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今回は、面接でよく聞かれる質問の意図と具体的な回答ポイント、模範応答例を、一問一答形式でまとめてみました。

私は今、企業の人事担当として採用面接にも関わっていますが、応募者の視点だけではなく、採用する側の視点からの、面接での質問の意図や「こんな答えではNGだな」といった回答のポイントなども見えています。

そこで、面接でよく聞かれる(必ず聞かれるといっていい)質問5つに絞って、解説します。

実際の面接の場面における応答の具体的なイメージをつかんでいただければと思います。

ただし、実際の面接では、模範応答を丸暗記して突破しようとしてもムダです。相手は経験豊富な面接官です。

通り一辺倒の答えや、模範回答を少しアレンジした程度の応答では、「またか」とすぐ見抜かれてしまします。

必ず自分なりの言葉で考え、自分なりの言葉を使って考えをまとめて欲しいと思います。

また、面接には、このサイトで書いた、面接の心がまえやマナー、面接の突破術といった他の記事の内容をしっかり理解してこそ、この記事が活きてくると思います。ぜひ他の記事と合わせてご覧いただければと思います。

よくある質問①:自己紹介をお願いします

質問の意図

面接の冒頭で必ず、といって良いほど聞かれる質問です。

私は、面接の冒頭で自己紹介を求める時は、応募者が語る自分についての人物イメージが、採用する人物イメージに合っているかどうかをチェックしています。そうした意味では、職歴紹介を中心にイメージしているところがあるかも知れません。

回答のポイント

まず最初に書いておきますが、趣味などのプライベートの自己紹介は不要です。ビジネスの面接の冒頭だということを意識しましょう。

自己紹介と言われても、企業側には答えて欲しい「ニーズ」があります。その企業ニーズに近い人物イメージを語ることを意識しましょう。ヒントは求人票に記載されているので、確認をお忘れなく。

企業が求める人物像のニーズとの共通点を探る質疑応答のため、各応募企業毎に自己紹介の力点を置くポイントは変えましょう。

自己紹介しの時間ですが、1分程度を標準にすると良いでしょう。それ以上長くなると冗長ですし、詳しい職歴などは後に面接の質疑応答で聞かれるので、「概略」をお話しすれば十分です。

模範応答例

初めまして。~と申します。

私は、2007年から2011年まで、A社で役員秘書として勤務し、スケジュール管理、電話・接客応対などを行いました。2011年から2016年までは、B社で営業事務として勤務しました。

特にB社では、営業部員が効率よく営業活動ができるように正確な事務サポートを心がけたほか、営業部員が担当する資材の在庫状況についてもリアルタイムでの整理を心がけていました。外出先でタブレット端末のシステムを開くだけで、現在の在庫状況が分かるように整理することに気を配ったことで、タイムリーな受注活動につなげることができました。

非常にやり甲斐を感じていましたが、直接お客様と接する仕事の幅をもっと広げたいと考え、各種の化粧品の取り扱いだけではなく、「C」というブランド展開で、業界に独自の立場を築いている御社を志望した次第です。

本日は宜しくお願いいたします。

よくあるNGパターン

  • 数字を示さず、「ひたすら頑張りました」といった精神論に走る
  • 「経験がないのでできるかどうか分かりませんが・・・」と謙虚すぎる自己紹介をする
  • 過去の経歴をすべて語ろうとする。「1分程度で」と言われても4分も5分も喋る

よくある質問②:どうして前の会社を辞めたのですか?

質問の意図

面接の必ず聞かれる、(たぶん応募者全員が)イヤだと感じる質問でしょう。

中には、「どうせホンネを話さないのだから、そんなことを聞いてどうするんだ?」と思う方もいらっしゃるでしょう。私もそう思います。

しかし、企業としては採用するのに多額の予算、採用後には多額の人件費という投資を行う以上、聞かざるを得ません。

私は、この質問は、「キャリアプランに関する質問と似ているな」と感じます。退職理由に、今後どんなキャリアを築きたいか、その人のキャリアの視点の高さ・深さが表れているように思います。

回答のポイント

申し訳ありませんが、どこのサイトや転職本にも書いてあることをあえて書かせてください。

退職理由は必ず前向きなものにしましょう。

「私は今後こういうう仕事をしていきたいと考えているから退職を決めた。」「私はこれまでの経験をこういう分野に活かしていきたいと合考えているから転職を決めた」というロジックが定番ですが、鉄板の回答です。もちろん、自分の頭と言葉で考えた内容にしてくださいね。

もちろん、ホンネでネガティブなドロドロの退職理由なんか話さなくて結構です。日本人だったら分かりますよね?

