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今回は、ベンチャー企業から成りあがった大手総合型の転職エージェント・DODAと、転職エージェント業界の老舗企業・JACリクルートメントの比較記事です。

両社は、好対照な成り立ちであることにも加え、そのビジネス構造も大きく異なります。何度も書いているように、この「ビジネス構造の違い」を知ることが、転職エージェントを賢く利用する上でのキーポイントです。

正直、どっちが自分にとっておトクなのか、その人のニーズによって違います。その違いが分かる視点が、ビジネス構造を知る、ということなのです。

今回も、元業界人、キャリアアドバイザーの視点から、両社の違いを6つのポイントで読み解いていきます。

DODAとJACリクルートメントの求人数を比較

HPによれば、DODAは、約10万件の求人件数があり、そのうち約8万件の非公開求人とうたっています。しかし、求人サイトで検索する限りでは、検索可能な求人件数は、約3万件程度でした。

これに対し、JACリクルートメントは、約2万5千社と取引があります。

求人数だけを単純比較すれば、DODAの方が有利に思えなくもありません。求人開拓力は、転職エージェントの実力を測る重要な基準の1つです。この点、人材紹介だけではなく、一般の転職サイトの機能も有するDODAの方が、求人企業への提案のバリエーションが多く、求人情報を集めやすくなっている実態があります。

しかし、転職エージェントは一般に、キャリアアドバイザーが転職者からニーズを聞き取って、そのニーズにあった求人情報を検索するというスタイルです。転職者が10万件の求人情報に自由にアクセスできるわけではありません。あなたにとって有望な求人情報が豊富にもたらされるかどうかは、ひとえにキャリアアドバイザーとのコミュニケーションにかかっています。

また、この後にも触れますが、JACリクルートメントは独立系の転職エージェントです。他の人材サービス事業を展開していない反面、転職エージェントで安定した収益を稼ぎ出さなければなりません。そのため、高収益の求人情報に絞っている、という側面もあります。

ハイキャリアな求人情報を効果的に提供してもらいたい、というニーズがある方にとっては、DODAよりJACリクルートメントの方が有利なケースもあるのです。

DODAとJACリクルートメントの求人の質を比較

DODAとJACリクルートメントでは、求人の質も如実に違いが表れます。

DODAの場合、メーカーやITに関する求人が約半数を占めているといわれています。これは、現在の運営主体であるパーソルキャリアの前身・インテリジェンスの時代からの伝統で、これらの業界の求人開拓力に強みがあったからです。特に、エンジニアに関しては、「DODAエンジニア」といった、エンジニアにフレンドリーな転職サービスを独自に持っています。これも、もともとインテリジェンスが、エンジニアの派遣に力を入れていた、という経緯が残っている印象です。

また、一般的な転職サイトよりも高収入な案件が多く、中心の年収レンジが500万オーバーといったところです。これは主にIT技術職の年収レンジを想定しているせいもあると思われます。

また、HPで公表している公開求人から分かるように、MicrosoftやDeNA、NAVITIMEなど、一般の消費者に身近な企業が名を連ねます。流行りの業界に集中的に求人開拓を行い、優秀な人材を集めようという営業戦略がみえます。

これに対し、JACリクルートメントの案件は、もっと高付加価値な案件が多いことで知られています。年収レンジは800万、職種も経営企画など、企業の中心的人材を担う案件が多いです。その背景にあるのは、「外資系」「役員クラス」といった、高付加価値な求人案件を多数取り揃えていることです。転職エージェントの老舗企業として、長年の業界における実績から、伝統的な大手企業の人事部とのパイプが太い転職エージェントです。また、早くから海外に拠点を持ち、アジア地域に進出する欧米系企業の外資系求人案件を数多く取り扱ってきた実績があります。

伝統的な大手企業を中心に、エグゼクティブな転職を目指したい方には、JACリクルートメントが有利。企業の中堅クラスを目途に、流行りの業界を中心に幅広い転職情報を収集したい方には、DODAがおすすめ、というのが実態です。

DODAとJACリクルートメントのサポート体制を比較

DODAとJACリクルートメントでは、サポート体制も大きく異なります。

DODAは、運営主体だったパーソルキャリア(旧:インテリジェンス)がベンチャー企業だった経緯から、レスポンスのスピードに定評があります。登録してすぐ連絡が来ますし、求人紹介も早め早めに来ます。これは、キャリアアドバイザーと採用プロジェクト担当の2名体制でサポートしている効果が表れていると思います。口コミサイトでも「登録したが、放っておかれた」といったマイナス評価が聞こえてきません。一方で、「せかされている感」があると同時に、後で書くように、キャリアアドバイザーの「押しの強さ」も特徴的です。

