[PR]

日本が高度経済成長期にあった頃は、たくさんの若者が労働力として必要とされていました。そのために、企業が多くの新卒者を採用して育成するスタイルとして終身雇用が当たり前という時代が続いてきました。

ですが、バブル経済が崩壊すると同時に企業は人件費にかける費用を抑えなければならなくなったのです。そこから、需要に合わせて雇用を調整しやすい非正規雇用者が積極的に雇用されるようになってきました。

各企業では正社員を中心として契約社員やアルバイト、パートタイマーさらには派遣社員も活用しながら費用対効果がもっとも高い人員体制を模索しています。

働く側としてはまず、それぞれの雇用形態がどのように異なるのかを正しく理解することが大切です。その上で、自分にとってメリットが大きくデメリットの小さい働き方を選択しましょう!

改めて正社員・契約社員・派遣社員ってどう違うの?

「正社員」に「契約社員」、「派遣社員」というどれも「社員」という名前がつく働き方です。しかしながら、それぞれの雇用形態や職場での扱いは大きく異なっているという事実があります。

どのように働くことが自分にとって良いのか、適切な選択をするためには正しい知識を得ることが大切です。

正社員という働き方

こんな雇用形態

正社員は常勤の労働者として企業と直接の雇用契約を結んでいて、契約の期間が定められていないために前提は定年までの雇用ということになります。

従来は終身雇用が通常だったのですが、不況を機にリストラや自己都合退職への追い込みなどが行われるようになりました。

総合職の仕事の量

正社員のうち、総合職は将来的に昇進して会社の中枢にかかわることを期待されるいわゆる「幹部候補生」です。

後々は社内の中心で活躍することができるよう、時には部署の異動や転勤をしつついろいろな仕事を経験するということで「総合職」なのです。

自社の利益へとつながる仕事にはなんでも対応しなければならない可能性がありますから、業務量は膨大なものになり得ます。

一般職の仕事の量

総合職に対して位置づけられる一般職は、かつて男性社員の補助的な業務をしていた女性社員に任されていた仕事の名残りです。

男女雇用機会均等法が制定されてからもしばらくは女性だけを対象とする区分でしたが、法律の改正があって男女とも採用されるようになりました。

具体的な業務内容については総合職の社員をサポートするものが中心であり、基本的にはルーティンワークであってそこまで業務量が多くはなりません。

雇用の安定性

正社員については、会社でいつまで働くかという期間が契約内容として定められていません。

そのため、あらゆる就業形態の中で雇用はもっとも安定しているということができるでしょう。

職場を去る理由としては、次のような場合があります。

  • 定年まで勤務したことによる退職
  • 自己都合による退職
  • 雇用している企業による解雇

解雇に関しては、法令の規定が時代とともに労働者を保護する方向へとシフトしてきています。社員側に問題行為があった場合の懲戒解雇を除いてはいわゆるリストラ、整理解雇を含めて企業の普通解雇が認められにくくなりつつあります。