回答が苦手な方へコツを1つ。模範応答例にもあるように「現職の仕事内容から切り出す」というのも手です。そうすると、後につなげる退職理由に説得力が出ます。

模範応答例

前職(現職)は、業務支援ソリューション事業を手掛けるITコンサルティング会社で、法人営業と要件定義の前段階の支援業務を5年間経験しました。コンサルの対象は、主にサービス業が中心で、法人営業としてシステム導入の提案、見積り、SEやPMとの導入設計案の作成や導入後のユーザーサポートへの引き継ぎが中心でした。

仕事は面白く、非常にやり甲斐も感じていましたが、もっと根源的なもの、つまり、企業の経営課題の解決にまで踏み込んだコンサルティングを行いたいと考えるようになりましたが、前職(現職)は、パッケージシステムの導入が中心のため、こうしたコンサルティングを行うことは難しいと考えています。

そこで、これまで培ってきた顧客の真の課題を的確に捉え、提案し、各部署の担当者と連係しながら、案件を着実に進めていくスキルを分野が違っても活かせるのではないかと考え、転職を決意しました。

よくあるNGパターン

  • 会社や上司の不満、病気、ケガを理由にするなどのネガティブな理由
  • ひたすら自分中心のキャリアアップだけを理由にする。踏み台にされていると思われる
  • 会社の倒産はやむを得ない理由だが、単に受け身のネガティブな理由にならないように注意する

よくある質問③:当社を志望されたのはどうしてですか?

質問の意図

面接で必ず、面接官が聞きたい質問ですね。

ただ、ある有名保険会社の面接官の方の講演を聞いた時のことですが、「この頃の大学生って、必ず大学4年になって親だの兄弟だのが事故や病気になって、保険の大切さに目覚めるんだよね~」って話していました。

会場は大爆笑。おそらくネットにそうした「模範回答」が出回っていて、うんざりしていたのでしょう。

ここで聞きたい理由は、「その会社を好きになった理由」といったエモーショナルなものではありません。もう少し分析的にいえば、「応募者の志望のモチベーション」と「その会社の事業内容」が「マッチング」するかどうか、ビジネスライクにいえば「利害の一致」があるかどうかという点です。

回答のポイント

マッチングが回答のポイントになります。つまり、「これまでのこういう経験・実績をいかしていきたい」という転職理由から、「入社後に自分がやりたいこと・できること」(=企業に貢献できること)が、応募先企業の商品・サービス、事業内容と一致している、という点が重要です。

「入社後の自分ができること・やりたいこと」を支える根拠として、その企業の製品・サービスの良さを強調するのは説得力があります。

また、こうしたロジック構成で欠けてはならない視点が、企業側の求める人材像(ニーズ)との一致です。いくら上記のロジックを駆使しても、「そんな人材求めていないよ・いらないよ」と断られたら一巻の終わりです。企業のニーズは絶対だと認識してください。

模範応答例

御社でマネジメント経験のある方を募集しており、今までの経験を活かせると思ったからです。

前職(現職)では、パソコン部品のメーカーで出荷計画・在庫管理を行うとともに、15名の正社員・協力会社社員のマネジメントを任されていました。

そこで、各社員の業務の細分化・業務の標準化をQC活動を通して実現することで、業務の効率化、生産性の向上を実現しました。また、正社員・協力会社社員に分け隔てなくコミュニケーションを取ることによって、潜在化しがちな職場の不満や要望をいつでも言ってもらえる雰囲気作りを心がけました。こうしたコミュニケーションから業務改善につなげることができた例もあります。

私は、マネジメント業務に非常にやり甲斐を感じています。今後は、もっと企業の中核部署でのマネジメント業務に挑戦していきたいと考えていたところ、御社の求人情報を拝見し、応募した次第です。

よくあるNGパターン

  • 扱っている商品に興味がある。「好き」と「志望」が分けられていない
  • 「勉強させていただけそうだから」と謙虚すぎる志望理由を述べる
  • 社風にひかれた、といった曖昧な理由による志望動機

