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私は、このサイトの記事でも、面接を突破するための2大ポイントとして、「自己PR(自己紹介)」と「志望動機」を挙げてきました。

志望動機は、面接での質疑応答の代表的な質問です。ほぼ全ての採用面接で必ず聞かれる、と言っても過言ではありません。

しかしながら、その攻略法は、転職エージェント、キャリアアドバイザーによってバラバラです。「入社の熱意を示すものだ」という精神論的なものから、「会社の社風との一致度をみる」という抽象的なものまで、いろんな言われ方をしますよね。

正直、何をどう書けば「正解」なのか分からなくなりませんか?

この記事では、その「正解」を示します。但し、正解が書かれているからといって、そのままコピペしても面接は突破できません。

重要なのは、「正解にたどり着く考え方」を身に付け、「自分の頭で考え、自分の言葉で表現する」志望動機が正解なのです。

私は、元キャリアアドバイザーですが、現在は企業の人事担当者として中途採用の面接も担当しています。応募する側、採用する側両方の視点を踏まえて、「正解」を提示したいと思います。

まず、企業は「志望動機」を聞くことで、応募者の何を判断しようとしているのかについて解説します。

志望動機で企業は何を見ようとしているのか

単純に素朴な疑問として知りたい

特にBtoBの事業を展開している企業にありがちな考え方です。CMを展開しているわけでもない、知名度が決して高くない企業もたくさん求人を出しています。

「仕事内容も応募条件も似たような求人がたくさんある中で、なぜこの会社なのか?」という素朴な疑問があるのです。

入社できればどこでも良いのではないか?という疑念

採用面接では、何十人にも似たような質疑応答を繰り返しているせいもあり、応募動機が「似通っている」、あるいは「他の会社でも言えるんじゃないの?(使い回せるんじゃないの?)」という志望動機に数多く出くわします。

仕事探しに必死な転職者の心理を見越して、「入社すること自体が目的になっているのでは?」という疑念を抱くのです。

好きと仕事を勘違いしていないか?という疑念

今度は特に知名度の高い企業でよく見られるチェック項目です。「御社の製品を魅力を感じまして・・・」という言葉を、何十人もの応募者から、これでもかという具合に聞いてしまうのです。

ユーザーとして「商品が好きなこと」と、「商品を作って売る」こととは視点が180度違います。その点を理解していない応募者が多いのです。

転職理由と志望動機の整合性を見る

例えば、「体調を崩すほど仕事量が多くて・・・」という転職理由であるにも関わらず、「御社では力いっぱい頑張ります!!」と言われても疑ってしまいますよね?でも、緊張した面接の場では、こうした「矛盾」を犯す応募者が意外に多いです。

「会社選びの基準」を確かめる

多くの企業の人事担当者が「入社意欲を見る」と回答しますが、実態はコレ。要は、“どのようなロジックで、うちの会社を選択(応募)したのか?”という点。

選択基準に明確なものがあれば、その選択基準と会社の実情とのギャップを確かめられ、応募者が会社に定着しうる人材か、確かめられるというわけです。

志望動機攻略の準備編/下調べの量と質が攻略のキー

志望動機を攻略するうえで、最初にキーとなるのは、応募先企業の企業研究です。この点は学生の就職活動と社会人の転職活動との間には違いはありません。

違いはある点は、その調べるツール。学生の就職活動では企業側から送られる採用ツール(入社案内)などの分厚い資料があり、それを読み込むことが大切ですが、社会人の転職にはそうした共通の情報ソースがありません。

代表的な調査は会社のHPですが、そのほかにも、上場企業ならば有価証券報告書、BtoCの企業ならば各種商品のニュースリリース。報道機関のニュース記事や業界のインタビュー記事など、その会社を知るために独自の切り口からの情報収集が欠かせません。

意外にオススメな方法が、応募先企業が新卒採用をしている場合に、その求人広告をチェックすること。一般に新卒採用のサイトが学生向けに易しく解説されているので、企業理解に役立つことが多いです。

こうして集めた情報を、志望動機としていよいよ組み立てていきます。

志望動機作成の考え方3ポイント

「この分野でこの業務を」具体的な目標を提示する

新卒学生と社会人の転職との最大の違いでもありますが、「転職することで達成したい具体的な目標」を明確に提示することを心がけましょう。単に仕事を変わりたいジョブ・ホッパーではなく、転職によって実現したい目標があり、それを「御社」で達成できる、というロジックが説得力を生みます。

