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粗鋼生産量が中国に次いで世界で二番目となっている日本の鉄鋼業界では、国内における生産拠点の見直しやグローバル化を進めています。

日本の製品が品質に優れているという評価は鉄鋼についても例外でなく、鋼板にしても強度や耐食性といった面で中国や韓国などと比較してアドバンテージがあります。

世界的にもエネルギー効率が最高であるということから粗鋼の半分程度は輸出されていて、営業職の仕事としても海外戦略が重要なものになっているのです。

鉄鋼メーカーの営業マン

仕事への心構え

鉄鋼メーカーにおいて営業マンとしてビジネスチャンスをつかむためには、今や世界にまたがる広い視野を常に持っていなければなりません。

海外も含めた市場の動向に目を配りどこにニーズがあるかをキャッチした上で、既成概念にとらわれないアイデアから戦略を立てていくことが必要です。

海外市場の重要性

近年は業界にかかわらず、日本国内において開発された製品が続々と海外の市場にも投入されることが珍しくなくなりました。

さまざまな分野のメーカーもより合理的な生産の体制をとることができるよう、国外に生産拠点を置いて必要な材料も現地で工面する方向へとシフトしています。

ここで鉄鋼メーカーは現地のメーカーと競合することになるのですが、現地企業は必ずしも日本水準の製品が誇る品質を実現させることのできる力を持っているとは限りません。

そこで営業職としてはビジネスの芽があり、ハイセンスの鋼材を輸出する余地があるのです。

メーカーによる営業の仕事内容の違い

高炉メーカー

製鉄所に高炉を備えていて鉄鉱石から銑鉄を生産し、そこから最終的な製品が完成するところまでを銑鋼一貫によって行うということで強みがあります。

充実した設備から幅広い製品を手がけることができ、さまざまなニーズに対応することができるため営業職としても商談を進めやすい面があります。

商品のラインナップが豊富であるため個人ごとに担当する商材は固定されている場合も多く、仕事の中で市場全体を見渡すことも可能。

提案から受注のプロセスだけでなく専門家としてマーケティングや戦略面にもかかわり、成約後も製品が安定して取引先へ届けられるよう各所との調整にあたります。

電気炉メーカー

電気炉を使って鉄鉱石ではなく鉄スクラップから鉄鋼を生産していて棒鋼や鋼板、形鋼のほか平鋼といった普通鋼の製品を中心としています。

営業部門の仕事としてはまず原料となる鉄スクラップを調達する必要があるのですが、中国など海外からのニーズも高まっているため確保にあたっては以前よりも世界市場の動きにも注目しなければならなくなりました。

製品の販売にあたっては鉄スクラップの価格が常に変動していることもあり、流通業者を相手とした店売り販売の営業活動で一定期間の販売価格を決定しています。

その金額をもとにして固定の客先にもその期間の取引内容を提示し、受注が確定することになります。

事業分野ごとの営業の特徴

自動車

各メーカーが競うようにあらたな車種を開発している自動車業界において、自動車用鋼板のニーズは非常に高いものとなっています。

より品質の高い自動車が生み出されるためには、使用される鉄鋼材料についても高い品質と性能を持つものができるだけ安価で調達されなければなりません。

そこで営業担当者は社内で研究や開発にかかわる部署とも協力しながら、営業先からのリクエストに対して最良の製品を提案し受注へと話を進めていくことが求められます。

新規開拓はもちろん、既存の取引先に対しても前の車種よりも多くの鋼材を提供することができるようにあらゆるアプローチをかける必要があるのです。

建築

震災復興やオリンピックの開催決定といったところから、各種施設の建設やインフラの整備にともなって鉄鋼の需要も拡大する向きが見られています。

規模が大きな高層ビルなどの建築現場においては多くの鉄鋼が必要とされますから、メーカーの営業マンは工事の受注状況に関する動向などにも目を光らせておきたいところ。

また長期的には国内での需要が縮小していくとも見込まれていることから、海外営業に活躍の場を求める選択もあるでしょう。

産業機械

人の手によって作業することが難しい物作りの現場においては産業機械の活躍を欠かすことができず、そもそも高炉をはじめとして製鉄所で使用されている各種の機械も産業機械です。

その生産にあたっては鉄鋼が不可欠であり、鉄鋼業界の中でも主要な使途のひとつになっています。

各メーカーでも事業の根幹として多額のコストを割くものであり、営業職としては一大プロジェクトにかかわるということでそれぞれの商談が非常に大きな規模となります。