心者の人に多い悩みが、「CRCも医療従事者なのに、思ってたよりもデスクワークばっかりで、これじゃあOLと一緒じゃん…」というものではないでしょうか。

新卒などで前職からのギャップがない人は馴染みやすいようですが、前職が看護師や薬剤師のような医療従事者だった場合、ほとんどが「CRCってこんなに医療とかけ離れているの?」とギャップを感じてしまいます。

CRCは、院内CRCと、SMOに所属するCRCとにわけられますが、特にSMOのCRCは点滴もできなければ採血もできず、ほとんどがデスクワークという現実に嫌気がさして「辞めたい!」と思ってしまいますよね。

悩み3:覚えきれない!CRC独自の専門用語が飛び交うのについていけない

前職があって、CRCに転職してきた人に多いのが、あまりの専門用語の多さについていけないので、研修の段階で転職してしまうというケースではないでしょうか。

CRCのように治験の業界には、「ウォッシュアウト」「フェーズ1~4」「ダブルダミー法」「アルコア5原則」などの特有の専門用語があります。

これらを完璧に覚えた上で治験にあたる必要があるのと、CRC特有のルールがあるのに、それにもついていけないことが辛いと感じる人が多いのではないでしょうか。

また、前職が看護師や薬剤師などの医療系の職業だと、病院勤務が多いために一般企業の社会人としてのルールをあまり知らずにCRCになる人も多く、被験者との接し方やアポの正式な取り方が分からないことが辛くなって、「どうして今更こんなことをしなきゃいけないんだろう」と辞めてしまう人もいるでしょう。

悩み4:CRCにも残業がある!事務作業が終わらなければ残業続きで辛い

CRCは、元看護士・薬剤師・臨床検査技師などの転職先としての有力候補なので、現場でバリバリ医療行為をしてきた人が突然書類作成などのデスクワークをすることになります。

学生の頃は多少PCにも触ってきたけど、データの処理の仕方がわからなかったり、被験者への書類作成の書式がわからなかったり、自己裁量の大きな仕事だけに、時間内に終わらなければ残業が続いてしまうから大変ですよね。

また、勤務地が遠かったり、治験が早い時間に開始される時には、定時よりも早く出勤する必要があり、かといって早く帰れるわけでもないため、結果的に拘束時間が長くなるのが辛いという人も多いのではないでしょうか。

「CRC(治験コーディネーター)を辞めたい!」から始める転職活動

独特のルール、専門用語が多くてなかなか仕事に馴染めないCRCの仕事を辞めたい!という人は多いでしょう。

でも、「CRCを辞めたい」と思っても、既に他の職種から転職してきてCRCを選んだ人も多いので、「CRCを辞めたら、もう転職できるところはないのでは…」と不安になりますよね。

では、CRCから転職した人たちは、どんな場面で活躍しているのでしょうか。

CRCとして同じ業界・職種へ転職するなら

【SMOのCRCからの転職】医療行為に未練があるなら院内CRCへ転職する

SMOのCRCは点滴も採血もできない…。看護師からCRCに転職してきた人は、医療行為がまったく許されない環境に不満を抱いているでしょう。

そのような場合は、院内CRCに転職してみることをおすすめします。すべての病院というわけではありませんが、ほとんどの病院では、CRCでも医療行為のできる資格を所有していれば、医療行為を行うことは可能です。

一部の病院では、院内CRCにも医療行為はさせないという取り決めをしているところもありますから、事前によく確認した上で病院に転職するという選択肢があります。

【院内CRCからの転職】契約社員が多い院内CRC…安定して働きたいならSMOに転職する

院内CRCとして働いている人の中で、正社員の人はごくわずかでしょう。院内CRCは契約社員や非常勤という雇用体系であることが多いため、「次回契約の更新はあるのか…」とハラハラしながら勤務しなければいけないのが辛いところですよね。

次の更新があるかどうかの心配をしながら働きたくない!という院内CRCは、SMOのCRCをおすすめします。SMOでは最初から正社員として雇用するケースの方が圧倒的に多いため、「いつ契約を切られるか」という心配とはサヨナラできます。

CRCから異なる業種・職種に転職するなら

年収アップ確実!診療所の薬剤師

薬剤師資格を持っている場合、専門知識を活かせる薬剤師に転職するという選択肢があります。

実際、医療従事者から中途採用でCRCになる人が多い中、薬剤師資格を持っている人は少なくないでしょう。

病院勤務の薬剤師の年収が550万円ほど、ドラッグストアの薬剤師の年収が350~400万円ほどという中、診療所の薬剤師の年収は約650万円とかなりの高収入です。

CRCの中途採用の年収が450~500万円だと考えると、かなりの年収アップにつなげることができます。これは、診療所では複数の薬剤師を雇わず、1人薬剤師勤務のため、1人ですべての薬剤に対応するリスクを考慮した年収となっています。