なぜ、「御社」でなければいけないのかという具体的理由

ここまで説明してうすうすお気づきのことかと思いますが、単に「将来性があるから」とか「自由な社風にひかれて」と言っているだけの志望動機はNGです。企業の面接官はほめてもらいたくて質問しているわけではありません。

ここで前のパートの企業研究が活きてくるのです。応募先企業の持つ商品やサービス、事業内容が自分が目標としているキャリアプランと一致し、「御社だからこそ」自分のやりたい事が実現できる、という点のPRが重要です。

自分のスキルや業績との接点を語る

応募している職種との接点についてもしっかり触れましょう。ここでは鉄板の解説ですが、募集職種が自分の経験してきた業務、身に付けたスキル、出してきた実績と一致点があり、「即戦力として対応できる」という点をPRしておきたいところです。

よって、志望動機は仕事内容にフォーカスしましょう。「給与が良い」「勤務地が近い」「残業が少なそう」といった仕事内容に関わらない事を、くれぐれも志望動機に盛り込まないように。熱意がないとみなされるだけです。

志望動機の模範応答例

以下に、志望動機の模範解答例(プログラマーの場合)を作成しました。文章の構成やロジックの考え方は、前のパートを読んでいただければ、応用は可能ですので、他の職種を目指す方も、ぜひ参考になさってください。

書類と面接で志望動機は分けて考えるべき?

基本的な考え方として、書類で書く志望動機は簡単な要約にとどめ、面接で詳しく話すという方法が手堅いと思います。

模範応答例

企業の業務改善につながるようなシステム開発、業務ソフトの開発に携わりたいと、以前から考えていました。現在の会社もビジネスソフトのパッケージソフトベンダーですが、アメリカに本社がある外資系企業で、開発は本国で行われています。

私は、現在、日本企業への導入支援を担当しているのですが、あくまでカスタマイズが主業務で、システム開発やソフト開発に携われる可能性はまずありません。

プログラミングは専門学校から学んできましたが、C言語が中心でしたが、JavaやPHPなど、業務用システムで頻繁に使われるプログラミング言語も独学で習得し、常に最新のプログラミング動向にもアンテナを張っています。

そんな時、御社の求人広告を拝見しました。業務で御社製品を使っていますが、ユーザーフレンドリーなインターフェースとOSを選ばない汎用性の高さが気に入っています。その高い技術力に憧れ、自分が製品の開発側に携わりたいと、今回、思い切って応募いたしました。

NGとなる応答例

前に説明したこととも重なりますが、改めて、NGとなる応答例をまとめておきたいと思います。

「人気企業だから・・・」「御社の商品(サービス)が魅力的で・・・」

先ほども述べましたように、応募先企業を褒めても入社の熱意は伝わりません。同様に「働きやすそうな職場だから・・・」というのも、職場は同好会ではありませんので。

「御社の顧客第一主義の企業理念にひかれて・・・」

これは実際にある企業で起こったことですが、求人広告にこの文句を大文字で掲載したところ、応募者から、志望動機欄に「顧客第一主義」と書かれた履歴書がたくさん届いたとのこと。

ありきたりの志望動機や、HPに書いてあるようなことは、他の応募者も書いていると思いましょう。差別化できません。

「勉強させていただけそうだから」

謙虚さをPRしたかったのでしょうが、教えてもらうという態度そのものがNGです。企業の中には「充実した研修制度」を求人広告にうたうものもありますが、それに頼ってはダメ。未経験でも「自分から進んで学び、実行する人」ということをPRしましょう。

最後に

志望動機は多くの場合、面接の冒頭で聞かれる質問です。ここで「がっかりさせる答え」を言ってしまったら最後。第一印象は最悪となり、以後面接は失敗したも同然の状態になってしまうでしょう。

私は、志望動機に対する考え方が、その方の社会人としての「成熟度の高さ」を表すものだと思っています。受け身ではない、通り一辺倒な答えから脱却した、自分の頭で考え、自分の言葉で話せる姿勢というのは、面接官の共感を呼ぶものです。

企業の面接官のニーズを的確にとらえた、しっかりした志望動機を準備してください。