よくある質問④:あなたの長所と短所を教えてください

質問の意図

これもホンネというものがなかなか聞けないけれど、面接でつい聞いてしまう質問ですね・・・。

ただ、見るポイントというものはあって、自分のことをどれだけ客観的にみられているのか、ということを測るポイントではあります。面接官は、「この応募者はこちらがやってほしいいと考える仕事をきちんと出来る人かどうか」という点を見きわめようとしますが、同時に、「この人はどのように仕事に取り組むタイプなのか」という点も知りたいと思っています。

入ってから「合わなかった」では遅いのですね。

回答のポイント

よって、回答のポイントは、仕事に絡んだ回答となります。自分のことを客観的に分析して、仕事への取り組み方がどのような姿勢で、どのような課題(短所)があるかを語るようにしましょう。

長所を語る時、周囲からどう評価されているかを語ると説得力が出ます。この点では、最近、「あなたは周囲からどのような人だと言われますか?」という質問の仕方をする企業も増えていますね。

さらに短所は「直す努力までしている」という点まで語れると良いです。この点でいうならば、「短所」をストレートに考えるのではなく、「自身の課題を考える」という視点から答えを練ってみるのが良いでしょう。

模範応答例

仕事ではどんな締め切りも必ず守り、前職では一度もデスマーチを生じさせることなくプロジェクトを完成させてきました。それは、締め切りのデッドラインを常に意識し、ゴールから逆算してスケジュールやメンバー個々のタスクステップを切る習慣が身に付いているからです。

短所は、締め切りが厳しいところを他の人にも求めすぎるところがあるところです。プロジェクトマネージャとして全体を把握しているつもりですが、メンバー個人の事情にももっと配慮して、柔軟に対応するよう努力しています。

よくあるNGパターン

  • 「短気なところです」などと、人間関係に問題を生じさせそうな欠点を挙げる
  • 「旅行の計画は率先して立てます」などプライベートな事情を挙げる

よくある質問⑤:最後に何か質問はありますか?

質問の意図

この質問をする場合、面接官は2つの目的があります。

1つは、今までの面接内容で、ヌケ・モレがあった場合に、これを補うため。もう1つはネットでも転職本でもよくいわれていることですが、応募先企業への興味度合いを測るためです。

こうした質問の代わりに、「当社のことをどうして知りましたか?」とか「当社のことを何か調べましたか?」といった質問もされますが、基本的には同じ意図です。

回答のポイント

よって、回答のポイントは、2つです。

1つは、今までの面接内容でPRしきれなかった、自分のPRポイントを強調するという場、例えば「自分は今後こういうスキルを活かした仕事をしたいが、活躍の場はありますか?」といった質問の仕方をする。

もう1つは、応募先企業への強い熱意を示す質問をする。模範応答例を以下に挙げます。

模範応答例

御社はベンチャー企業で、創業以来10期連続で黒字を達成し、事業も急速に拡大していますよね。お会いした社員の方もとても明るく、活気のある職場だな、という印象を受けました。積極的に人材を集めている印象があるのですが、中途採用の方で、私のように違う業界からの転職組はどれくらいいらっしゃいますか?また、その方々はどんな活躍をされていらっしゃいますか?

よくあるNGパターン

  • 頭が真っ白になり、「質問はありません」と答える。ならばメモして行くくらいの対策が良い
  • 有給や福利厚生などの職務に直接関係のない質問については避ける
  • ホームページを見れば簡単に分かるような質問ならしない方がマシ

最後に

今回は、面接で5つの質問に絞ってをピックアップして記事を作成しましたが、この5つを考えるだけでも、面接では8割方対応できると思います。

例えば、「自己紹介をしてください」と「今までの職歴について簡単に教えてください」という質問は、答えがおおかたかぶるでしょう?

質問の矛先がちょっと変わるだけで、聞いていることは実質、この5大ポイントに集約されるからです。

ただ、繰り返しますが、ここに書かれている質問への具体的な受け答えを想定して準備するだけでは足りません。

相手の質問の意図をくんで会話のキャッチボールができても、肝心の基本である自己分析や志望動機が疎かになっていては、面接を突破する力は上がっていきません。

ぜひ他の記事も参考にして、合わせて準備するように心がけてください。