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教員採用試験を見事突破し、待望の教師生活をスタートさせたものの、思い描いていたものとはまったく異なる毎日の連続で、新任早々辞めたい!と思っている先生も多いのではないでしょうか。
理想が大きく美しいものだった人ほど、現場に出て幻滅することが多いはずです。このままこんなところで定年を迎えるのは絶対無理!転職したい!と思ってしまうのも仕方ありません。
ここでは、教師として1年働いてみたけれど、辞めたいと思った理由や、1年目の教師を辞めた人の転職先について紹介します。
教師1年目で教員を辞めたい理由
何も事情を知らない友人や家族からは、「難関の教員採用試験をパスしたのだし、公務員で安定しているのだから、何も1年目で辞めなくても…」「せめて3年は続けてみたら?」など、「何もわかってない!」と思ってしまうようなことを言われてしまいますよね。
でも、実際に1年でも十分にわかること、むしろ1年勤務したからこそ持つ、以下のような悩みがたくさんあるのではないでしょうか。
- 一般企業では教育期間があって心の準備ができるのに、教師はいきなり現場に立たされる
- 指導教官はついてくれるものの、クラス運営の細かなところまで見てもらえない
- 1年目は仕事内容がベテランと同じくらいあるのに、いわゆる試用期間で腹が立つ
- 小学校では給食(昼食)すら児童生徒と一緒で、新任なのにひとりになる時間がないから常に忙しい
- 授業でいっぱいいっぱいなのに、鬼のように降ってくる校務分掌が辛い
- 1年目だからと保護者が上から目線でクレームを入れてくる
- 中学や高校だと1年目ということで教師いじめの対象になることもある
まわりの「せっかく先生になれたのに」という声が気になるものの、これくらい多くのストレスが毎日かかってくるわけですから、「せっかく」も「まだ1年目」も、無視したくなりますよね。
かといって、1年目で転職するということが果たして自分のためになるのか…先生以外の生き方が自分にできるのか…という不安も同時につきまとっている人が多いのではないでしょうか。
1年で退職した教師の転職市場価値
新卒で教師になった人も、社会人経験を経て、もしくは講師生活を経て教師になった人もいると思います。
前者と後者では、転職市場価値もかわってきます。
新卒で教師になったけど1年で転職する場合
新卒で教師になったという場合、いわゆる転職時には“第二新卒”扱いになります。第二新卒は新人として教育しやすいのに、1年社会人経験があるという意味でまったくの新卒を雇用するよりもビジネスマナーがある程度身についていると予想されることから、転職市場でも需要が高いのです。
社会人経験を経て教師になったけど1年で転職する場合
社会人経験が何年あるのかという点が重要になってきます。自治体によっては教員採用試験の受験資格に年齢制限を設けていないところもあり、あっても「昭和31年以降に生まれたもの」など、かなり高齢まで受験資格のある自治体もあります。
社会人経験1~2年
これも上記と同じように、“第二新卒”枠での転職活動ができるため、非常に転職市場価値は高いといえます。
一般的に第二新卒は社会人経験が1~3年であるため、教師以前の社会人経験が2年までの場合は第二新卒枠で未経験でもかなり幅広い業種・職種にも転職可能です。
社会人経験3年~
第二新卒枠を外れて、ある程度長い期間の社会人経験がある場合、教師よりも前の仕事でのスキル・経験を活かして転職することができます。
その場合、教員免許の他に、前職で取得した資格や実績があれば、より異業種転職がしやすくなります。
「教師を1年目で退職した人」を企業はどう評価するか?
