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会社を退職したら、雇用保険・健康保険・年金保険・税金の手続きをしなければなりません。「退職後すぐはゆっくりしたい」と思っても、役所は待ってくれない場合があります。

手続きしておらず不利益・不都合を被ることのないように、各手続きの期限、必要なもの、流れなどについて理解しておきましょう。

雇用保険の手続き

退職後すぐ働き始める場合

退職日当日までに、雇用保険被保険者証を受け取ります。これを入社後すぐに、転職先の総務担当部署に渡すだけで手続きは完了です。

退職後に間があるなら、失業保険の手続きが必要

「退職してから転職活動を行うため、再就職までに間がある」という場合は、失業保険の手続きをしましょう。そのために、「離職票」を受け取らなければなりません。離職票は退職した翌日から、10日前後で総務担当から受け取ることができます。

離職票を手に入れたら、ハローワークに行きましょう。求職票を記入して、離職票と一緒に提出します。申し込みに必要な書類は、以下のとおりです。

  • 雇用保険被保険者証
  • 雇用保険被保険者離職票-1 -2
  • 本人確認書類
  • 写真1枚(縦3cm 横2.5cm)
  • 本人名義の普通預金通帳
  • 印鑑

本人確認書類は、運転免許証やパスポートなど、写真・名前・年齢・住所がわかるものが好ましいです。それらなら1点だけで確認ができます。健康保険証など写真のないものだと、確認書類が2点必要です。

書類を出して受給資格ありと判断された場合、「雇用保険受給資格者のしおり」が渡されます。7日の待機期間中、大切に保管しておきましょう。

7日間の待機期間が終われば、雇用保険受給説明会に参加しなければいけません。その際、「雇用保険受給資格者のしおり」と、筆記用具・印鑑を持って行きましょう。

説明会で、「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が渡されます。最初の失業認定日も知らされるので、書き留めておきましょう。

後は4週間ごとにある、失業認定日に失業認定の申告を行うだけです。

強く意識しなければならないのは、最初にハローワークに行くことと受給説明会に参加することのみ。基本的にはハローワークの案内に従っていれば、手続きは終わります。

【失業保険の手続き完全ガイド】 もらい方・受給資格・給付期間など失業保険のすべてをまとめました。
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住民税の手続き

退職月によって手続き方法が変わる

住民税の手続き方法は、退職した月によって、変わります。住民税の仕組み上どうしてもそうなってしまうのです。

住民税の支払いは、前年1年間の所得にかかる住民税を、今年6月から翌年5月までに支払う「後払い決算」です。そのため、1~5月に退職した場合と6~12月に退職した場合とでは、納付方法に違いが出ます。

1~5月に退職した場合

1~5月に退職した場合、去年6月から支払いを始めた所得税の納付が、まだ途中となります。そのため、5月までに納税しなければならない住民税の残りを、退職時に一括で支払わなければなりません。

支払い方法は、給与・退職金などからの天引きです。これは税法上決められていることなので、どういった事情があったとしても、支払い方法の変更はできません。

6~12月に退職した場合

6~12月に退職した場合は、前年所得分の住民税の支払いが始まったばかり、又は多く残っている状態となります。この場合は天引きしてもらうか、退職後に自分で払うかを決めることが可能です。

早めに退職した場合は金額も大きくなるので、退職後に自分で支払うほうが良いでしょう。

働いていたときに、住民税の徴収は個人でなく会社に対して行うと決められています。自分で支払いを行うなら、市区町村役場で「普通徴収」に切り替えなければなりません。

通常は、退職時に会社が手続きを行ってくれるため、こちらで手続きをする必要は特にありません。自分で手続きしなければならない場合でも、窓口で「普通徴収に切り替えたい」と伝えれば良いのです。しばらくすれば、支払い通知書が届きます。

所得税の手続き

年内に再就職した場合

年内に再就職した場合は、こちらで手続きをする必要は特にありません。

再就職先の会社が年末調整を行ってくれます。この際、再就職先の会社に提出することになるのは、各種控除証明書(生命保険・医療費など、ある場合)と、前の会社の源泉徴収票です。

年内に再就職しなかった場合

年内に再就職しなかった・できなかった場合は、確定申告をすることになります。通常の確定申告ではなく、「還付申告」というものです。これに必要なのは、以下の書類となっています。

