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今回は、選考に通る職務経歴書の作成法について解説します。これまた、ググれば山ほど解説しているサイトを見つけられると思います。

元キャリアアドバイザー、転職エージェントが書いているサイトも、採用担当が書いているサイトもたくさん見つけられることでしょう。

そんな中で、当サイトが打ち出したい職務経歴書の作成ポイントは、「書類選考に通る」という「結果」にフォーカスした解説です。

履歴書の作成法の記事でも解説しましたが、書類選考に通る職務経歴書というのは、その他大勢の応募書類の中に「埋もれない」魅力がある、つまり、他者とは違う、光るPRポイントがあるという点にあることは変わりありません。

その際にキーになる視点が、やはり「セルフブランディング」なのです。

セルフブランディングの何たるかについては、履歴書作成法の記事に詳しく書きましたが、実際に「セルフブランディングをしっかり考えたかどうか」で差がつくのは、むしろ職務経歴書においてです。

今回は、職務経歴書の作成に、セルフブランディングの考え方をしっかり取り入れて、他とは差別化が出来た職務経歴書とは何か、について考えていきたいと思います。

セルフブランディングから見たときの、職務経歴書の位置づけ

履歴書2:職務経歴書8

この比率は何かというと、書類選考時に人事担当者がチェックする書類のウエイト付けです。

これはどこの会社の人事担当者もほぼ変わらないと思います。

なぜなら、履歴書は、JIS式などで書式がほぼ決まっている分、どの応募書類もほぼ共通して似た内容になっている(志望動機の内容はもちろん違います。)のに対し、職務経歴書は、書き手に比較的自由な幅がある分、内容もかなり変わってきますし、各応募者が強調したいポイントも違ってきます。

また、応募者の経験・能力を把握することにおいては、履歴書より具体的に記述されているため、人事担当者が面接を組む上で必要な情報が職務経歴書に集中しているのです。

よって、職務経歴書の印象が、書類選考の合否の大半を決めている、といっても過言ではないでしょう。

職務経歴書に「セルフブランディング」を持ち込もう

そこで、あなたの応募者としての魅力となるポイントをPRする、セルフブランディングの発想を職務経歴書にこそしっかり取り入れる必要があります。

あなたがどんなブランド(価値)を持っているか、その裏付けとなるものは、あなたが今まで積み上げてきた職務経験・スキル、資格といったものです。

例えば、あなたが、「経理の一般業務だけではなく、財務や内部統制にも精通した総合型の経理パーソン」といったブランドを打ち出しているとしましょう(セルフブランドの作り方のポイントは、履歴書作成法の記事をご参照ください。)。

その裏付けとなる経験、スキルには次のようなものが挙げられるでしょう。

  • 月次決算、四半期決算の経験業務(3期分程度)
  • 内部統制基準に関する知識と監査対応経験
  • 管理会計と財務会計の違いに関する業務知識
  • 簿記1級の資格

といったようなものです。こうした具体的なスキルや経験について、職務経歴書を上手に構成して、読み手にあなたの価値が伝わる、いわば目に留まるように書いていきます。(職務経歴書の上手な構成方法については後述します。)

こうした、裏付けとなるスキルや経験は、出来るだけ数字や具体例で語れることが望ましいです。

単なる表面的な裏付けではなく、より立体的な肉付けされたスキルや経験であることが読み手に伝わりやすくなります。

職務経歴書の具体的書き方でのキーポイント

ここからは、実際に職務経歴書を書くうえでキーポイントになることを説明します。

ビジネス文書の体裁を守る

まず、セルフブランディングのコンテンツを埋め込む前提として、ビジネス文書の体裁をしっかり守りましょう。

といっても、大見出し・小見出しなど書式を統一する。MS明朝など一般的なフォントを使う、といった、誰でも守れることばかりのルールです。

なぜ、ビジネス文書の体裁を守ることが一番重要なのでしょうか。理由は3つです。

①採用側からみて、あなたという人間を把握する最初の段階が書類です。そこで、第一印象が決まってしまうので、書類だけで悪い印象を持たれないようにする必要がある。

②一般的なビジネス文書作成能力は業務スキル・経験以前に、一緒に業務スキルを進めていくうえでのベーシックな能力であって、これが出来ないと一緒に仕事が出来ない人という烙印を押される。

③一般的なビジネス文書を的確に作成できないと、読みにくい、分かりづらい職務経歴書になる点で、せっかくセルフブランディングに成功していても、それだけで他の応募者との比較選考で不利になる。

といったことです。

実際に書類選考をしてみて、ビジネス文書の作成能力が低い、ビジネス文書の体裁を守れていない応募書類は相当数来ます。守っているだけで、書類選考の上位に食い込めるのですから、守らない手はありません。

職務経歴書を書く2つの方式

次に、職務経歴書を書くうえで、2つの方式があります。

【1】編年体式

いわゆる年表形式で、職務経歴を記述する方式です。年を追ってキャリアが積み上がることが分かりやすく書ける反面、異動がある方の場合は、キャリアの一貫性が表現しにくいといった弱点があります。

また、転職回数が多い人は、年表式で職務経歴書を書くと「転職回数が多い人だなあ」という印象を与え、かえって不利になってしまいます。

【2】キャリア式

これは、経験職種やプロジェクト単位で職務経験を記述する方法で、プログラマーやエンジニアなど、特定の職種について強くアピールしたい場合に向いている方法です。

一方で、1社当たりの経験の蓄積が伝わりづらく、転職回数が多い人が多用するため、プロの人事担当が見破りやすいという弱点もあります。

また、経験職種が多い場合、網羅的に書こうとすると、かえってあなたの強みとなる経験・能力がぼやけてしまうこともあります。

私は、キャリアドバイザーとして仕事をしていた時におすすめしていたのは、①②を併用する方法でした。

通常、職務経歴書は、A4で2~3枚にまとめるのが主流ですが、1ページ目に、今までの職務経歴のサマリーとして①を記述し、具体的な職務能力を2ページ目に②の方式で記述し、相手に読みやすくアピールする、といった方法です。

転職回数が多い人や、反対に、1社当たりの職歴が20年以上と長い場合は、【1】を薄く書いて【2】を厚く書く、経験職種が少ない人や、年を追ったキャリアアップを表現しやすい人は【1】を厚く書くが【2】はあっさり、といった工夫を凝らしていました。

5W1Hを駆使して、立体感のある職務経歴書に

前にも述べましたが、職務経歴書の出来栄えを左右する要素は、「立体感」です。あなたのブランド(価値)を、読み手がどれだけ具体的にイメージできるか、そこを意識した記述が必要です。

とはいっても、特殊な技能が必要なわけではありません。実績や経験してきた業務について、いつ、何を、どこで、どのようにといった、5W1Hを駆使して、分かりやすい文章を書く、という姿勢があればいいのです。

まとめ

最後に、私が見てきた職務経歴書の経験についてお話しします。

圧倒的多数の職務経歴書は、単に「職務経歴」を書いてきただけ。目的がないものが非常に多いです。

一体、キャリアドバイザーは何のアドバイスをしているのだろうか?中には、本当は職務上の実力があるにもかかわらず、「残念な文章作成能力」のおかげで、職務能力が低く見えるだけではないか?と勘繰ったくらいです。

反対にいえば、ちょっとした一工夫で、印象ががらりと変わった職務経歴書は、それだけで選考の上位に食い込めます。

そして、その工夫や努力は、特別な人だけができることではなく、誰にでもできることなのです。