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今回は、書類選考に通る履歴書作成法についてお話しします。とはいっても、「履歴書の書き方」について書かれているサイトなんて、それこそ山のようにありますよね。
けれど、その多くは、「履歴書の正しい書き方」や「見栄えがする履歴書の書き方」を解説はしても、本当の意味であなたの良さを伝え、「書類選考に通る履歴書」を解説しているサイトは少ないと感じていました。
今回は、かつては転職エージェントに勤め、今は企業の人事担当として、数多くの履歴書に接してきた経験から、「書類選考に通る」履歴書の作成法について解説していきます。
セルフブランディングとは
書類選考に通る→セルフブランドがある書類
具体的な履歴書作成法に説明する前に、まず、「書類選考に通る」履歴書とはどのようなものか、という点をしっかり押さえる必要があります。
それは、数多くの応募書類に「埋もれない」魅力がある、つまり、他者とは違う、光るPRポイントがあるということです。それを考える視点で重要な要素が「セルフブランディング」です。
セルフブランディングという言葉を聞き慣れない方もいらっしゃると思いますが、簡単に言うと、「企業や組織に属さない、自分自身をブランドとしてプロデュースすること」を指します。
これだけ書くと、フリーランスの方にしか関係がなさそうに思えますが、そうではありません。転職力というのは、組織の看板を背負わない、自分自身を売り込む能力のこと。このセルフブランディングの考え方は、転職活動に大いに役に立ちます。
ブランドというと、ルイヴィトンやグッチといった高級なファッションアイテムを思い浮かべる方がいらっしゃるでしょう。しかし、ここでいうブランドはそのようなニュアンスではありません。ブランドというのは、例えばPCで自分はWindeows派、Mac派というような「好み」があっても、それは、使い手に取って、「価値」を見出せるものです。
転職活動において、あなたの「価値」を見出してもらうのは、書類選考する人事担当です。その人事担当者にどのような「価値」を見出してもらいたいのか、自分の「価値」とは一体何なのか、を考えるのが、セルフブランディングです。
セルフブランディングの作り出し方
より具体的に考えてみましょう。
あなたという「ブランド」を最初に表現するのは、履歴書と職務経歴書です。この2つのツールを使って、あなたというブランドをPRします。
例えば、あなたというブランドを、職務経歴書と履歴書によって、PRしたいポイントは、箇条書きで3点で表現してくださいといったら、どのようなことが思い浮かびますか?
例えば、営業パーソンの場合
- 新規営業も厭わないハードワーク
- 顧客のニーズを的確に対応した提案力
- 売上だけではなく、利益にも貢献する数値管理能力
といったポイントが出てくるとします。
そこから一言で要約してみましょう。
例えば、上記の例でいえば、「提案力や数字管理能力もあるが、ハードワークもできる営業パーソン」といったような言葉に要約できますよね。
もちろん、ほかの職種でも
- 経理の一般業務だけではなく、財務や内部統制にも精通した総合型の経理パーソン
- コーディングの能力だけではなく、システム全体を見据えたアーキテクトができるITエンジニア
といったような、「一言でいえば」に要約できる価値が生み出されてくると思います。
これが、あなたが打ち出すべき「ブランド」です。
履歴書+職務経歴書→セルフブランド
このようにして、自分なりに考え出した「ブランド」について、履歴書と職務経歴書により具体化していきます。
他のサイトでも口を酸っぱくして書かれていることですが、履歴書や職務経歴書や自分のプロフィールや職務能力、経験を正確に記述することは基本ですが、多くの履歴書や職務経歴書は、「ただそれだけ」で終わっています。当然のことながら、その人の魅力は伝わりにくいです。
しかし、セルフブランディングした履歴書・職務経歴書は、それだけでは終わらず、自分のブランドに関わる部分を強調して記載することが可能です。例えば、職務経歴書に「活かせる職務経験・能力」というコーナーを設けて、あなたのブランドに関わる経験や能力をPRする、といったことです。