  • 確定申告書A
  • 源泉徴収票(前の会社のもの)
  • 控除証明書(社会保険料や生命保険料などの)
  • 医療費の領収書(ある場合)
  • 本人名義の普通預金口座通帳
  • 印鑑

還付申告は、1月1日から受付を始めています。期限は5年以内となっていて余裕がありますが、早く申告すれば、払いすぎた税金が早く返ってくるので、早めに申告しましょう。

退職金を受け取ったら、申告しなければならないのか

「申告しなければならない」ということはありませんが、「申告したほうがいい」場合があります。

退職する際、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば、正しい金額で源泉徴収されます。正しい金額とは、計算された住民税・所得税・復興特別所得税です。

これを提出していない場合、退職金の2割から源泉徴収が行われます。2割というのは収めすぎであるため、損をしないために還付申告を行いましょう。

年金保険の手続き

退職後に間が無い場合、受領と提出だけでいい

退職してから間を空けずに再就職する場合は、年金手帳を受け取って、再就職後の会社に年金手帳を提出するだけで済みます。受け取り元・提出先は、総務担当部署です。

年金の種別変更をしよう

会社にいる間は「厚生年金(第2号被保険者)」に加入していた人が多いでしょうから、退職をすれば国民年金第1号被保険者に変更しなければなりません。保険料は、自分で支払うことになります。

退職後14日以内に、自分の住んでいる地域の市区町村役所(役場)にある「国民年金窓口」に行きましょう。持って行くものは、次の3つです。

  • 年金手帳
  • 印鑑
  • 退職日が確認できるもの
  • 身分証明書

退職日の確認は、離職票で行うのが一般的です。

配偶者の国民年金保険被保険者種別の変更をする

退職(失業)した場合、その配偶者は第3号被保険者(被扶養者)から、第1号被保険者の種別となるため、変更手続きをしなければなりません。

自分の住んでいる地域の市区町村役所・役場にて、手続きを行うことになります。配偶者と一緒に行くのが良いでしょう。この場合も、年金手帳や印鑑・身分証明書が必要です。

健康保険の手続き

健康保険の手続きは、二つ選択肢がある

健康保険の手続きには、会社の健康保険を「任意継続」するか、国民健康保険に「加入」するかの二つの選択肢があります。退職後程なくして再就職する・しないに関わらず、どちらかを任意で選択することが可能です。

国民健康保険と会社の健康保険の任意継続とでは、保険料が異なります。国保の保険料は自治体によって異なるので、一概に「どちらが得」とは言えません。

どちらを選択するのか、慎重に検討した方が良いでしょう。

国民健康保険に加入する

国民健康保険に入る場合は、退職日翌日から14日以内に手続きをしなければなりません。自分の住んでいる地域の、市区町村役所(役場)の「国民健康保険担当窓口」に行きましょう。必要なものは、以下のとおりです。

  • 健康保険被保険者資格喪失証明書、退職証明書、離職票のいずれか1つ
  • 届出書

金額や納付方法は自治体によって異なるため、手続きを行う前に窓口に問い合わせることをおすすめします。

会社の健康保険を任意継続する

任意継続をするのであれば、退職日翌日から20日以内に必ず手続きをしてください。国保の手続きは、遅れたとしても遡って保険料を支払えば手続きが出来ます。任意継続の場合、期間が過ぎたら手続きすら出来なくなるのです。

また、納付が1日でも遅れたら強制脱退させられてしまうので、注意しましょう。

手続きに必要なものは、以下の通りです。

  • 健康保険任意継続被保険者資格取得申請書
  • 住民票
  • 印鑑
  • 1~2か月分の保険料

全国健康保険協会に加入していた場合は郵送でも受けつけてくれるので、直接行けそうにないのであれば、早めに郵送しておきましょう。

まとめ

既に再就職先が決まっている場合は、受け取って提出するだけなので、再就職日までゆっくりとした時を過ごしましょう。忙しくて行けなかった旅行に行くというのもいいですし、撮りためていたビデオを消化するのもいいかもしれません。

これから転職先を探す場合、転職活動をしながら手続きをしましょう。期限が短いもの(厳しいもの)から早めに手をつけることをおすすめします。ゆっくりしている暇は、ありません。