家族や友人に相談した人は、「最低でも3年は我慢すべき」「1年で辞めるなんて、転職先に根性なしだと思われるだけ」などというアドバイスをもらった人が多いのではないでしょうか。
でも、実際に教師を1年目で辞めることを、以下のように評価する企業もあります。
ポジティブな評価
- 教師ならではの融通の利かなさが身につく前に辞めているから育て甲斐がある
- 1年で辞める思い切りがある=行動力がある
- 公務員には向いていないクリエイティブな側面がある可能性
ネガティブな評価
- 学校内で何か問題を起こしたのではないか
- 理想を抱きすぎてしまう人かもしれない
- ストレス耐性がないのではないか
ネガティブな評価を受けることもありますが、ポジティブに評価する企業もあるため、最初から諦めずに自分を評価してくれる企業を探しましょう。
教師1年目からの転職先と年収の変化
教師を1年目で辞めた人は、実際にどのような企業に転職可能で、それに伴って年収はどのように変化するのでしょうか。
書店員
司書の資格を所有している先生は多く、その資格を活かして企業が運営している書店の店員となることができます。
元国語教師など、図書に造詣の深い先生は、たくさんの本とともに働けることに幸せを感じる人も多いのです。
年収の変化
書店員の平均年収は300~400万円と、教師の平均年収を下回ります。そのため、本が好き、たくさんの人に本を楽しんでもらいたいというモチベーションの高い人におすすめです。
建築デザイン・営業
工学関係の先生は建築系のデザインや営業に転職するという選択肢もあります。もちろん工学の知識はあっても未経験という人も多いと思いますが、企業によっては研修期間を設け、半年間研修に徹してよいというところもあります。
教えるよりも実践の方に興味があるという人におすすめの転職先です。
年収の変化
建築の営業を担当する場合、契約ごとにインセンティブがつく企業が多いのが建築営業の特徴です。
企業によっては基本給が低くてインセンティブが高いところ、基本給自体が高くてインセンティブがそれほどでもないところというように分かれています。
前者の場合はバリバリ営業したい人向けで年収は600~1,000万円超、後者は安定した生活を送りたい人に向いていて年収は400~800万円となっています。
教師1年目の教員からの転職体験談
小学校教諭から発達障害児のデイケア職員へ転職(20代前半・女性)
どうして1年目で教員を辞めたのか?
初めて持ったクラスが見事に学級崩壊中の高学年。上の配慮のなさにも嫌気がさしたから。
転職してよかったこと
元々特別支援に興味があって、デイケアなので残業も少なく、自分の時間が持てるようになったこと。
年収は変わった?
福祉業界なので、年収自体はダウンしました。でも勤務時間を考えると妥当だと思います。
高専教員から中堅建築会社へ転職(30代前半・男性)
どうして1年目で教員を辞めたのか?
博士まで院にいて、教育者としての素質がないことに働いてから気がついたから。
転職してよかったこと
営業とデザインの両方を任されているのですが、お客様と話し合ってデザインを組み立てていく中で、「これこれ!」と共感されることがとても嬉しいです。
あとはうちの会社が中堅なので、大手よりも少ない契約数で結構出世できます。役職につくと手当も出るので、自分の努力が年収に直結するという、教師時代にはなかったやりがいを感じられたのもよかったと思います。
年収は変わった?
契約がとれる月は、教員時代をはるかに上回る月収です。基本給が200,000円ほどなので、あとは契約がとれるかとれないか。
今までで一番よかった時は、年収900万円台まで行きました。
中学の国語教師から大手書店のバイヤー・商品企画構成に転職(20代後半・男性)
どうして1年目で教員を辞めたのか?
初めて配属されたのが地元でも随一の荒れている中学で、教員として授業をする前に、人としての尊厳を失いそうだったからです。
転職してよかったこと
本が好きなので、まずはその本に毎日関われることが嬉しいです。それだけではなく、自分が選んだ本が書店に並び、売り上げを伸ばすと、かなり喜びを感じられます。
時代の流れ、流行、政治・経済など、複数の要因が書籍の売り上げに関連するため、毎日日本・世界情勢に目を通し、先を読む力をつけることが必要ですが、その仕事自体が楽しいので、自分に合っていたのだと思います。
年収は変わった?
大手グループ企業の書店なので、福利厚生が充実しています。賞与が5か月分ということもあって、書籍の売り上げが良ければ年収700万円以上にもなります。
教員1年目の頃よりも、年収はアップしたといえます。