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転職活動は、相手あっての話ですから、100%上手くいく、ということ自体がまずないのですが、中には、「100%上手く行かない」「狙った企業の選考が全部落ちてしまう」といった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そうなったら悩みますよね。当然だと思います。「自分に何か悪いところがあるのではないか」と転職活動に関する本やネットを読み漁る方もいらっしゃるのではないでしょうか。

でも、ちょっと待ってください。そのやり方はかえって遠回りになっていませんか?

私は、8年に及ぶ転職エージェント会社の勤務を通して、数百人の転職に成功させてきましたが、一方で、その何倍もの「不採用」の失敗を経験してきました。

不採用になる理由は様々なのですが、一番多い理由は、転職関連本やネットに書かれていないような話でした。

いわば、「もったいないなあ・・・」という不採用理由でした。

何がもったいないかというと、人間が気に入られる、気に入られない理由はちょっとした差で、しかもそれはほとんどの場合、事前に注意すれば防げることだからです。

今回の記事では、その「もったいない」という点にフォーカスしてお話しします。転職でスランプに陥っている人にも参考になると思いますよ。

不採用になった「もったいない」最終面接

さて、先ほど触れた、「転職活動の“ちょっとした差”という事に気付く難しさ」を痛感したエピソードを2つ、お話しします。いずれも最終面接での失敗例でした。

「あのカバンはないよね」

あるIT系のコンサルティング会社での最終面接でした。

英語も堪能、コンサルティング歴も豊富な方をご紹介し、最終面接も上々の出来栄え、ご本人から面接後に報告の電話をもらいましたが、「たぶん、内定が出たと思いますよ」と自信たっぷりのお返事をもらい、一安心していたところでした。

結果は不採用。

何事かと思ってITコンサルティング会社の人事部に電話を入れてみると、人事部長から「役員から言われちゃったんですよー、“あのカバンはないよね”って」。能力はあっても個性が強すぎてクライアントとはそりが合わない人だと見られてしまったのでした。

しまった、と思ったのは、私も登録面談の時にそのカバンを見ていたからです。あるブランド物の大きなロゴが入ったそのカバンは、見るからに目立つ物でした。私はその時、緊張感をほぐそうと思い、「なかなか個性的なカバンですね」などと逆に褒めてしまいました。それが、見る人によってどう受け止められるか、までは考えが及ばなかったのです。

まだ駆け出しの転職エージェントだった時の、痛恨の失敗談です。

「俺と目を合わせなかった」

もう1つ、痛恨の失敗例をお話しします。

その企業はオーナー会長のワンマン会社だったのですが、業績が良い優良の機械メーカーでした。その会社での経営企画職の管理職候補者の最終面接でした。

役員面接までの評価が高く、採用が確実視されていたのですが、突然、全てがひっくり返ったかのように、最終面接で不採用になったのです。

何があったのかと驚いて人事部長に電話を入れると、人事部長が恐縮しながら、「会長が怒ったんですよ。“面接中俺と一度も目を合わせなかった!”とカンカンでしてね。」というのです。

「いや、最終面接で緊張していたかも知れませんし、大勢いる面接官とのやり取りの中ではよくあることですから・・・」と弁明したのですが、「会長がもう決めたから」の一点張り。あえなく不採用となりました。

面接では、何が決め手になるか分からない

この2つの失敗例でお伝えしたかったのは、「え、こんなことで不採用になるの!?」ということです。

中には理不尽に思える不採用理由があるかも知れません。ですが、それがあなたの受けた会社の「カラー」なのです。人間に様々な性格があるように、企業にも様々なカラーがあります。

人間関係に合う、合わないという問題が生じるように、あなたと会社が合う、合わないという問題は、通り一辺倒の面接対策本の中に書かれていない、「それ以外」の部分で生じているのです。

転職は、「0.1ポイント差」の勝負

こうした経験を通して、私が心がけて転職者の方にお伝えするようになったことは、「転職で合否が分かれるのは、0.1ポイントの差」だということでした。特に、不採用が続く人に強く申し上げてきたことです。

実は、採用される方と不採用の方との間には、スキルや能力、面接の受け答えそんなに差はありません。おそらく、どちらを採用しても、同じような成果を会社で発揮できるはずです。

それでも入口の採用の結果が大きく分かれるのは、企業としては、前に述べたように、合う、合わないという、「マッチング」の問題の要素が大きいと思うのです。

マッチングってなんだろう?

では、マッチングとは何でしょうか?

それは、あなたがその会社に合わせるという、「想像力」の問題だと思います。

応募した企業は、古くからの老舗メーカーなのか?ベンチャー企業なのか?業界はIT系、金融業界?男性が多い職場?女性が多い職場?顧客企業はどんなタイプが多い?などなど、その会社の求める能力・スキル以外の「求める人物のカラー」に関する情報です。

この相手企業のカラーを想像し、時には転職エージェントに調べてもらって、その会社のカラーにふさわしい「立ち振る舞い」で面接に臨む、それがマッチングの成否を分けるのだと思うようになりました。

ディティールにこだわろう

マッチングの差で落とされないためには、ディティールにこだわることも大事です。

持ち物はその場の雰囲気にふさわしい物を選ぶ、相手に質問した時にメモを取る、質疑応答は、1人だけに目を合わせるのではなく、全員と目を合わせる・・・などなど。

一見、マッチングの本質に関係ないことばかりですが、悪い意味で引っかからない、「この人は“わが社のカラー”とは合わないな」と思われないことも大切です。

まとめ

転職エージェントに勤めていた時、たくさんの方の転職をサポートさせていただきました。

不採用が続くと、気持ちが「めげる」発想になりますが、原因を分析して、ちょっとしたことを工夫して変えるだけで、転職活動が突然、スムーズに進みだすことがよくありました。

原因が細かい事なので、自分では気づきにくいという難点はありますが、そのために、第三者のアドバイザーである、転職エージェント、キャリアアドバイザーという存在がいるのです。

しっかり活用して、納得の行く転職活動を成し遂げていただきたいと思います。