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自動車メーカーは、数年前から軽自動車に注力するところが多くなってきていました。今まで軽自動車を作っていなかったトヨタが軽自動車を売り出し、近頃では街中で軽自動車の姿を多く見かけます。

そんな自動車メーカーの売り上げの中で、近年特に伸びているのは、ハイブリッド車やSUV。三菱のアウトランダーPHEVに見られるような、EV走行時間を長くする取り組みや、電気自動車・燃料電池の普及にも力を入れています。

一方2輪車メーカーは国内での需要が下降線。海外市場に目を向けた活躍が期待されているというのが、現状です。

自動車・2輪車業界の求人動向

自動車メーカー・2輪車メーカーは、常に人材不足だと言われています。「この職種がいい」といった場合は別ですが、職種を選ばなければ求人は常に途絶えずにあると言えるでしょう。自動車メーカーや2輪車メーカーは、事務系・技術系・業務職……そこからさらに細分化され、その職種は非常に多岐に渡っていて、大規模。他業界からの転職が多い業界なので、どの職種でもいいのであれば、転職にはそこまで苦労しないでしょう。

乗用車

乗用車を作っている企業で、比較的業績が安定しているのは三菱自動車工業・富士重工業・マツダあたりでしょうか。三菱自動車は冒頭で挙げたアウトランダーPHEVなど、ハイブリッドSUVに力を入れています。富士重工業の自動車部門であるスバルは、レガシィやフォレスターが海外でヒットしたことを受け、海外市場(特にアメリカ)に注力しているメーカーです。

マツダは以前であればミニバンに力を注いでいましたが、現在ではSUVに注力しつつあります。

三菱・富士重工業・マツダ三社に共通している特徴が、「海外営業」などの海外事業関連の職種での求人が多いということです。三社ともが力を入れているSUVは、国内はもちろんのことですが、海外での売れ行きが好調。スバルならアメリカ、三菱なら南アジア辺りに市場を広げています。そのため、各社の市場となっている国への営業職が求められているのです。

さらに三菱であればEVやPHEVの事業推進・事業企画といった人材も求められています。その反面、技術系の職種は充足傾向にあるようです。富士重工業はアイサイトシステムの制御・開発職、車体設計や内装石灰などといった車両の設計関連、車両実験や評価などといった職種が多く求められています。

マツダは三菱同様、営業や事務関連の職種に加え、技術職が不足しているようです。

自動車OEM

OEMといえば、自動車の製造を請け負うメーカーのことです。A社から委託を受けて、B社が製造し、A社がそれを自社ブランドとして販売しているものがOEM商品と呼ばれます。自動車だと、トヨタのRUSHや日産のモコがOEM商品です。

自動車OEMは、トヨタ車体や日産車体が有名どころでしょう。トヨタ車体は、福祉車両やEVに力を入れている完成車両メーカーです。トヨタ車体はキャリア採用にはあまり力を入れていません。

三菱やマツダといった乗用車メーカーは常時募集が行われているようですが、トヨタ車体は期間が限定的で、いつでも求人があるというわけではないようです。

転職をするのは難しいと考えられます。

日産車体は設計・試作・実験段階から、組み立て・品質保証まで関わる完成車メーカーです。日産車体は日産車体九州工場での製造業(派遣社員)・期間従業員といった非正規での雇用は積極的に行っていますが、それ以外だと中途採用は積極的には行っていない様子です。

バイク

バイクメーカーは、ヤマハ発動機や本田技研工業・川崎重工業・スズキが大手として知られています。ヤマハは品質や耐久力では本田技研工業(ホンダ)には劣るものの、見た目の美しさを追求し、そのデザインが人気を博しています。最新技術を搭載している車両が多いというのも特徴的です。

そんなヤマハのキャリア採用は、海外市場開拓事業や商品企画などといった事務系の職種の募集が多い傾向があります。常に求人があるとまではいきませんが、ボーナスの前後などにはよく求人が出るようです。年収は職種によって異なりますが、海外市場開拓事業関連だと最低年収が350万円に設定されており、決して低くはないことがわかります。

ホンダは耐久力やエンジンの質など、総合的な品質に優れたバイクを作っており、ファンも多い会社です。アイドリングストップ機構を設けて燃費性能を向上するなど、最新技術を搭載し、積極的に新しいバイク作りをしています。2輪業界の未来を見据えた会社と言えるでしょう。

ホンダ技研工業は、四輪分野を含めるとキャリア採用の求人が豊富にあるのですが、2輪の分野だけだと、求人は少なくなる傾向があります。制御システム設計などといった研究・開発職の求人や、海外営業の求人が多いです。海外営業は2輪業界全体がこれから力を入れていきたいという分野なので、カワサキやスズキも中途採用を行っています。

