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女性の社会進出が発展してきたとはいえ、まだまだ男性社会の色がぬぐい切れない日本の中で、地方公務員である女性教員、または私立の女性教員は、男性とまったく同等の給与が支給され、しかも重役に就くこともできるというやりがいのある仕事ですよね。
しかし、それだけに仕事の苦労もかなりのもので、女性だから…といって配慮されることも少なく、激務でも家庭と両立させて辛い思いをしている女性教員の人も多いでしょう。
教育実習、採用試験を経てやっと叶えた教師という夢…それでも、家庭人、一人の人間としての生き方を重視しはじめ、教師を辞めたい!転職したい!と思う人は非常に多いのではないでしょうか。
ここでは、女性教員として働いていたけれど、辞めたいと思った理由、女性教師がかかえる心と体の問題や、女性教員の転職先について紹介します。
女性教員が教師を辞めたい理由
女性教師を辞めたい理由その1:激務続きで婚期が遅れる
20代、30代ともなると、先生としての仕事の一方で、私生活も充実させたいと考え、婚活を実践しだす先生もいるでしょう。
でも、授業後の教材研究、部活指導、宿題の丸付けなどでプライベートの時間があまりなく、そのヒマがない!という人も多いのではないでしょうか。
親には「教師としては合格でも女としては失格ね」などとイヤミを言われたりして、こんなことならすっぱり教諭を辞めて結婚したい…と思う人は多いですよね。
女性教師を辞めたい理由その2:人様の子育てよりも自分の子育ての方が大切に思える
学校は、一般企業よりもはるかに福利厚生が充実していることから、産休・育休を取得する先生が非常に多いですよね。
そんな事情もあって、女性教員の中には、すでに結婚して子どもがいる教師も少なくありません。
ところが、クラスの児童・生徒の生活指導、学習指導が1日の大半を占めていて、自分の子どもと向き合えるのは寝る前だけ。
しかも、時間がない中で少しでも子どもを早く寝かしつけようと思うことから「歯磨きはしたの!」「早くお風呂にはいりなさい!」「宿題はしたの!」としかりつけることばかりで、テレビや雑誌で見るような「イキイキ子育て」とは程遠い…。
どうして人様の子どもの教育に1日のほとんどを割き、自分の子どもとはたった数時間しかかかわれないのか…。
このままでいいのか…。という思いから、先生を辞めたい!と思う人が多いでしょう。
女性教師を辞めたい理由その3:女性というだけで保護者にナメられる
男女共同参画社会が進んでいる今でさえ、教師が女性だというだけで高圧的な態度で接してくる保護者はまだまだたくさんいますよね。
学生の無断欠席で電話連絡をしても、「先生がちゃんと見てないからじゃないですか?」「先生が女の人だから、甘えているのかも…」なんて、とんでもない発言をしてくる保護者もいて、「女だからってナメるな!」と思ってしまいますよね。
女性教師が転職時に求めること
残業少なめで、家庭と両立できる
ワークライフバランスという言葉がよくつかわれていますが、元女性教員の場合はこのワークライフバランスがとりにくい環境で働いてきたために、転職先にはどうしても勤務時間の短さ、残業の少なさを求めてしまいますよね。
急な休みにも対応してくれる
自分の子どもがまだ乳幼児の場合、高熱を出したり、保育園などで感染症をうつされてきて、夜中に急に容態が変わることがよくありますよね。
教師時代は授業が入っているので急な休みはとりにくく、病児保育や祖母などにお願いして、なんとか乗り切ってきたという人も多いでしょう。
転職後はそんな心配なく、急な休みでも対応してもらえる職場がいいですよね。
女性であることが不利にならない仕事
教師時代は待遇として男性から理不尽な差をつけられることがなかった点がメリットでしたよね。
でも、民間企業ともなるとどうしてもまだまだ男社会の色が残っていて、男性教員と肩を並べて活躍してきた女性教諭は違和感を持つでしょう。
そうならないよう、女性であるということで待遇や昇進などに理不尽な差をつけられなければ、教師時代からのギャップが少なく働けます。
女性教師は男性教師よりも転職に不利って本当?
女性でも働きやすくなってきた教育業界。とはいえ、転職となると、男性教師の方が有利だという人もいます。
本当にそうでしょうか?
