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教師としてはベテラン勢に加わって、定年も視野に入ってきたころ…。新卒から教員生活を続けてきた人は、年季が入ってさらに熱意が高まる人もいる中で、「熱意ってなに?」というくらい惰性で続けているという人も少なからずいるでしょう。

一方で、民間企業に勤務していたけれど、安定や教育職へのあこがれを捨てきれずに学校に転職してきた人もいるかもしれません。

いずれにしても、40代という年齢は、転職限界年齢といわれている35歳をとうにオーバーして、ただでさえ潰しがきかないといわれている教師の中でもより一層転職が難しくなってくる年ごろです。

しかし、それをわかっていてもなお、教師を辞めたい!転職したい!と思う人は非常に多いでしょう。

ここでは、40代の教員として働いていたけれど、辞めたいと思った理由、40代教師がかかえる心と体の問題や、40代教師からの転職先について紹介します。

40代の教員が教師を辞めたい理由

40代で教師を辞めたい理由その1:とっくに薄れた教育への情熱…定年まで続けるだけの気力がない

20代・30代のころは、学校の主軸となって、授業研究に、部活に、「自分にしかできないこと」を求めてバリバリと働いていた教諭でも、40代に突入すると、「定年までの折り返し地点」に突入し、一気にモチベーションが低下する人が多いのではないでしょうか。

教育への熱意が急激に冷め、そのとたんに「学校に居続ける意味」がわからなくなり、転職を考えだしてしまいますよね。

40代で教師を辞めたい理由その2:全力投球してきた部活顧問が体力的に辛すぎる

文化部ならまだしも、運動部の部活顧問は、日々の練習メニューの考案、トレーニングなど、生徒の見本となるように口だけではなく自分も一緒になって体を動かすことがあり、若いころはむしろ楽しかったのに、40代になったら体力の衰えとともにかなりつらくなってきますよね。

さらに休日の遠征で体を休める暇もなく、40代の悩みであるヒザ・足腰に負担がかかり、リカバリする暇もなくまた平日の練習…。

授業よりも部活指導がキツくて転職を考えるという人も少なくないでしょう。

40代で教師を辞めたい理由その3:40代過ぎたらもう学校を動けない…転職するなら最後のチャンスだから逃したくない

転職限界年齢といわれている35歳という年齢も、高齢化、定年の延期、年金受給開始時期の延期などの影響で、37歳、40歳…と高齢化してきました。

40代で転職なんて無理…と思う人が少なくなった結果、教師から転職できる最後チャンス!と考えて転職活動を始める40代の人が増えているのです。

40代教師の転職を躊躇させることとは?

子どもの教育費がMAXな世代で家族に反対される

40代ともなると、子どもがいれば中学~大学生になっていて、これから教育費がかかる…もしくは今現在大学の学費を支払っている世代ですよね。

大学なら年間100万円~の学費がかかる中、収入がダウンするかもしれない転職活動を始めることは、子どもだけではなく配偶者からも大反対されてしまい、「転職によるリスクを回避するのが夫(妻)の務めか…」と躊躇してしまう人もたくさんいるでしょう。

退職金の大幅減額で将来が不安になる

40代で先生を辞めてしまえば、定年で満額支給されるはずの退職金からかなりの額が減額されてしまい、将来設計が大きく狂ってしまいますよね。

そのお金で老後暮らそうと思っていた、介護付き有料老人ホームに住もうと思っていた、シンガポールなどの海外で悠々自適に暮らそうと思っていた…という将来設計も無になるほどの減額に、転職を躊躇してしまう人は少なくありませんよね。

40代教師の転職市場価値はやっぱり厳しい?

ただでさえ「元教員」という肩書がついていると、民間企業では「使いにくい」「ビジネスマナーがまったくできない」「高圧的な人が多い」という理由で採用を躊躇されてしまいます。

教師の転職にはついて回る問題です。

さらにこれが40代となると、特殊なスキルや経験がない限りは、かなりのハンデになります。

教育界での凝り固まった固定観念、教諭としてのプライドが強固になっていることなどが40代教員の転職市場価値を低めてしまっているのです。

40代からの転職で年収はどう変わる?

40代からの転職では、70~80%の人は年収がダウンしてしまいます。

残りの年収アップ人口に入るためには、教諭生活で培ってきたスキル・経験、もしくはアドバンテージとして教員とは関係なく持っている資格が必要です。

英語や中国語などの外国語力、研究論文発表などの経験などがあると、年収アップ人口の中に入ることができます。

40代教師が転職可能なのは、どんな仕事か?

40代教師が転職を成功させることができる仕事は、教員生活の中で先生として活躍してきた期間中の経験・スキル、プラスアルファが必要です。

では、40代からでも転職可能な仕事とは、いったいどんな仕事なのでしょうか。

警備員

40代教師からの転職は基本的に困難なものですが、教員生活を長く続けてきたということが「売り」になるのが警備員です。

警備員には、なんといっても「真面目さ」が求められます。40代まで教諭をしてきた先生は、「真面目で規律に厳しい」というステレオタイプがあり、これが警備員への採用に有利に働くのです。

警備員の平均年収は340万円ほどですから、教師時代に比べるとかなりダウンしてしまうのが痛いところですが、採用されやすいという意味では、40代教師転職のセーフティ・ネットになりやすいのです。

大学教員

研究学校で授業研究を熱心に行ってきたという40代教師の場合、その研究結果を教育心理学会などの学会で発表し、論文実績を残しておけば、大学教員への転職も可能です。

実際、教育学部などでは、元高校教師、元小学校教諭の先生が講師陣に名を連ねています。

私立大学ともなれば、給与は年収900万円程度と、教師時代よりも年収がアップするというまれにみる優良求人です。

40代教師からの転職体験談集

中学校教師から地元サッカークラブの顧問へ転職(40代前半・男性)

県内でも常に県大会出場の候補に入るサッカー部の顧問として活躍してきたという自負がありますが、肝心のクラス運営の方でやっていけないと感じる出来事があり、友人にも止められましたが、独身で自由がきく身、これまでの貯金もあったので、思い切って転職しました。

サッカーコーチといえばきこえはいいのですが、収入は微々たるもので、家族を養っていたら到底やっていけないでしょう。

ただ、好きなことだけをして給与が発生するという限りなく自由な生き方は、教師を続けていてはできないことだと思います。

高校教師から不動産営業へ転職(40代前半・男性)

高校で国語を教えてきたのですが、希望していた出世コースから痛々しく離れてしまい、それまでにかけてきた気持ちがガクンと落ちてしまい、このまま定年を待つまでの人生が耐えられなくなって退職しました。

結婚はしていましたが子どもがいないDINKSで、妻も看護師で安定した収入があったからこそ決心できたと思います。

とはいえ、手に入るはずの退職金をみすみす減らしてしまったこともあり、収入維持、もしくはアップを目指して、40代からでも転職OKとあった不動産営業に転職しました。

年収は、成果給が入る月に関していえば、教員時代よりもかなりよい給与をもらっています。

小学校教諭から託児所保育士に転職(40代後半・女性)

大学で小学校教諭と同時に幼稚園教諭の免許も取得していたので、夫の県外転勤に同伴するかたちで保育士に転職しました。

元々教諭生活が手書きからPCへ、一気にデジタル化されていったことについていけず、教育に携わるならもっと低年齢からではないと…と感じていたことも手伝っていました。

年収はもちろんというか、やはりというか、教諭時代に比べれば下がってしまいましたが、それでも今の仕事は残業時間も少なく、小学校のような教材研究もなく、何よりも子どもたちを帰す時間が早いので、気が楽です。