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今回は、オールラウンダーの転職エージェント・パソナキャリアと、老舗の正統派転職エージェント・JACリクルートメントを比較します。

転職エージェントって、外からはなかなか分かりにくいところがありますよね?正直、どっちが自分に合った転職エージェントなのか・・・。そこで、今回も5つのポイントか両社を徹底比較して、あなたに合った転職エージェントはどちらか探っていきたいと思います。

その際に重要なポイントは、両社のビジネス構造どのような経緯で設立され、どのようなビジネスモデルを持ち、どのような営業戦略で事業を運営しているのか、と言った点が、あなたへの転職サポートに大きく影響します。広告では見えにくいそうした点を、転職エージェントに8年勤め、業界を知り尽くした経験から語っていきます。少々小難しい話になるかもしれませんが、しっかりついてきてくださいね。

他のまとめサイトにはないディープだが確実な情報をあなたにお届けします。最後までどうぞお目通しください。

パソナキャリアとJACリクルートメントを求人数で比較

まずは、求人数で単純比較してみましょう。

パソナキャリアは、HPによれば、非公開求人数2万5千件以上、取引実績社数は1万6千社以上になります。一方、JACリクルートメントは、HPによれば、約2万5千社と取引があるとのことです。

単純比較した結果では、両社にほぼ差がないことが分かりました。

しかし、パソナキャリアは、最大手のリクルートエージェントに負けないくらい、求人の紹介がある、という評価がある転職エージェントです。これは、パソナキャリアの保有する求人情報が生きているか、絶えず細かくチェックしているところから来るもので、パソナキャリアの「情報の鮮度」が良いことを表しています。情報の鮮度が良いと、最新の求人情報を効率良く提供できるため、結果的に紹介できる求人数が増えるのです。

一方、JACリクルートメントは、後述するように、独立系の転職エージェントとして、高収益の案件に紹介の中心がある転職エージェントです。ハイキャリアな求人情報に営業を集中している転職エージェントです。ハイキャリアな求人情報は人材要件が厳しい分、一人当たりの紹介が絞られてしまう傾向があります。

この点を考えると、求人紹介のチャンスだけで考えるならば、パソナキャリアの方が上回っているのではないか?というのが正直な実感です。

なお、求人紹介の際に、に大事になってくるのが、キャリアアドバイザーの力量です。転職エージェントというサービスでは、転職者が直接欲しい求人を検索するわけではありません。登録時の面談でキャリアアドバイザーが転職者から転職先の希望をヒアリングし、それに基づいてキャリアアドバイザーが求人を検索・紹介するのです。このコミュニケーションがうまくいっているかどうかが、あなたへ紹介される求人件数の差となって表れてくるのです。

結果として、あなたの転職する方向性やキャリアアドバイザーとの相性によっては、JACリクルートメントの方がパソナキャリアより多くの求人紹介があった、という可能性も否定できないのです。

パソナキャリアとJACリクルートメントを求人の質で比較

次に、パソナキャリアとJACリクルートメントを求人の質で比較してみましょう。この求人の質は、両社のビジネス構造に深く関わって好対照な差を示しています。

まず、パソナキャリアですが、大手人材サービスグループ、パソナの1企業です。パソナグループは、海外拠点55か所、連結子会社60社、持分法適用関連会社5社、連結売上高2,804億円 (2017年5月期実績)という巨大グループです。この事業規模によるネットワーク力ならば、転職エージェント最大手・リクルートエージェントをしのぐ実力を持っています。このネットワーク力が、業界を問わず、幅広い業種・職種の紹介を可能にしているオールラウンダーとしての地位を確立することに役立っています。

もともと、パソナは人材派遣で伸びてきた会社ですが、多角的な人材サービスを展開しており、特に、企業の業務処理を一括して受託し、業務処理を代行する「ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)」事業を手掛けていることが重要です。BPOを手掛けていることで、企業の現場部門とコネクションができます。通常、人材サービスの営業となると企業の人事部が窓口となるため、なかなか現場のニーズをくみ取ることができないのですが、BPOによって現場とコネクションができることによって、現場のニーズをくみ取った、独自の求人案件情報の収集を可能にしているわけです。

パソナはグループ全体で、業界横断的にアウトソーシングビジネスを展開しており、これが、転職エージェント・パソナキャリアにとって、業界の穴のない、オールラウンダーの地位を確立する基盤となっています。

これに対し、JACリクルートメントは、老舗の「独立系」転職エージェントです。独立系の転職エージェントとは、パソナキャリアのような大きな人材サービスグループに属することなく、転職エージェント1本で事業を運営している転職エージェントのことです。

独立系の転職エージェントの難しいところは、転職市場の好・不況を直接影響を受けやすいことです。転職エージェント事業が不振だったから、人材派遣事業でカバーする、といった事業ポートフォリオ(リスク分散)を構築できないところにあります。そのため、安定した収益を挙げ続けるために、高収益の事業に営業の中心をシフトさせる傾向があります。それが、老舗の転職エージェントとして長年培ってきた実績から、「ハイキャリア」「役員クラス」といった求人案件の紹介を可能にしているのです。また、国内の転職市場からのリスク分散で、海外に拠点を持ち、外資系の求人案件、海外転職の求人案件に強い、という独自の立ち位置を生み出しているわけです。