特に、履歴書の場合、その役割上、あなたの人物像フォーカスした記述を多く割くことになります。住所や連絡先といった基本的なパーソナルデータのほかに、特技や趣味といったあなたの「人柄」、人物イメージを想起させる質問項目が多いの特徴です。
もう1つ特徴的なのは、「志望動機」欄があること。この志望動機が、職務経歴書で強調された、あなたのブランドと結びついて語られるとき、人事担当には、採用されるべき有望な人物としてピックアップの対象となるわけです。
セルフブランディングから考えた履歴書作成のポイント
では、ここからは、セルフブランディングという発想から考えた、より具体的な、履歴書作成のポイントについて考えてみることにしましょう。
写真欄でとにかく「力まない」
まず、「ブランド」というと、とにかく自分のことを「特別に」見せなければならないという「力み」が入りそうになりますが、そうした「力み」入りません。あくまで自然体でお願いします。
例えば、女性によくあるのですが、履歴書の写真に執拗に凝ることはかえってマイナスです。容姿の話をすることはセクハラ、大変非礼であることを承知で申し上げますが、履歴書の写真と実際の写真イメージが違いすぎて、「ええっ、この写真がこの人!?」という経験、何度もありました。
こうした「痛い」セルフブランディングは、かえって誤解の種を増やすだけでもったいないのです。
男性の場合は、服装に気を付けましょう。変にドレスアップした写真でなくても良いのです。会った時に「顔」が一致していれば良いのですから。
職歴欄はどこまで書くか
別途職務経歴書を準備される方がほとんどなので、職歴には、単純に入社年月と退職年月を入れるだけの人が多いと思います。私もそれで良いと思います。
特に職歴に乏しい人が、どのような業務に従事してきたかを書くことが多いと思いますが、そうだとしても、書ける量が多くありませんし、前述したようなブランディングを考えた表現を出しにくいです。
私の考えでは、「履歴書の左半分は、住所や職歴を書く欄は正確さを期することが第一」だと思います。
志望動機の鉄板の論理パターン2つ
セルフブランディングを考えたうえで、一番考えなければならないポイントが、志望動機欄です。
志望動機を考えるうえで、鉄板ともいうべき論理は2つです。
①応募先企業の事業内容・サービスに魅力を感じた。
②自分の経験・能力が応募先企業と「マッチング」した
この2つが書けていれば、最低限、志望動機としては成立します。ですが、ここまでならば、どこのサイトにでも書いてあります。
もう1点、考えるべきポイントは、自分の「ブランド」と結びついていることを強調できるかです。
例えば、前の営業パーソンの例を借りると、「貴社のように、新しい事業に進出している企業では、新規開拓にもハードワークできる私のような人間が、短期間で戦力になれるのではないかと考えました。」といった「一言」が書けるかどうかで、他者と差別化した志望動機になれるのです。
人柄はどこまで出すべきか
最後に、趣味や特技といった、ご自身の人柄を推測されるような部分を書く欄についてですが、例えば、健康状態も良好で、体調に気を使っていることを強調したいならば、趣味にスポーツを書く、といった細かいところへの気配りも必要です。
その他に、活かせる資格や、仕事に応用できる趣味がある、といったことを書くことも有効でしょう。
ただ、どんな「キャラ」かを打ち出す際に、あまり特徴を強調しすぎる必要はないと思います。書類選考はどうしても言葉の上での説明なので、あまりオタクな趣味を書くことで、要らぬ誤解を招くような必要はないと思います。
あくまで自分のブランドを「補強」する欄として活用していきましょう。
最後に
ちょっと理屈っぽい記事になってしまいましたが、本来は、転職活動に踏み切る前にしっかり考えておくべきポイントなんですよね。
「自分はビジネスパーソンとして、“何で”勝負するか」ということを。
転職活動が実際に始まると、履歴書や職務経歴書の作成自体に追われたり、書類を使い回したりして、書類のコンテンツについて見つめなおす時間が取れなくなってきます。
しかし、転職活動で一番見られている書類をしっかり考えて作らないと、結果において「もったいない」ことになってしまいます。
良い出会いに結びつけるために、自分のブランドが何か、しっかり考えておきたいところですね。