実は、転職市場では、ある一定の業種を除いて性別は関係ありません。たとえば工事現場、建築現場での職人などは、どうしても男性社会になりがちです。
でも、その他の「こんなところでも女性が働けるの?」という仕事はたくさんあります。
むしろ、「元女性教師」の肩書が生かせる転職先は、後述するようにたくさんあります。
元女性教師の経験・スキルが活かせる転職先
性別で人事採用をすることはよくないとされていますが、それでも女性だということで採用に有利に働く仕事もあります。
幼児教育塾
私立小学校受験などで幼児教育に力をいれる家庭が増えていますが、このような幼児教育塾では、子どもたちの抵抗が低い女性の採用率が高くなっています。
教諭としての経験・スキルが生かせ、しかも塾なので勤務時間は授業が終わるまでです。
子ども用の塾のため、遅くても18時には終わるこの仕事なら、自分の家庭・子育てと両立しながら仕事をすることが可能です。
保険営業
教師が民間企業に転職するのは難しいという意見も見られますが、保険営業なら教師としてのスキル・経験が活かせます。
元教諭は説明能力にたけているので、商品説明も流暢に行えます。また、元々保険営業には女性社員の比率が高く、女性教師の転職先としても違和感が少なくて済むのです。
また、保険会社は社員のワークライフバランスを大切にしている企業が多く、保育料の一部を負担してくれたり、時間給がとりやすかったりと、女性の働きやすい職場であることが多いこともポイントです。
教材開発・営業
教師時代は長い時間残業して行ってきた教材研究。いろいろな企業のさまざまな教材を見て、実際に使ってきたからこそ、それを開発する側、営業する側にまわるという方法があります。
教材開発側でも、実際に教材を使用していた教師の意見を取り入れることができること、そして現場に顔見知りの教師がいる可能性が高いことなど、元教員を採用するメリットがあります。
しかも、開発職の場合は特に残業がほとんどないため、帰宅してから家事・育児をこなすゆとりが十分にあることが、元女性教員としてのメリットとなります。
女性からの転職で年収ダウンは仕方ない?
女性でも年齢(階級)とともに年収が年々アップしていくのが教師ですから、年齢が上がれば上がるほど、転職によって年収がダウンする可能性が高くなるのは確かです。
ところが、年齢が20代、30代だったり、選ぶ仕事によっては、転職しても年収維持、もしくは年収アップを実現できることもあります。
上記で紹介してきた仕事のうち、幼児教育以外は、年収維持、もしくは年収アップが期待できます。
ここで大切なのは、転職直後の年収だけを見ないことです。転職してから3年後、5年後の収入を考えましょう。
民間企業は教師と違って、階級はありません。そのため、実力が発揮できればインセンティブなどで収入に反映させることができるのです。
転職直後は年収ダウンしても、その後ペースをつかんで年収を「あげていく」という気持ち、取り組みが大切です。
女性教師からの転職体験談集
小学校教諭から小学校受験のための塾へ転職(30代前半・女性)
小学校では残業が多く、少し年配の先生の補助から新任の先生の教育まで、幅広く行ってきました。
教諭を辞めたのは、夫の転勤が決まったからです。もともと九州地方の小学校だったのですが、夫の転勤先は東京。
東京での採用試験を受けなおす気力もなく、お受験で忙しい子どもたちの教育に携われたらと、お受験専用の塾に転職。
研修期間には小学校とは異なる教育観点にびっくりすることもありましたが、先生としてのキャリア、経験、スキルを活かして転職できたので満足しています。
高校教師から保険の営業職へ転職(40前半・女性)
高校では吹奏楽部の顧問として、ほぼ土日関係なく勤務してきました。子どもが大学受験を控え、家のことを何もできてこなかったという後悔をしないためにも、体力的な衰えを感じたことも手伝って保険の営業に転職。
営業は時間の融通がきくので、子どもの予備校の送り迎えもできるし、何よりも部活指導がなくなったことで土日が完全に休みになったので、汚屋敷だった家を片付けられ、生活の基盤がようやくこの年でできたという感じがします。
小学校教諭から食育センターに転職(20後半・女性)
すごく情熱をもって先生になったわけではなかったことがたたって、保護者とのトラブルをひきずって精神的なストレスに耐えられず、転職するなら早いほうがいいと思い、20代で転職しました。
大学では栄養学も学んでいたこともあり、地元の食育センターに中途採用で転職できました。食育センターには残業がまったくなく、土日も完全に休みで、しかも年収は前職とほぼ変わりません。
昇給できるよう、公務員時代の階級制度に甘える姿勢を捨てて、精進していきたいと思います。