契約社員という働き方

こんな雇用形態

契約社員は常勤の労働者として企業と直接の雇用契約を結んでいますが、契約には期間の定めがあって非正規雇用となっています。

一般的には3ヶ月から1年程度の単位で契約を更新していくことが多く、必ずしも雇用が長期的に安定するものではありません。

仕事の量

契約社員は雇用契約で定められている業務を担当するため、総合職の正社員のように境界線なしで何でも任せられることはありません。

派遣社員と比較すれば職場の裁量で残業などをする可能性が高いため、より幅広い範囲の仕事を行います。

雇用の安定性

企業による直接雇用ではありますが、一定の雇用期間が定められている有期雇用ですから先のことがどうなるかはわかりません。

契約期間の満了にともなって突然の雇止めになる可能性があるため、雇用に不安定な要素があることは否めません。

派遣社員という働き方

こんな雇用形態

派遣社員は人材派遣会社との間で雇用契約を結んでいるため、その意味では派遣先企業とまったく関係がありません。

つまり、同じ職場で仕事をしているスタッフの中で派遣社員だけは外部の人間ということになるのです。

なお、派遣社員の人材派遣会社での身分は派遣事業の分類によって違っています。

  • 特定労働者派遣事業の常用型派遣では、派遣先のあるなしにかかわらず人材派遣会社の正規雇用者(すなわち正社員)
  • 一般労働者派遣事業の登録型派遣では、派遣先があるときだけ人材派遣会社と雇用契約を結ぶ非正規雇用者
  • 紹介予定派遣では派遣先企業での直接雇用が前提となっているものの確約ではなく、あくまで雇用形態としては派遣先があるときだけ人材派遣会社と雇用契約を結ぶ非正規雇用者

仕事の量

派遣社員の業務内容は、人材派遣会社と派遣先企業の労働者派遣契約で厳密に定められています。それ以外の仕事をすることは契約違反になりますから、派遣先から頼まれても断ることが可能です。

契約上、通常は個々の派遣社員にとって無理のない業務量が用意されオーバーワークにはならないよう配慮されています。

雇用の安定性

派遣社員は数ヶ月単位で労働者派遣契約を結んでいる場合が多く、それ以上の期間にわたって派遣が継続するかどうかは保証されていません。

実際の働きぶりや派遣先企業の状況から、最長で3年まで契約が更新されることはあり得ます。とは言っても派遣先にとっては外部の人間ですから、経費の見直しなどにともない真っ先に契約の更新がなされなくなる可能性は高く雇用はきわめて不安定です。

やっぱり気になる!正社員・契約社員・派遣社員の給料

正社員の給料

給料のキホン

ほとんどの正社員は給与が月給制になっていて、原則として誰にでも決まった金額の基本給が支給されます。金額は決められている出勤日に出勤していれば、1ヶ月に何日の勤務であっても変わりません。

つまり、仕事が忙しくても暇であっても一定の収入は保障されるということになるわけです。基本給は役職ごとに決められている場合が多く、同じ役職であれば新人もベテランも同じです。

手当の上乗せ

正社員に対しては基本給と別にさまざまな手当が支給され、金銭的な評価として基本給で事足りない部分をカバーするものになっています。

昇進しない限り基本給は変わらない社員に対し、手当の増額で能力を評価しているところがあります。

一般的な手当としては、次のようなものがあります。

  • 通勤手当
  • 住居手当
  • 扶養手当
  • 役職手当
  • 資格手当
  • 地域手当
  • 時間外手当
  • 皆勤手当

具体的にどのような種類の手当をいくら支給するかは、それぞれの企業が賃金規程などで定めることになっています。

つまり、支給がなかったり金額が少なかったりしてもそう決められているものであればそれは仕方ありません。

ボーナスの支給

多くの企業では、正社員に対する期末手当や特別手当という位置づけで賞与を支給しています。法律で規定されているものではないため支給するかどうか、またその金額や回数も会社ごとに決めることができます。

夏季と冬季の年2回に分けて支給している企業が主流ですが、近年は年3回以上という例が見られるようになってきました。

金額は基本給の金額をベースとして計算することが一般的であり、その幅は基本給の半月分程度から6ヶ月分を超える企業までさまざまです。

ボーナスなしはあり得ない!賞与がない会社で働く正社員は転職を考えるべき。その理由と求人選びの注意点
ボーナスがない会社が増えている一方で、ボーナスがある会社ではただ「ある」だけではなく、支給額が増えています。 このままボーナスが出ないような会社で働き続けていいのだろ...