2輪メーカー全体に言えるのが、技術系の中途採用が少なく、海外事業に関する職種の中途採用が多いということです。

自動車・2輪業界の主な募集職種

自動車メーカーは、研究開発・生産関係の技術職、営業などといった事務系の職種、実務系の職種などさまざまな職種で成り立っています。研究所で生産技術の研究をする人がいて、オフィスで企画・設計・開発をする人がいる。工場で先行開発や品質保証、実際の生産をして、完成した車を販売促進する人がいる……そういった様々な人たちがいるからこそ、自動車メーカーは回っているのです。

どの仕事も外すことができないものですが、人気職種・不人気職種があり、職種ごとに充足傾向・不足傾向があります。

営業職

企画開発した自動車・バイクを販売促進するのが、営業職の役割です。営業企画や販売事業支援など、企画・販促の仕事を行う事務系の職種となります。商品企画とも密接に関わってくる仕事です。近年では海外市場拡大に向けて、海外市場への営業活動に注力している傾向があり、国内での営業職とは別の営業職として、人材が募集されています。

販売促進や海外事業支援など、企業として大切な役割を担っているのですが、自動車・2輪メーカーの中ではあまり人気のない職種で、どの企業でも不足傾向にあるのです。

営業は生産開発や技術系の職種と違って、専門知識が無くても就くことができる職種であるため、中途採用で不足を補おうとする企業が多く、求人を多数見かけます。ボーナス前後など求人が増える時期はありますが、企業を選ばなければ、常時求人が出ている職種です。

自動車・2輪メーカーの中で比較的入りやすい職種なので、どの職種でもいいから、とにかく自動車・バイク産業に関わりたいという人にはおすすめします。

研究職

エンジンやモーターにトランスミッション、電子技術などといった様々な分野の専門家が集まるのが、研究職です。それぞれの専門分野に関する研究と開発を行います。近年は電子技術やハイブリッド技術の研究開発が盛んです。特に三菱ではPHEV技術関連の職種が募集されていることもあり、ハイブリッド技術関連に造詣の深い人材が求められています。

研究職は、自動車・2輪車メーカーの中でも特にハードルの高い職種なので、営業職よりは中途採用での求人が少ないです。就職するためには、理系大学院で学校推薦を貰うという方法が一般的であり、新卒採用でも自由応募は2割から3割程度しかありません。

設計開発・生産関連の職種

設計開発は各企業によって進め方が異なるため、応募先企業の設計開発の進め方をよくリサーチしておきましょう。近年は技術の内製化を進めるメーカーが多いようなので、開発体制を調べずに転職すると、思っていた仕事とは違う仕事をすることになることもあり得ます。

設計開発職の仕事は、オフィスでの商品企画・原価企画・工場での先行開発・新規プロジェクトのマネジメントなど多岐にわたります。どの仕事がしたいのかを明確にしておくことが大切です。

生産関連は工場の仕事ばかりが思い浮かぶかもしれませんが、生産企画や物流企画などオフィスで行う仕事もあります。工場では量産開発や生産ラインの設計・品質管理などを行っているのです。実際の工場での製造業務は子会社に委託するのが一般的。

研究開発職は大学院卒が必須ですが、開発・生産関連の職種は大学院卒を敬遠する傾向があります。大学院での2年間があれば、メーカーで専門知識を叩き込むことができるためです。開発職は新卒者の採用がほとんどですが、生産関連は中途採用での採用が積極的に行われています。

自動車・2輪車業界の主要企業の業績・就業データ

企業名 業績 初任給 平均年収 募集規模 従業員数 平均年齢
勤続年数
トヨタ自動車 売上:28兆4,030億円
経常利益:2兆8,539億円
200,000 8,520,000 300名 72,721人 38.9歳
15.2年
日産自動車 売上:12兆1,895億円
経常利益:8,622億円
200,000 7,950,000 300名 22,471人 42.8歳
20.3年
マツダ 売上:3兆4,066億円
経常利益:2,267億円
200,000~260,000 6,700,000 300~400名 21,278人 40.5歳
16.0年
本田技研工業 売上:14兆6,011億円
経常利益:6,354億円
210,000~240,000 7,730,000 200~300名 22,399人 45歳
23.8年
ヤマハ発動機 売上:1兆6,153億円
経常利益:1,252億円
180,000~220,000 7,110,000 100~200名 11,579人 42.8歳
19.4年
川崎重工業 売上:1兆5,410億円
経常利益:932億円円
180,000~230,000 7,220,000 300名 15,509人 38.5歳
13.8年

休暇取得を重視する企業が多い

自動車・2輪車メーカーは、勤続年数が長い企業が多いです。川崎重工業は13.8年と業界内では短めですが、それでも他業界と比べると長いと言えます。本田技研工業や日産・ヤマハは平均勤続年数が20年前後あり、多くの人が長年勤め上げているということがわかるでしょう。

自動車・2輪車メーカーは年間休日日数が130日を越えるところが多く見られ、休暇をしっかりと取る傾向があります。毎週の休みだけでなく、夏季休暇や年末年始休暇を7日から8日間程度取得している企業が多いのです。給料も決して悪くはありませんし、ライフワークバランスが良い業界だと言えるのです。平均勤続年数が長いのは、そういったところが関係していると考えられます。