[PR]
私の持論ですが、「転職には失敗は許されない。」という覚悟で臨むべきです。
なぜなら、転職はそう何回も切れる「切り札」ではありません。
この後ご紹介する「後悔した例」では、典型的な転職失敗パターンをご紹介しますが、失敗を取り戻して成功につなげるには長い時間と手間がかかります。
しかも、年齢次第では失敗を取り戻せないケースすらありうるのです。
転職は、今まで働いていた環境の全てを一変させます。より良くなる部分もあれば、より悪くなる部分もあります。
たいていの場合、どちらもついてきます。100点満点というわけにはいきませんが、より良くなった部分で納得感を得て、より悪くなった部分は気にならない転職は可能です。
そのためには、妥協したくないポイントでは断固妥協しない、という姿勢が必要です。
「転職すべきかどうか迷っている」という方はこのページを見て、転職のイメージを膨らめていただけたらと思います。
5つの転職活動失敗例
Aさん(40代、男性)/企業規模を落として後悔したケース
大手電子メーカーから、中小の部品メーカーへの転職に失敗したケースです。転職理由は、子会社への出向を打診されたことでした。
年齢は40代半ば、まだまだバリバリ働けると考えていたAさん。中小でも活躍すればステップアップできると安易に予想したのが間違いでした。
電子部品メーカーでは、売上の大半が特定の大手企業という事業モデルは多いです。転職先は、十年一日の変わらない保守的な社風で、納入先が決めた条件に諾々と従う、全ては「○○社が決めたことだから」で通ってしまうのです。
Aさんが大手で磨いたスキルを活かせる場所はありませんでした。
Bさん(30代、女性)/業界を妥協して後悔したケース
中小の広告代理店で営業として働いてきたBさん、クライアントとして接してきた化粧品業界で、広報としてステップアップを目指そうとしましたが、広報という職種は、空きが非常に少なく、各社ともエース級の人材を投入する部署です。
中小の広告代理店の、しかも営業だった方が簡単に狙えるポジションではありませんでした。
やむなく候補を広げ、ある機械メーカーの広報担当として転職を果たしたのですが、やり甲斐が全く感じられません。
なぜなら、その機械メーカーは、化粧品業界と違ってBtoBの業態だったからです。化粧品業界のようなTVやCMを使ったメディアミックスの広報戦略を立案するようなことは全くなく、あるのは年数件の業界新聞向けプレスリリースと決算関係のみ。
広報という仕事のスキルを全く磨けない転職になってしまったのです。
Cさん(30代、女性)/職種・求められるスキルを妥協して後悔したケース
中小のIT企業(経理部)から大手IT企業の営業事務(経理含む)へ転職を果たしたケースです。
大手企業に転職したことで、生活や年収面も安定したのですが、仕事にやり甲斐を感じられません。
なぜなら、前職では経理部の中心メンバーとして、決算や資金繰りまで担当していたのですが、転職後は大企業のいわば歯車の1つ。
ルールは厳格に決まっており、言われたことをやるだけで、自分の仕事の裁量はほとんどありません。
当初は、生活の安定さと大手企業の年収に魅力を感じていたのですが、今度は、ずっとこのままでいいのか、というキャリアへの危機を感じています。
Dさん(40代、男性)/求められるポジションを妥協して後悔したケース
元々、大手メーカーで部長だったDさん、出向をきっかけに、外にチャンスを求めようとしたケースです。
同じ業界の別のメーカーで、課長ならば、という打診を受け、他に有力な転職先候補もなかったこともあり、妥協してしまったのですが、これが失敗の原因となりました。
転職先では、持っている部下が3分の1になり、自分でも実務をこなさなくてはならなくなりました。しかも、同じ業界とはいえ、企業が変われば社風も仕事の進め方も全く変わります。
何とか、失敗をリカバリーしたものの、その会社にフィットするまで大苦戦をしたのでした。
Eさん(30代、男性)/年収面で妥協して後悔したケース
この方の場合、あるIT企業へマネージャー候補者として転職したのですが、約束だったマネージャーになかなかなれなかったケースです。
候補者、というあくまでスタッフとしての採用のため、年収でも妥協しました。マネージャーへのステップアップが果たせなかったため、年収アップも実現できませんでした。
自分の専門性や強みをもっと強調していれば、年収面で結果は異なったかもしれませんが、転職先で結果をすぐに出せると簡単に考えすぎてしまったことが失敗の原因となりました。
後悔しないために、転職活動で妥協しないポイントを明確にしよう
条件を妥協して失敗したケースには2つのタイプがいます。
1つ目は、転職時にこだわっていた条件を妥協してしまって後悔したケース。2つ目は、転職時には気にしていなかった要素がネックになって、転職後に後悔するケースです。
繰り返しますが、転職は、自分の働く環境が一変するという、ドラスティックな切り札です。そのことを忘れると、転職時に気にしていなかった点が、思わぬ落とし穴になり、転職に後悔してしまうことになります。
キャリアの価値観を明らかにする
こうした失敗を防止するための第一に固めておきたいポイントは、自分のキャリアに対する価値観をはっきりさせておくことです。
キャリアカウンセリングの学問では、「内的キャリア」という概念があります。これは、働くこと、生きることに対する価値観ですが、転職という人生の大きな転機の場面では、内的キャリアをしっかり見つめることが必要です。
この際に役に立つのは、転職エージェントといった第三者的なアドバイザーです。他者との対話を通して、自分を振り返る、という作業が必要になります。