契約社員の給料

給料のキホン

契約社員の給与は正社員と同じように月給制や年俸制で計算されるほか、時給制になることもあります。ただ、月給にしても年俸にしても基本給は正社員より低額に設定されている傾向があります。

時給制であれば金額の計算が実働ベースとなるため、年末年始やゴールデンウィークなど休日が多くなる期間には支給される金額が少なくなってしまいます。

また、金額だけで比較すると月額にして派遣社員より低額になる事例が往々にしてあります。

手当の上乗せ

実態として、契約社員に対しては通勤手当だけを支給しているという企業が少なくありません。

ただ、この状況に配慮して2013年に労働契約法の20条という規定があらたに施行されました。労働条件に関して、契約社員のような有期労働契約者と正社員のような無期労働契約者との間に不合理な違いがあってはならないとするものです。

それによって、正社員との手当の「格差」が労働契約法の違反にあたるかどうかを問う訴訟が起こされるようになってきました。

その中で契約社員側の主張を認めた判決が出ているため、企業による今後の対応が注目されています。

ボーナスの支給

契約社員は、会社と取り交わした雇用契約の中で賞与を支給する旨の規定がある場合に限りボーナスを受け取ることができます。

ただ、実際に契約社員をボーナスの支給対象として含めている企業はそれほど多くありません。支給しているにしても、その金額は正社員と比較して抑えられたものになっている傾向があります。

派遣社員の給料

給料のキホン

基本的に時給制で計算されていて、同じ時給計算の一般的なアルバイトやパートと比較するとその金額はかなり高額になっています。

これは、派遣社員の仕事に専門的で高度なスキルを要求する人材派遣の性質によるものです。その能力に対する評価として、2,000円を超えるような時給を設定している案件が少なからず見受けられています。

手当の上乗せ

常用型派遣の派遣社員に関しては、そもそも人材派遣会社の正社員ですから問題なく社内で規定されている手当を受けることができます。

登録型派遣の派遣社員は非正規雇用者ということで、一般的に正社員へ支給されている手当の対象となることはありません。

人材派遣会社や派遣先企業の都合で就業することができなかった場合には、就労の機会が失われたことに対する補償という意味で休業手当が支給されます。

また、通勤手当にあたる金額は別途に支給されず時給に上乗せしているケースが一般的です。

ボーナスの支給

常用型派遣で仕事をしている派遣社員は、人材派遣会社で規定していれば正社員として賞与を支給されます。

非正規雇用者である登録型派遣の派遣社員については、ほぼボーナスが出されることはありません。

タイプ別・オススメの働き方

時代の変化につれて、企業が必要な労働力を確保するためにさまざまな働き方を認めるようになってきました。

働く側としては無理をして自分に合わない雇用形態で働く必要がなくなり、ライフスタイルに応じてふさわしい選択をすることができるようになっています。

困難なことに挑戦しながら自分を高めようとする意識が高いタイプ

成長志向が強いという方は、常にステップアップすることのできる環境に身を置きたいもの。

一例として…

  • 実績が正当に評価されて昇進し、さらにやりがいのある仕事にかかわる人事システムが確立されている
  • 大きな仕事でも万が一失敗があったときのリスクは職場が負うというフォロー体制が万全になっている