診療所に勤務すれば、平日と日曜の週休2日は約束されますし、土曜日も半日であがれることがほとんどですから、プライベートとの両立も可能です。

事務仕事に違和感を持ったら…製薬メーカーのMR

CRCは医療系の職種の中でも、「OLか!」と思うほどの事務仕事の多さで、「もっといろいろなところへ行って人と接する仕事がしたい」と思う人も多いでしょう。

そんな場合は、同じ医療の業界でも、まったく仕事の体系が異なるMRに転職してみるという手もあります。

MRの仕事は確かにハードではありますが、コンプライアンス違反に厳しくなってきている現代では接待や協賛といったブラックな面も薄れてきています。

MRは営業色の強い職業ですから、CRCのような地道な書類作成の仕事よりも医師との関係づくりなどの「対人」の仕事がほとんどです。

CRCで「もっと人とかかわりたい」という思いが強まったら、CRC時代の薬学の知識を活かし、MRで医師などを相手にコミュニケーションをとることも考えてもいいでしょう。

コーディネーターとしての人間関係に疲れたら…インフラ系事務職

CRCは治験に関する人間関係をコーディネートするのが仕事ですから、まったく違う考え方をする複数の人の間で悩むことが多くて疲れますよね。

CRCの中でも、「板挟みになるのが疲れた」「調整役はこりごり」という理由で辞めたいという人が多くいます。

転職を機に、人と接する仕事自体から遠ざかりたいと考えている人におすすめなのは、やはり事務職です。でも、CRCから今更中小企業の事務職になるのは抵抗があるのではないでしょうか。

そんな場合は、インフラ系の事務職が穴場です。〇〇ガス、××電力といったようなインフラ系では、中途採用を積極的に行っています。

CRC時代で事務仕事にも精通しているからこそ、仕事間のギャップも少ないうえに、平均年収も650万円と、CRCよりもむしろ高待遇です。

CRC(臨床開発モニター)からの転職体験談

看護師や薬剤師、臨床検査技師からの転職先となることが多いCRC。多くの人が中途採用でCRCになっているのに、ここからまたジョブチェンジできるのか?

今さら医療系以外の仕事にチャレンジできるのか?とても不安になりますよね。でも、実際にCRCからでも異業種にチャレンジし、転職を成功させている人もいます。

CRCから診療所の薬剤師に転職(男性 当時30代前半)

薬学部を出てからすぐにSMOのCRCに就職しましたが、上司との関係が最悪で長続きせず、数年後に退職となりました。

その数年の間に、自分には人間関係を調整する才能がなかったと実感したので、薬剤師の資格を活かせる診療所の薬剤師に転職し、3年が経過しています。

今勤務している診療所は院内処方をしているのですが、水曜と日曜が休みで、さらに土曜日も半日で終わるので、かなり自分の時間が持てます。

院内には私しか薬剤師がいないので、業務の負担は少なくありませんが、院長との相性もよく、人間関係でも前職と違って苦労はしていません。

CRCから医療関連機器の営業職へ転職(女性 当時30代後半)

看護学校を出て総合病院での看護師の仕事を、出産を機に辞める決意をしたのですが、子どもが小学校に入学するととたんに自分の時間ができるようになり、CRCに転職しました。

CRCは土日も休みで看護師に比べてかなり業務の負担は少なく、転職してよかったと感じていたのですが、看護師時代と比べて年収が低く、ちょうど夫もその時に転職をして年収がダウンしていたので、これでは生活していけないと考え、医療関連機器の営業職に転職しました。

現在の会社は大手医療機器メーカーで、看護師→CRCという私のキャリアを見て、割とすぐに採用してくれました。

営業職は大変ですが、元々看護師、CRCとコミュニケーション能力が求められる仕事をしていたのもあって、人脈もそれなりにあったので、営業職を続けるのが苦ではありません。

年収も620万円前後なので、看護師・CRCのどの仕事よりも収入には恵まれています。

CRCから電力会社の事務職へ転職(女性 当時30代前半)

中途採用が多いCRCの中で、私は新卒でCRCとして勤務していましたが、慣れない治験の世界に溶け込めず、また治験のブラックな一面も見てきてしまったことで、このまま一生続けられる仕事ではないなと感じたので転職しました。

今勤務している電力会社の中途採用枠で入社したのは、CRCで培ってきた書類作成のスキルが活かせると思ったからです。

医療業界独特のヒエラルキーがかもし出すイヤな雰囲気もないし、同僚や先輩社員ともつかず離れずのいい距離で仕事ができるので、転職してよかったと感じています。