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教師からの転職時、給料がどれくらい変わるのか、もしくは変わらないのかは、非常に気になるところですよね。転職するのは年収アップのため…という先生も多いでしょう。
そこでこの記事では教師が民間企業に転職することで起こる年収の変化と、その変化の理由について紹介します。
教師が民間企業に転職すると年収はどう変わるのか
40代教師の平均年収は、700万円ほどです。年齢や勤続年数に応じてアップしていく教師の年収は、公立と私立でも少し異なります。
30代の場合は550万円、20代の場合は280万円と年齢と給与が相互に関係することがわかります。
これには、公立には出ない時間外労働の手当が私立では支給されるという背景があります。公立校よりも私立校の教師の方がこの時間外労働手当によって、月に10万円前後多い月収を得ています。
年収に換算すれば、120万円ほど私立校の方が年収が高いという計算になります。
この章では、40代の公立教師の平均年収である700万円を比較対象として、民間企業に転職することでどのように変化するのかについて比べてみます。
企業の規模による年収の変化
企業の規模は、中小企業基本法という法律によって資本金や従業員数によって“中小企業かどうか“を判断する基準があります。
一般的には、中小企業よりも一部上場しているような大企業の方が、社員の収入のよいのですが、最近では従業員数300人以下の中小企業でも、大企業並みの年収を支給している会社もあります。
【一部上場企業に勤務する40代社員の平均年収】約590万円
【中小企業に勤務する40代社員の平均年収】約370万円
それでもやはり、上記のように上場企業の平均年収は中小企業の平均年収を大きく上回ります。一部上場企業に転職してはじめて、教師の年収を維持できますが、中小企業の中でも業績が非常に良い企業以外へ転職するとなれば、同じ40代であれば、年収は100万円~200万円ダウンしてしまうでしょう。
逆に20代なら中小企業でも年収アップ、30代なら一部上場企業に転職すれば年収アップという計算になります。
職種による年収の変化
民間企業の中でどんな仕事をしていくのかによっても、教師からの年収とは差が付きます。年収の高い順に、民間企業の職種の年収を紹介します。
ここでも公立教師の平均年収である700万円を比較対象に、民間企業へ転職後に年収がどのように変化するのかをみていきましょう。
- M&A・プライベートエクイティ投資:平均年収約1100万円→年収400万円アップ
- 金融リサーチ関連:平均年収約930万円→年収230万円アップ
- 経営・戦略系企業コンサルタント:平均年収約830万円→年収130万円アップ
- 人事・労務職:平均年収約590万円→年収110万円ダウン
- サービス系営業職:平均年収約550万円→年収150万円ダウン
- 事務職:平均年収約350万円→年収350万円ダウン
リスト上位にある職種は、教師からの転職は難しく、現実的なのは人事・労務から下の職種ということになります。
とはいえ、英語教師から外資系企業のコンサルタントになった人も実際にいますから、自分の得意分野を活かして民間企業で高収入を実現することも可能です。
教師が民間企業に転職する際、注意すべきは賞与
これまで“年収”という形で教師と民間企業との差を紹介してきましたが、教師の皆さんの中には、教師としての初任給の給与明細を見て、「こんなに少ないのか!」と驚いた人も多いでしょう。
でも、最初の賞与(ボーナス)では、反対に「こんなにもらっていいの!?」と顔を緩めた人も多いはずです。教師の賞与はほぼ月給の4か月分であり、これが教師の高収入のカラクリでもあります。
ところが、民間企業の賞与は、平均すると1.5~2か月分(年間)が相場であり、賞与の金額は民間企業に転職することで減ってしまう可能性が高いのです。
しかも、賞与がまったくない企業もあれば、賞与が年間5か月分というように教師を上回る企業もあります。
ただし、民間企業の場合は教師と違って、業績の悪化等を理由に直前になって“今季の支給はなし”という通達が来ることもあります。
また、賞与割合の記載にも注意が必要です。
【賞与:あり】という記載のみの場合、実際にあったとしても1か月分に満たない求人もあります。
【賞与:あり(2か月)】という記載があっても、夏季・冬季あわせて2か月分という求人と、夏季に2か月分、冬季に2か月分という求人があります。
このように、同じような表記であっても、実際に支給される賞与が異なれば年収も大きく異なるため、転職前には賞与欄をよく確認しましょう。
福利厚生まであわせて計算し、教師or民間のどちらが得するか考えよう
企業の経営規模が大きければ大きいほど福利厚生が充実している傾向にあります。退職金は特に重要です。
退職金はそもそも企業側に支払い義務はないため、企業側が任意で設けているものです。そのため、企業によっては30年勤務しても退職金がスズメの涙程度というところもあります。
それに比べると教師は退職金がかならずあり、しかも勤続年数に応じて1,000万円以上の退職金もザラという世界ですから、退職金だけを見ればよほどの大企業の役職にならない限り、教師に軍配が上がるでしょう。
さらに企業によっては無料の宿泊施設があったり、レジャーの無料券が支給されることもあります。教師にも保養券(自治体による)が支給されるものですが、宿泊が無料ということになれば休日に家族旅行がほぼ無料でできたり…という嬉しい特典となります。
一部の保険会社では、子どもの保育料を一部負担するという企業もあるため、このような福利厚生まできちんと調べれば、教師よりも結果的に待遇のよい民間企業に転職できる可能性が高くなります。
教師から民間企業に転職しても年収維持・アップは可能
教師の年収を知っている民間企業の社員からすれば、転職するなんてもったいない!考え直したほうがいいよ!と追われることもあるでしょう。
それは民間企業の中でも年収が低い方の人からのアドバイスかもしれません。民間企業の中でも、高収入の企業、職種に転職できれば、手堅い教師の年収を上回ることも可能です。
ただし、賞与や福利厚生などの月収以外の側面をきちんと精査しないで転職してしまうと、年収ダウンの可能性が高まるので要注意です。