私たちが安心して働くためには、できるだけ危険の少ない環境が必要です。また、働いたために健康を害することのないようにしなければなりません。
第一種衛生管理者は、従業員が安全に、そして健康に働けるようにするための資格です。50人以上の職場では専任者として配置しなければなりませんから、ほぼすべての企業から求人が出る可能性があります。
また第二種衛生管理者と異なり、工場や建設業、運送業等でも、職場の衛生管理者として選任を受けられることが強みといえます。
さらに事務職・技術職問わず、どのような職種でも資格を活かせる転職先があることも特徴です。
安全管理担当という職に着任する場合もありますが、それ以外にも工場での現場責任者や設備管理職、また総務担当など、どのような職種であっても職場の安全管理に関する仕事を任されるチャンスがあります。
今回は第一種衛生管理者の資格を活かして転職したいという方にアドバイスします。
第一種衛生管理者の資格を活かせる転職先
第一種衛生管理者はさまざまな職場で活かせます。どのように活かせるのか、職場ごとに詳しく説明していきましょう。
建設業
建設業は、職場の安全管理が最も重要とされる職場の一つです。
例えば高所作業では落下すれば生死にかかわる事態となりますから、事故防止の対策は入念に行う必要があります。また工具類の使用など、多くの作業でけがをする可能性がありますから、安全対策は欠かせません。
第一種衛生管理者は事故を未然に防ぎ、安全に仕事を行うことを推進する職務を任されることとなります。
事故の芽はあらゆる業務にありますので、安全対策を立てることは大変かもしれませんが、その分やりがいもあります。
月給は企業により差があり、22~35万円程度となっています。
工場
物を製造する工場もまた、事故の起きやすい職場です。
機械に指などを挟まれたり、床で滑って転倒する、重量物で腰を痛める等のリスクがあります。そのため、事故を未然に防ぐための対策が必要です。
あわせて、仕事によって健康を害しないような対策も必要となるでしょう。
第一種衛生管理者は工場における安全管理を任されることになります。特に現場責任者ではこの資格が必要な場合も少なくありません。
月給は企業や職種、職位により差があり、20~30万円程度となっています。責任者クラスになると50万円以上となる場合もあります。
物流
物流センターや倉庫、トラックの運転等、物流を担う職場でも安全対策は極めて重要です。
荷物で腰を痛める、倉庫内で機械と接触、交通事故等、常に事故や労災と隣り合わせの職場といえるでしょう。そのため、物流に関わる職場でも第一種衛生管理者の資格を生かすことができます。
特に管理職を目指す方は職場の安全管理や従業員の健康に責任を持つ立場となりますから、この資格の取得が必須となる場合もあります。
月給は企業により差があり、25~50万円前後です。
健康診断施設
働く人には年1回以上の健康診断が義務付けられています。このような人々に向けて健康診断を行う施設で働く人にも、健康を害さないための対策が必要です。
健康診断施設ではレントゲンや注射器など、取扱いに注意が必要な機器や器具があります。またエックス線による被ばくや針刺しなどの事故が起きるリスクもあります。
このような事故が起きないようにすることは衛生管理者としての大切な職務であり、また第一種衛生管理者の資格を生かすことができる職場です。
月給は20~25万円前後です。看護師の資格があると多少給与が上がる傾向にあります。
企業向けのコンサルタントや研修会社
業務中の事故や、過労により健康を害し働けなくなる人が出ることは企業経営のリスクであり、これが現実となったときは業績が悪化する要因となります。
そのため経営層、従業員の両方とも、安全な環境で働くことや自らの健康管理についての意識づけをすることは重要です。
とはいえ、なかなかこのような点に意識が向けられない会社も多いと思います。
そのため外部から意識づけを行う仕事として、経営層向けにはコンサルタント会社が、従業員向けには社員研修を行う会社があります。このような職場でも、第一種衛生管理者の資格を生かすことができます。
月給は企業により差があり、25~50万円前後です。
第一種衛生管理者の資格を武器に採用されるためのポイント
第一種衛生管理者が活躍できる職場はたくさんあります。しかし、実際にこの資格を武器に就職をめざす場合は、いくつか工夫が必要です。そのポイントをみていきましょう。
豊富な実務経験をアピールして、選考をより有利に
第一種衛生管理者は就職に有利になる資格ですが、実務経験と組み合わせることで、選考をより有利に進めることができます。
とはいえ、特別なことを行う必要はありません。あなたの職務経歴、そしてあなたができることを徹底的に棚卸しして、わかりやすい形で職務経歴書に記載することが大切です。
あなたの能力を上手にアピールして、選考を有利に進めましょう。
衛生管理者としての実務経験も忘れずに記載を
すでに職場の衛生管理者を経験された方は、実務経験も忘れずに記載しましょう。
単に衛生管理者に選任されていた事実を記入するだけでなく、働く環境の改善や従業員の健康管理に努めたことなど、衛生管理者としての業務実績を具体的に記載することが重要です。
特に応募する企業と同じ業種で衛生管理者を任されていた場合は、選考に有利となることが期待できます。
第一種衛生管理者として応募する職種が未経験の場合
衛生管理者は、あらゆる職種で必要とされています。
そのため第一種衛生管理者の資格をお持ちの方の中には、これまで経験したことのない業界や職種に応募する方もおられるでしょう。
この場合、どのような点に心がければ良いのでしょうか。
高い給与が提示されていれば、誰でも応募したくなるものです。
しかし、衛生管理者は職場の安全や従業員の健康に関する業務だけをやれば良いケースは少なく、むしろ日常の仕事をしっかりこなした上で、衛生管理者としての職務も求められることが多いです。
つまり日常業務を理解した上で、職場の改善点を自ら考え提案することが求められる仕事といえます。
従って、応募する職場の仕事内容に興味があるということは、衛生管理者として仕事をするための必須条件です。そのため、応募先の企業研究は欠かせません。
また応募先として多くの選択肢がある場合は、できるだけあなたの活躍している姿がイメージできる企業や職種に応募することが大切です。
まとめ
ここまで、第一種衛生管理者を活かせる仕事について説明してきました。
さまざまな企業が第一種衛生管理者を求めていますから、どの企業でも生かすことができる資格です。しかし、職場の安全管理や従業員の健康管理の内容は、業種ごとに大きく異なります。
そのため、就職活動にあたっては資格だけではなく、実務経験も含めてアピールすることが必要です。衛生管理者の実務経験がある方は、その経歴も含めてアピールすると良い結果につながりやすくなります。
資格をお持ちの方の中には、未経験の職種にチャレンジされる方もいるでしょう。
職場の安全管理の指針は、仕事内容をよく理解していないと良い内容のものをつくることができません。
従って、未経験の職種にチャレンジされる場合は給与の高さを優先するのではなく、あなたが興味・関心を持つ仕事に応募することが大切です。
残念ながら現在でも、職場で起こる事故や、健康を害した事例等はときおり報告されています。ニュースに上らないような事例は、毎日のように起きているのではないでしょうか。
衛生管理者はこのような事例を教訓とし、ご自身の職場では起きないようにしなければなりません。そのためには労働災害や職場環境等のニュースに関心を持ち、事故の事例をよく研究することも大切です。