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いろいろな事情から正社員にならず、フリーターとしてアルバイトをしている人はひと昔前に比べて多くなりました。
フリーターの人に収入を尋ねてみると、正社員として働いている人より手取りの金額が大きいというケースがあります。こういうことがあるので、就職せずにフリーターのままでいる方がいるのかもしれません。
さまざまな点に注目してフリーターと正社員を比較してみると、それぞれにメリットとデメリットがあります。
自分の働き方がベストだと考えたくなりますが、ここはひとつ客観的にどっちが良いのか徹底分析してみましょう!
フリーターと正社員の収入を比較してみる
フリーターと正社員の違いについて話をするとき、やはりテーマとして最も多く掲げられるものは収入でしょう。
ただ、正確に比較するならば単純な手取りだけでなくお金にまつわる多様な観点から考えなければなりません。
給料のしくみが違う
基本的な考え方
正社員は一般的に1ヶ月の基本給がいくらと決められていて欠勤に対する欠勤控除、遅刻や早退によるマイナスが差し引かれるようになっています。
アルバイトは時給制や日給制となることが多く、シンプルに働いた時間数や日数に単価を乗じて給料が計算されます。
昇給の可能性
正社員ですと年に1回以上の給与査定を実施している企業が多く、評価次第で大きく年収の上がる可能性が十分にあります。
アルバイトでは時給の見直しなどがあるものの、年間で数十円単位の昇給にとどまることが標準的であり年収を大きく伸ばすには正直厳しいところです。
手当というプラス
企業は社員に対してモチベーションのアップ、あるいは他社への人材流出を防止しようといった観点から基本給のほかに各種の手当をつけています。
- 役職がついている場合に支給される役職手当
- 実務に必要な特定の資格を持っている場合に支給される資格手当
- 家賃や住宅ローンの返済を補助する目的で支給される住居手当
- 扶養家族がいる場合に支給される扶養手当
- 通勤にかかる交通費の全額ないし一部として支給される通勤手当
アルバイトに対しては通勤費を時給の金額に加味したり実費で支払ったりする場合を除き、手当を支給する例は珍しくなっています。
嬉しいボーナス
会社の正社員として勤務していると、職場の業績が良い場合に利益の分配として1年に何回かの賞与が支給されます。
具体的な金額は企業によって異なりますが、一般的には月給の何ヶ月分として計算されます。
例えば月給が25万円で1ヶ月分を夏と冬に支給されるとすると、1年間で50万円のボーナスを受け取ることになります。
実は法律によって規定されているものではないため、アルバイトであってもボーナスを支給される可能性がないわけではありません。
しかしながら現実にそのような例はあまり見られず、結果としてボーナスの有無が正社員とフリーターの収入格差を拡大させる一因になっています。
そして生涯年収は…
厚生労働省が公表しているデータの中で同じ会社において正社員、アルバイトのそれぞれで生涯にわたって働いたときに得られる収入について示されています。
それによると、年齢が高くなっていくにつれて就業形態の違いによる給料の差は大きくなっていきます。
公的に試算されている数字では、正社員の収入が生涯で2億円以上となることに対してフリーターは多くておよそ8千万円です。
金銭以外の要素も
正社員とアルバイトの待遇で大きく異なる点として、社会保険に関する扱いがよく指摘されます。これに関しては2016年10月1日付で要件が改められ、フリーターであっても社会保険へ加入しやすくなりました。
その要件は決められた1日、1週間の労働時間が正社員と比べておおむね4分の3以上であるとともに決められた1ヶ月の労働日数が正社員と比べておおむね4分の3以上であることです。
とはいえ、勤務時間がさらに短い場合や短期間の雇用契約を結んでいる場合はこの要件を満たしません。
年金の違い
企業の厚生年金に加入すると、保険料の半分は職場が出すことになっているので負担が少なくなります。後々年金の受給開始年齢になると、老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金も受け取ることができます。
フリーターで厚生年金に加入していた期間がなかったとなれば、老齢基礎年金しか受け取ることができませんからトータルの年金額で大きな差が生じることになります。