企業の根幹により近い仕事を担当することは大きな責任を負い大変ですが、その反面で大きなやりがいもあります。

例えば「わが社の命運をにぎる」ような大事な仕事を任せられたいと希望する方には、正社員がオススメ。

充実した給与体系や福利厚生のもと、評価に見合った対価を得ながら自己実現へ向かっていくことができます。

プレッシャーの中で行動することが苦手なタイプ

プレッシャーを感じる場面に弱いという方は、仕事でベストなパフォーマンスを発揮することができなくなりがちです。

一例として…

  • 上司から強く指導、叱責されると萎縮してしまう
  • 失敗を恐れて思いきりの良い行動をすることができない

努力だけでどうにもならないことはありますから、無理をし続けて報われない状況が続いているだけでは状況が改善しません。

あまり責任が重くない仕事をしていたい、特定の作業だけに集中して取り組みたいという方には契約社員がオススメ。

決められた仕事に取り組んでいけばそれだけスキルアップになり、契約終了後に別の職場でそれをアピールすることができるのです。

また、正社員のように昇進することがないため仕事を続ける中で職責が重くなっていくということはありません。

強い自己主張をすることが苦手なタイプ

自分の希望や思っていることなどをどうしても主張しにくいという方は、職場で強いストレスを抱えがちです。

一例として…

  • 入社前に聞いていた就業条件や業務内容が仕事を始めてみると違っていた
  • 予期していなかった部署の異動や転勤に関する辞令が出た

自分の気持ちを押し込めていると、モチベーションが下がるばかりで仕事自体にも悪影響を及ぼしてしまいます。

こういった場面で対処することができず結果的に転職せざるを得なくなるという方には、派遣社員がオススメ。

派遣社員は就業先となる企業の社員ではないため、仕事や職場に関する要望がある場合には派遣元である人材派遣会社の担当者が間に入ってくれるのです。

契約社員・派遣社員から正社員になりたいときは?

契約社員や派遣社員として働いているうちに、一緒に働いている正社員の仕事ぶりを見ながら同じようになりたいと思う方は少なくありません。

本当は正社員として働きたいという希望がありながら、就職活動の失敗などから契約社員や派遣社員として働いている方もいるでしょう。

契約期間が満了するなどのタイミングで正社員を目指そうという場合には、いくつかの選択肢があります。

正社員登用制度がある企業の求人に注目する

契約社員を募集している企業では近年になって飲食業やアパレル産業、製造業などの分野で正社員登用制度を設けている例が増えてきています。

企業側では一から人材を育成するよりも、働きぶりがある程度わかっている契約社員を後々の正社員として活躍させることでメリットがあるわけです。

ただし、実際に正社員として登用するための基準はそれぞれの企業が公開しているわけではありません。正社員以上の実績が求められ、あるいは昇格試験に合格することが難しいなど決して簡単な道のりではないのです。

無期契約社員に注目する

2013年に改正された労働契約法によって、有期労働契約から無期労働契約への転換に関する規定が定められました。

これは有期労働契約の更新が重ねられて5年以上になった場合、労働者が申し込めば無期労働契約へ転換することが企業の義務となったのです。

この規定は2013年4月1日以後に開始された契約を対象にしているので、規定が適用されるようになるのは2018年4月1日から。

これによって契約社員から正社員となることは期待されるのですが、一部の条件が限定される限定正社員となる可能性もあります。

そのほか、必ずしも正社員の身分とはならないことも考えられます。

  • 待遇は良くした上で無期契約の契約社員となる
  • 労働条件はそのままで無期契約の契約社員となる
  • 契約期間が5年となる前に契約を終了する

紹介予定派遣に注目する

派遣社員に関しては紹介予定派遣という働き方があり、6ヶ月までの派遣期間を終えてから派遣先企業との合意があれば正社員となることができます。

紹介予定派遣は、企業にとって人材を採用する上でミスマッチや早期離職などのリスクを低くするもの。働く側としては仕事をしながら適性を判断することができますし、職場となる場所の環境がよくわかります。

一からの就職活動を行う

契約社員や派遣社員として働く中では、さまざまな経験を重ねスキルを身につけることができます。正社員を志望するにあたっては、得られたものをアピールポイントとしての就職活動ということになるでしょう。

ただ、それまでの職場を離れて新しい居場所を探す以上は業界研究など入念な準備をすることが必要。いくつかの企業へ応募して書類選考から面接へ至るまで、ある程度の時間がかかることは覚悟しなければなりません。

その時間を少しでも短縮するためには、就職エージェントの力を借りることなども考えて良いでしょう。

まとめ

かつては「働くならば正社員の一択」といった時代があり、多くの人が思うように仕事をすることは難しいものでした。

その働き方が多様化した現在、正社員だけでなく契約社員や派遣社員としても一定の収入を得ることはできます。

ただ、契約社員と派遣社員のどちらも働くことのできる「期限」が決められている働き方です。その先がどうなるかはわからず、いつ仕事がなくなってしまうかがわからないという意味では人生設計をしにくいところも。

先々までを見通しやすい働き方を重視するならば、正社員としての就業を重視することがおすすめです!