結論的にいえば、国内で幅広い業種・職種について求人紹介を受けたいならばパソナキャリア。役員クラス、外資系も視野にハイクラスの求人に絞った求人を検討したいならば、JACリクルートメントという選択軸が見えてくると思います。

パソナキャリアとJACリクルートメントをサポート体制で比較

次に、パソナキャリアとJACリクルートメントをサポート体制で比較してみましょう。ここでいうサポート体制とは、会社としての転職者への転職支援体制、転職情報提供の体制、コンテンツの充実度などを指します。

この点では、人材派遣の社風を引き継ぎ、転職サポートのスピードに定評があるのがパソナです。登録画面は数分で完了し、電話やメールといった登録も可能。skypeといったチャットツールによる登録面談も可能です。また、選考管理の面においても、スピーディな連絡が来るという定評があります。

また、女性の転職に関しては、専門のサポートチームがつくなど、女性特有の転職事情に安心のサポート体制があります。

その他、パソナキャリアは年収交渉に力を入れている点が特徴的です。年収アップの実現率は60%以上をキープしており、年収アップを希望する転職者には信頼のおける転職エージェントとなっています。

一方で、転職ノウハウの提供という点では、コンテンツ制作力では、今一歩というのが実態。転職マニュアルもネット上の転職コンテンツも、これを見ただけで慣れない転職活動をスムーズに進めるには・・・、といったところです。

これに対し、プロ向けの転職エージェントともいうべきJACリクルートメント。他の転職エージェントのように転職サポートに力を入れていません。もともとハイクラスの転職者を相手にしている(要は、もともと「自分で何でもできる」優秀な人材が多い)せいもあるのですが、独立系の転職エージェントということで、「手間のかからない人材に効率よく紹介する」高収益を維持するため、経費がかかって売上につながらない転職サポート体制の強化を避けている印象があります。

パソナキャリアとJACリクルートメントをキャリアアドバイザーの質で比較

転職エージェントを比較するうえで、一番重要なポイントになるのが、あなたの転職活動のパートナーとなるキャリアアドバイザーの質です。

この点で、賛否真っ二つに割れているのがパソナキャリアです。親身で親切だった、自分に合っていたという好評価がある一方で、常識がない、態度が横柄だった、というキャリアアドバイザーに合ったという証言もあります。そのほかには、エンジニアの転職者からは、技術的な専門性にうとい、といった指摘もありました。

体制的には、転職者全員への履歴書・職務経歴書の添削や、必要に応じての模擬面接の実施など、マン・ツー・マンの転職サポート体制の確立を目指している一方で、キャリアアドバイザーの質を高いレベルで揃えられていない、教育面での出遅れ感がある転職エージェントです。

これに対し、プロ向けの転職エージェントとして高いレベルのキャリアアドバイザーを揃えているのがJACリクルートメントです。親身・親切といった、「お客様向け」ではありませんが、プロフェッショナルとして頼りになるといった印象です。各業界出身のキャリアアドバイザーを揃えているだけではなく、キャリアアドバイザー自身が企業訪問も担当しているため、各業界・企業に通じた情報を正確に転職者に伝えられる体制が確立しています。

パソナキャリアとJACリクルートメントを利用しやすさで比較

最後に転職エージェントとしての利用しやすさで両社を比較してみましょう。

オールラウンダーの転職エージェントとしての地位を確立しているパソナキャリアですが、いろいろな求人サイトにも広告を出しており、間口は広い転職エージェントです。が、一方で、意外に多い「登録を断られる」ケース。情報の鮮度に合わせてピンポイントで人材をマッチングさせようという傾向がある転職エージェントです。登録までこぎつけてしまえば、対応はスピーディで好条件の求人も多く、使える転職エージェントであることは間違いないだけに、リクルートエージェントのように、幅広い人材に優良な転職情報を提供できるかが今後の課題でしょうか。

これに対し、敷居が高いという意味ではパソナキャリアを上回るのがJACリクルートメント。もともとハイキャリア、外資系といった案件は、応募する人材も限られ、誰でも挑戦できる分野ではありませんよね。おまけに、プロ向けの対応、親身・親切とは違った転職サポートといった点が、ハードルを上げている面は否めません。ただし、これからキャリアアップにチャレンジしたいという人材にとっては、頼りになる転職エージェントであることには間違いないでしょう。

最後に

いかがだったでしょうか。パソナキャリアとJACリクルートメント、あなたにとって合う部分・合わない部分が見えてきたでしょうか?

完全に合う転職エージェントを選ぶというのは、なかなか難しいものです。ある程度のメリット・デメリットを受け入れたうえで、「賢い付き合い方」というのを考えていきましょう。

あなたにとって、最良の転職パートナーが見つかることを祈っています。