保険の違い
国民健康保険ですと保険料の全額を納める一方、職場の社会保険に加入した場合は半額を会社が納めているので負担は小さくなります。
また、社会保険では扶養家族がいるときに範囲内の何人でも保険料の金額が固定されています。これも、国民健康保険に加入している場合は家族の人数が多いほど保険料の金額が高額になります。
フリーターと正社員の仕事を比較してみる
アルバイトの存在意義
企業は業務に対して人手が足りないとき、非正規雇用者としてアルバイトのスタッフを雇用します。
- 突発的に発生する単純作業に人員が必要である
- 正社員が一時的に職場を離れるに際して代替要員が必要である
- 正社員に担当させなくても良い業務を任せる
必要に応じてアルバイトを使うことで、正社員は本来担当すべき業務だけに集中することができます。
また、契約内容によっては業務に従事している間の対価となる給料の実費だけを支払えば良いため企業にとって人件費の節約になります。
責任とやりがい
責任の大きさ
フリーターが正社員になることを避ける理由として、重い責任を負いたくないとよく聞かれます。確かに、アルバイトの身分にありながら社内でそこまで重要な仕事を担当することはめったにありません。
その理由は、大前提としてアルバイトには契約期間の定めがあって短期間の契約を重ねるようになっているため。
正社員は原則としていつまでという期間を設けずに採用され、近年こそ転職が珍しくなくなったものの何事もなければ定年を迎えるまで働き続けることになります。
長く自社に席を置いて力を尽くす人材であるからこそ、企業は教育の機会を設けるなど「投資」して育成するのです。そして、正社員は会社の将来を左右するような重要なプロジェクトをも任せられ重責の中で仕事をするわけです。
仕事から生まれるやりがい
正社員は仕事をするにあたって大きな責任を負うのですが、そこで成果が出たときのやりがいは計り知れないものです。
難しいことに挑戦していく中で経験値が上がり、ビジネスマンとして着実にスキルアップしていきます。
アルバイトにはそこまでの責任がないため、気分の面である程度は楽に働くことができます。
しかしながら、大きな重圧に打ち勝ってのあらたなステージへ進むという意味での成長は望みにくいかもしれません。
働く環境の違い
職場の場所
アルバイトは原則として営業所や店舗などの単位で雇用され、ずっと同じ場所で働き続けます。
それに対して正社員は時に別の事業所へ転属となる可能性があり、それにともないライフプランの見直しを迫られることも。
ただし、転勤に際してはその負担を考慮して昇給や昇格などの待遇面でより良い条件を用意されることが一般的です。
職位の変化
アルバイトとして同じ職場である程度の期間を勤め続けていると、チーフやリーダーなどの役職名でアルバイトスタッフのまとめ役を任されるようになる場合があります。
ただ、身分としてはあくまでアルバイトのままであり時給に少々の色がつく程度というケースが少なくありません。
正社員については、定期的な人事評価にもとづいて入社以来の実績が認められると上位職へ昇進していくことになります。
自分の下に部下がつく役職者になるとあらたな責任が生まれ、いわゆる平社員とはまた違ったかたちで会社へ貢献することが求められます。
待遇面では基本給のベースアップが行われるほか、役職者となったことで手当が加算されます。
フリーターのAさん・正社員のBさんに聞いた生活と将来
データで比較してみても、なかなか具体的にフリーターと正社員の違いは理解しにくいかもしれません。
もっとくわしく、同じ25歳でフリーターとして働いているAさんと正社員勤務をしているBさんの生活をご紹介しましょう♪
フリーターのAさん
収入の内訳
全国的なアルバイトの平均時給に近い時給1,000円でコンビニの仕事をしていて、一般的な正社員のサラリーマンと同じように週5日で40時間の勤務です。
月収はおよそ16万円、何もなく1年間を勤めあげたときにはおよそ192万円の収入になります。ただ、体調が悪いときや私用などで欠勤することがあるため実質的にはマイナスがあります。
正直生活はギリギリが続いていて、今のところ計画的に蓄えへお金を回す余裕はありません。
普段の暮らし
バイトのシフトは不規則で仕事の時間がいつもバラバラになるため、睡眠時間が不安定で生活はなかなか落ち着きません。