また、CDAやGCDFといった、日本で公に認められているキャリアカウンセラーに相談するという方法もあります。有料ですが、転職後の成功・失敗の落差を考えると、決して高くはないと思います。
転職の客観的条件を固める
自分のキャリアに関するぶれない軸、価値観をしっかり固めた後は、転職にあたっての具体的・客観的な条件を固めましょう。
業界・業種
Bさんの例を振り返ってみましょう。単にやりたい仕事だけを軸にしても業界が異なれば、やることはがらりと変わります。
あなたがキャリアに満足感を得られる業界・業種はしっかりこだわっていきましょう。
企業規模
AさんやCさんように、安易に規模で企業を選ぶことは危険です。大手から中小に移る場合も、中小から大手に移る場合も、自分にフィットする部分、しない部分があります。大は小を兼ねるといった関係ではないのです。
しっかり求人票や面接での対話を通して、どんな人材が求められ、自分のニーズとマッチングしているかどうか、冷静に見極めましょう。
職種・スキル
CさんやDさんのように、同じ職種でも求められるスキルはがらりと変わります。自分が今まで働いてきたイメージの延長線に仕事のイメージを描かないように注意しましょう。
ポジション
Dさんの場合は、結果として何とか成功しましたが、年齢を考えると取り返しのつかない失敗に終わるリスクは十分あったと思います。
当たり前ですが、スタッフの数に比べ、マネージャーのポジションはどこも数が少ないのです。つまり、いったんそのポジションを失ったら、取り返すことは至難の業です。
ポジションを下げることは最後の手段、くらいの気構えで良いと思います。ご自身が活躍できる自信があるならば、自分からへりくだる必要はありません。
年収その他の待遇面
Eさんのように、年収を柔軟に考えることも間違ってはいません。しかし、その決断には「リスク」が伴います。
現職であれ、転職先であれ、あなたが正当に評価され、それにふさわしい報酬を得ているか、いつもチェックすることが必要です。
その比較の対象になるのが、いわゆる「市場価値」です。転職エージェントが把握している市場価値と比較することによって、自分の年収その他の待遇面が妥当なものか、客観的に把握しておきましょう。
転職活動を妥協しないで済むための準備をしよう
準備が余裕を生む
転職で妥協しなくて済むためには、妥協しなくて済むだけの「余裕」、つまり資金と時間を工面する必要があります。
転職活動では、交通費や書類の印刷費、待ち時間の喫茶店代など、意外に細々とした費用がかかります。また、時間的にも、往復の移動時間や待ち時間だけではなく、面接と面接の期間が空くなど、思ったより長丁場です。
ここでは、すでに退職している方と、在職しながら転職活動する方と、場合分けして説明します。
徹底的にこだわれるための準備
すでに退職している方
まず資金面ですが、一般的に、半年程度を目途に、無収入でも転職活動だけに集中できるだけの蓄えがあれば、焦ることなく、じっくりと転職先を探すことができます。
一方で、時間的余裕は相当あると思いますので、ブランクが長くなるのを防ぐため、チャンスと見たら早めに応募し、面接の希望も前倒しで出していきましょう。
在職しながら転職活動をする場合
この場合、資金面では、普段の収入から捻出できるため、多額の貯金をする必要性は低いでしょう。
一方で、時間的余裕においては、有給休暇や半休、私用外出など、様々な方法で時間を捻出する必要があります。
ブランクが空くことを気にする必要はありませんが、現職が繁忙期になると転職活動に集中できなくなる時期も出てきます。選考フェーズを転職エージェントに管理してもらうなど、工夫が必要でしょう。
活動編
書類作成
書類作成の段階では、客観的な転職する上での希望条件を入れられる箇所があまりありません。せいぜい、履歴書の希望欄くらいでしょうが、細かい条件を書く場所としてはふさわしくはないでしょう。
したがって、応募書類については、まずしっかり内定を取りに行く姿勢で、応募先の求人ニーズにマッチングした書類を作成することに注力しましょう。
面接
面接では、志望動機や自己PRといった、通常の面接対策ももちろん大切ですが、妥協しない転職活動では、「曖昧に感じたところは怯まずに質問する」「条件は明確に提示する」ということが大事です。
強気の姿勢が裏目に出て、内定が出なかったら元も子もない、と考えるようでは、妥協が頭をよぎってしまいます。自分は好条件で転職するにふさわしい人物だと自分に言い聞かせて、ぶれずに面接を切り抜ける必要があります。
条件交渉
内定後の条件交渉の段階では、自分の転職条件を客観的に、細かい部分まではっきりさせましょう。
はっきりさせた後、返事は即答を避けます。いったんその場を離れて、前に述べた内的キャリア―転職希望の客観的条件―提示された条件が一貫してつながっているかどうか、自分が納得感を持って働けそうか、冷静に振り返ってから返事をしましょう。
まとめ
妥協しない転職のための必要な条件をまとめます。
- 自分のキャリアの「軸」、価値観をしっかり固めてから考えよう
- 安易に考えて妥協しないように、条件は細かいところまでしっかりこだわろう
- 客観的な転職条件はなるべく数字で表現しよう(年収○百万円以上、など)
- 転職の計画や面接では、絶対にぶれない精神力を持とう
- 条件交渉はしっかり詰め切ろう。甘さを出さないように
妥協しないで転職活動することは、はっきり言って精神的にしんどいです。とにかく合わなければこちらから断るケースもあるので、このままで良いか、迷うことも多いと思います。
しかし、達成した後は、素晴らしいステップアップがあなたを待っています。最後までしっかり頑張りぬいてください。