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このページでは、私が転職エージェントのキャリアアドバイザー時代に担当した方の「転職失敗事例」と「転職成功事例」を紹介したいと思います。
転職エージェントを使って失敗した例
Aさん(20代前半・男性)のケース
新卒で入社した会社を1年数か月で退職した方の転職相談でした。
入社した会社がいわゆるブラック企業だったため、転職エージェントを介した転職ならば、職場環境の良く、安定して働ける会社を紹介してもらえると思ったようです。
当然、職歴が乏しく、職務経歴書に厚みがでません。やむを得ず、学生時代のアルバイトの職歴も追加しましたが、本人が希望した事務職への求人は紹介できませんでした。
実情を説明して本人に同意してもらったうえで、第2新卒扱いで、事務機器を取り扱う会社の営業職を紹介し、転職に成功しましたが、私の説得がやや強引さを伴ったため、本心では納得していなかったと思います。
Aさんの転職サポートがうまくいかなかった原因は、転職エージェントに、学校の就職課と同じ感覚で相談に来られたことです。
売れる人材を売り込める会社に紹介するという転職エージェントのビジネスをそもそも理解していませんでした。
長期的なキャリア形成がまだ見込める20代前半では、一般的な転職エージェントの利用はお勧めできません。
その年代であれば、第2新卒や既卒に特化したエージェントを活用する方法が良いでしょう。
また、最近では学校の就職課が卒業生対象の求人を受け付けているところも多いので、母校に相談する手もあります。
Bさん(30代前半・女性)のケース
30代前半で最も転職のチャンスが多い年代ですが、この方は、国内企業の営業職から、職務経験のない外資系企業のマーケティングの仕事への転職を希望されていました。
語学に関しては一応TOEICの点数は持っていたものの、語学力を生かした仕事の経験がありません。
実務経験が重視される世界、実情を説明しようと何社かピックアップして見せてみたところ、応募したいと譲りません。
やむなく数社紹介しましたが、1社を除いて書類選考で全滅。残りの1社も面接であっさり不採用になってしまいました。
応募先から「なぜ、御社がBさんを紹介したか分からない」と言われたときには、身が縮む思いがしたと同時に、本人にどうフィードバックすべきか悩んだものです。
結局、当社ではご縁がつながらなかったのですが、今までの職務経験からかけ離れた転職活動は、条件が難しくならざるを得ません。
未経験の職種につき、なおかつキャリアアップしたいという二兎を追えないのです。
誤解していただきたくないのは、未経験の職種、業界へチャレンジすることが悪いわけではないということです。ただ、転職エージェントという仕組みを利用することが向いていない、ということなのです。
Cさん(40代前半・男性)のケース
40代前半で、初めての転職活動の方でした。
子育てや介護といった事情から、同じクラスの大手企業で、年収維持を強く希望されていましたが、転職活動に苦戦しました。
主な要因は、今まで1社で働いていたため、いわゆる「染まっている方」とみられたことです。
前職がいわゆる大手商社の系列でジョブローテーションがあった会社で、様々な部署を経験しているものの、強みが分かりづらかったこと、転職活動の理由をうまく説明できず、リストラされた方と誤解されがちだったこと、そして年齢でした。
あまりに不採用の企業が多かったため、本人を説得して年収ダウンと、大手企業から中小企業への転職を了解し受け入れていただきました。
この年代では、転職活動でステップアップするには、やはり管理職・役員クラスへの実力が必要であったり、人脈があって転職後にすぐ結果も出せたりするタイプでないと、途端に条件が難しくなります。
大手企業に長く勤めていたからといって、市場価値が高いわけではありません。
Cさんの場合は、ご自身のプライドが邪魔をして、市場価値の把握に時間がかかった例でした。
転職エージェントを使って成功した例
Dさん(20代後半・男性)のケース
この方は、かなり多くの会社を受けていただきました。
他社のエージェントも含めたら、おそらく100社近くは書類を出されたと思います。内定した会社は1~2社だったはずですが、全然めげない。
20代後半ですでに2社経験されていたので、職歴も短く、決して高評価の人材とはいえませんでした。
ただ、ご本人が活発な性格で、職種や業界にこだわらず、紹介してもらえる会社があれば、取りあえず話を聞きに行くだけでも行ってみよう、というタイプでしたので、お勧めできる会社が幅広かったということがあります。
一方で、ご自身のキャリア形成への意識は無頓着な面がみられましたが、まだ20代後半なので、じっくり考えられる時間がある方でした。
若手の方の転職成功例は、柔軟に業界や職種を考えていこうという姿勢がある方です。
経験が浅くても、将来のポテンシャルを強調することで、工夫次第でチャンスを作り出せることが可能なのです。
結局、決まった会社は、最初は即戦力の経験者を募集していたのに、Dさんと会ったことで採用方針を変えてしまいました。
そんなことでも印象深い方でした。
Eさん(30代前半・男性)のケース
この方は、人事職として十分なキャリアをお持ちで、転職してステップアップする絶好のチャンスでした。
しかし、慎重なご性格が災いして、なかなか応募していただけずに苦労しました。
そこで、私はEさんが絶対に納得するだろうプレミアムな求人に絞って紹介することにしました。すると、Eさんは、少ない応募機会を確実にものにして、見事に転職に成功されたのです。
チャンスが多く、キャリアも十分だったEさんだったからこそできたケースですが、ご自身の市場価値を客観的に把握されていたので、焦ることがありませんでした。
結局は、現職を続けながら転職に成功されたのですが、先に退職せざるを得ない事態に備えて資金を準備していたあたりは、いかにもEさんらしい準備力でした。
Fさん(40代後半・男性)のケース
この年代では、転職エージェントによってはほとんど紹介できる求人がないというケースです。当社も多くはありませんでした。
ただ、Fさんは非常にユニークな人材で、上場企業の財務経験に強みがあり、銀行や証券会社、監査法人や税理士法人への人脈が多く、ご自身でも企業の資金調達のアイデアが豊富にあったのです。
そうしたポイントを高く評価され、ある中小企業が、将来の財務担当役員候補としての採用に踏み切っていただけました。
30代と40代では求められる人材イメージが確実に違います。
経験した職務を確実にこなせるだけではなく、スペシャリティのあるスキルや豊富な人脈、ご自身の力で結果をすぐ出せる力など、高いレベルで企業の業績貢献にアピールすることができれば、40代でも十分に転職活動を打開できると実感したケースでした。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
私は転職エージェントでコンサルタントを8年やりましたが、どこの会社でも通用する、いかにも転職エージェントが推薦しやすい人材、という方にはほとんど会ったことがありません。
どこかに強みはあるが、どこかに弱みがある、という方がほとんどです。
大事な点は、自分の強み・弱みを転職エージェントと認識を共有できるか、すなわちご自身を客観的に把握できるかにかかっています。
自身の現状をしっかり把握されている方は、転職エージェントに登録することでメリットを得られるでしょうし、ズレがある方は、なかなか良い縁を得られないものなのです。
逆に言えば、転職エージェントを利用することで自分の市場価値と向き合うきっかけになるということ。
やはり、最終的に転職成功・失敗を決めるのは自分次第なのかもしれませんね。