どうしてもバイトが中心になり、ちょっと休みがあっても疲れが溜まってボーッとして過ぎていくことが大半です。
リーダーになっているので、何日も続けて休むことはなんとなく気がひけて連休は取っていません。
衣食住について
服はあまりお金をかける余裕がないので、近所のショッピングセンターなんかで在庫一掃セールがあるときに基本1着1,000円以下で買っています。
食事は職場で買うかファストフードにすることが多く、平均すると食費は1食あたり300円ぐらい。給料日前になるとどうしても金欠になってきて、少しでも節約したいので1日2食にしています。
毎月3万円の家賃で築40年、ワンルームのアパートで暮らしていて1階なのでなかなか光が入ってきません。
趣味の楽しみ
昔から家族でのドライブが好きで、仕事をするようになったら車が欲しいとずっと思っていたのですが現実は厳しくいまだ夢が叶うに至っていません。
映画も好きでいろいろ観たい作品はあるのですが、時間的にも金銭的にも映画館へ行く余裕はなく後々のレンタルで済ませてばかりです。
将来のこと
恋人はいて一緒になりたい気持ちもあるのですが、フリーターの身で結婚は認めないと親から釘を刺されています。
それに、現実として結婚資金がまったくありませんから後々苦しむことになると思うと身動きをとることができません。
正社員のBさん
収入の内訳
不動産会社で賃貸マンションのセールスマンをしていて、給料は手当込みで一般的な正社員の月給とほぼ同じ26万円です。
そのほか年に2回、合計すると75万円のボーナスが支給されていて年収の総額は400万円弱となっています。もちろん年次有給休暇や年末年始休暇、慶弔休暇など有給で休むことのできる休暇があります。
貯金の計画が立てやすく、毎年給料から定額が定期預金へ回るようにしていて金額は300万円ほどになりました。
普段の暮らし
定時は午前9時から午後6時までで、時々2時間ぐらい残業することもありますが負担にはなっていません。
仕事が終わった後は健康を意識してジムで軽く汗を流すほか、連絡があれば友達とごはんを食べることもあります。
普段の生活はリズムが一定してスケジュールが組みやすく、時々はリフレッシュ休暇で旅行に出かけるなどしています。
衣食住について
営業マンはやっぱり身ぎれいにしなければならないと思い、仕事着のスーツを定期的に新調するとともにプライベートの服装にも気をつけています。
食事は社内にいるときは社員食堂を使っていて、外食するときも含めて野菜を使ったメニューを頼むように意識しています。3年目で少し給料が上がってきて、飲みに出かけるときは前から気になっていたこじゃれたお店を選ぶようになってきました。
住まいは1DKの賃貸マンションで、家賃とマンションの駐車場代を含めて毎月9万円がかかっています。
趣味の楽しみ
頭金用のお金が貯まったので車を買い、仕事に行き詰まったときにはドライブが良い気分転換になっています。
旅行はちょっと奮発して海外へ足を運ぶことができるようになり、去年はオーストラリアで子どもの頃から夢だった本場のコアラとふれあうことができました。
将来のこと
学生時代から交際している恋人とは、就職してから5年を目途にして結婚しようと考えていました。
貯金も貯まってきたので来年ぐらいには話を具体的にしようかと思っていて、できればもう少し給料を上げたいとがんばっています。
結論!フリーターと正社員のどっちが魅力的ですか?
例えば同じ大学4年生の友達同士でAさんは志望していた企業への就職が内定し、Bさんはアルバイト先で卒業後もそのまま働き続けることになったとします。
Aさんは入社してから仕事をするために必要な資格の取得へ向けて勉強しなければならず、入社前研修でレポートを作成する必要も。
片やフリーターとなるBさんは特に変わることがないので、気楽にバイトをしつつ実家暮らしでお金を自由に使っています。
これだけを見るとBさんの暮らしが良さそうですが、正直将来的にBさんがいつまでバイトを続けることができるかはまったくわかりません。
Aさんは環境が変わって仕事に慣れるまで大変な思いをするでしょうが、その中でも安定した収入が継続的に得られることになります。
そう考えるとやはり、正社員として働くことで公私にわたって将来の可能性がひらかれるのではないでしょうか?
目の前の状況だけでなく、先々がどうなっていくかという長い視点で考えなければなりませんね。