これに対し、ハイキャリアな転職には専門のサポートがつくなど、手厚いサポートがあるのは、JACリクルートメントですが、その「レベル感」が高いのが特徴です。リクルートエージェントのような「手取り足取り感」はありません。レベルの高い人材に、レベルの高いところから転職サポートに入る、というのが特徴的で、ついていくためには、ある程度のことは自分でできないといけません。

書類添削や面接指導においても同様のことがいえます。

結局のところ、転職慣れしていない方が、転職の「いろは」を知るという点においては、DODAもJACリクルートメントも決定打には欠けます。ただ、自分で積極的に動けるタイプの方にとっては、両社ともメリットがあります。スピード重視で転職活動をしたい方には、DODA。レベルの高い転職先をじっくり狙っていきたい方には、JACリクルートメントがおすすめです。

DODAとJACリクルートメントのキャリアアドバイザーの質を比較

DODAとJACリクルートメントですが、キャリアアドバイザーの質において大きく異なります。

まず、DODA。端的にいって押しが強いです。自分が希望していない案件、ニーズに合わない案件も積極的に紹介してきますし、選考が進んでくると、内定承諾を迫ってくるというケースもあるようです。これは良くも悪くもパーソルキャリア(旧:インテエリジェンス)時代のベンチャー体質を引きずっている印象があります。口コミサイトの評価でもキャリアアドバイザーに関する不満が最も多く聞かれる転職エージェントであります。

また、ベンチャー企業の体質上、若手のキャリアアドバイザーが多く、ミドル層以上の転職者にはDODAは物足りなく感じるかもしれません。

これに対し、JACリクルートメントのキャリアアドバイザーは、質が高いという特徴があります。業界知識も豊富で、事情に通じたプロ向けの情報がたくさん提供される、面接対策や書類添削なども丁寧であるという評価が多いです。

ただし、「プロにとっては」という限定付きですが。

ハイレベルで話が分かるタイプの転職者には、これほどスムーズな転職エージェントはいないと思います。しかし、転職慣れしていない、プロというほどの専門職ではない方にとっては、レベルの高さについていけない方もいらっしゃるかもしれません。

DODAとJACリクルートメントのサービス形態を比較

DODAとJACリクルートメントの最大の違いの1つが、「サービスの提供形態」です。

DODAは、もともと学生援護会という会社がサービスしていた転職サイトでした、それをパーソルキャリア(旧・インテリジェンス)が合併し、転職エージェントサービスを新たにリリースした、というのが今のDODAです。

そのため、転職エージェントサービスと、一般的な転職サイトの機能がワンストップで提供される、というサービス提供形態になっています。多忙な転職者にとっては、情報を一元管理できる点で、便利なサービスといえるでしょう。

これに対し、JACリクルートメントは従来型の転職エージェントサービス1本です。マイページにアクセスして、キャリアアドバイザーから提供された求人情報を閲覧、応募するという形式の転職エージェントサービスです。

多忙な転職者が情報を一括管理で転職活動を進めたい方にはDODA、キャリアアドバイザーが厳選した求人情報でじっくり転職先を探したい方には、JACリクルートメントが向いていると思います。

DODAとJACリクルートメントの「利用のしやすさ」を比較

最後にこれだけは触れておかないといけません。

利用のしやすさ、敷居、ハードルの高さです。

まず、登録のしやすさといった意味での利用のしやすさでいえば、DODAに一日の長があります。幅広い年代、職種の人材に数多くの求人情報から紹介するという循環ができているので、幅広い転職者のニーズに対応してもらえるでしょう。

ただし、その利用期間はわずか3か月です。

キャリアカウンセリングも転職紹介も、面接調整といったサービスも3か月以内に成功させないと終わってしまうのです。(前に述べた「せかされている感」もこれに関係があると思います。)そうした点では、じっくりマイペースで転職先を探すのには向いていないサービスといえます。

これに対し、JACリクルートメントは、サービス期間に制限はありません。ただし、こちらにはもう1つのハードルがあります。「登録のしやすさ」という面です。

プロ向け、ハイキャリア、外資系といった高付加価値な転職先を紹介できる人材は、当然のことながら限られます。誰彼とも紹介されるわけではないのです。あなたにその意思があったとしても、職務経歴書で実力を証明できなければ、登録自体を断られる、といったケースが考えられるのです。

利用のしやすさといった点で、両社に一長一短があることがお分かりいただけたでしょうか。

最後に

今回は、DODAとJACリクルートメントを6つのポイントから比較してみました。興味を持っていただけたでしょうか?

転職エージェントとの出会いも一期一会ですが、何度も書いているように、転職エージェントは似たり寄ったりに見えてみな同じではありません。1つの出会いをどう大事にするかで結果において大きな差になって表れてくるのです。

ぜひ、自分のニーズと志向にあった転職エージェントを「的確に」選んでいただきたいと思います。