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医療機器営業は未経験者でも働けます。ただし、医師や看護師など国家資格を持った知識人の方々を相手にする職業ですから少し癖のある業界です。
ですから事前に知識を持っていないと難しい場合もあります。この記事を読んで医療機器の営業について勉強していただければ嬉しいです。
医療機器営業の仕事内容
医療機器とは
医療機器営業が扱うのは医療機器です。医療機器とは何かと言うと、その答えはの第2条4項に記載されています。
「医療機器」とは、人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であつて、政令で定めるものをいう。
医療機器の営業は主としてこれらのものを扱うのです。この定義でいう医療機器はさらに以下の3つの分類に分けることが出来ます
- 高度医療機器~薬事法2条5 副作用などが健康に重大な影響を与えるようなもの。血管カテーテル、人工弁、ペースメーカー、人工呼吸器等
- 管理医療機器~副作用があった場合に人の健康に影響を与えるもの。検査機器や注射針等
- 一般医療機器~副作用があった場合、健康に与える影響がほとんど考えられないもの、メス、ピンセット、ガーゼ等
つまり、医療機器の営業が扱っているものは、人の健康に直接関与するものですから、取り扱いの丁寧さは勿論、必要な時に絶対に間に合わすと言う自覚が必要なのです。手術が始まるのに、物品が無い訳にはいきません。
さて、医療機器と言うと1台何百万、何千万とする高額なものから、まさに1本いくらと言う使い捨ての医療材料まで含まれます。業界的に大きく分けると消耗品と機器に分類されるのです。
しかし消耗品だからと言って、決して馬鹿にできるものではありません。例えば手術に使うようなものは1個数万円するものが、ざらにあります。一つの手術で使用される医療材料は数十万から場合によって数百万円になることも。それらは主に特定治療材料と言って、国によって保険対応されている商品が多いですから、価格もそれほど変動はありません。
医療機器営業は各分野のスペシャリスト
医療機器の営業は各分野のスペシャリストである場合が多いです。各分野と言うと産婦人科や耳鼻科などと言う診療科に分かれる場合や、臨床検査科、放射線科、薬剤部、内視鏡など、病院のある部署を中心とする場合があります。
この中で、高額な医療機器を扱うのは放射線科です。放射線科の医療機器と言えば、CTやMRI等を思い浮かべる方も多いと思います。これらの機器は最新のものでは数億円します。ただし、そのような機器は数年に1度売れるかどうかというところで、ある程度大きな病院でなければ購入はしません。但し、1千万前後の放射線装置はクリニックレベルでも購入されます。
医療機器の中で、ある程度、毎年購入されるものとしては超音波装置と内視鏡があげられます。地域の中核病院では、超音波装置は全体で10台以上持っていることが普通です。そうすると、更新需要だけでも毎年計算できることになりますし、あらたな治療方法が出るとそれぞれの現場で超音波装置を新たに持ちたいという要望が出てきます。
内視鏡は、体の中を見る筒状の機器のことを言います。いわゆる胃カメラや大腸カメラと言われる消化器分野のものと、手術に使われる外科分野のものがありますが、更新頻度が高いのは消化器分野です。
消化器分野の内視鏡は、専用のコントロールシステムに用途に合わせたカメラをつけて使用します。開業医でも、消化器専門と言うところは、最低3本のカメラを持っています。そしてこのカメラは1本200万から400万程度の価格なのです。大きな病院では、検査室ごとにコントロールシステムがあるので、50本近くカメラがある場合もあります。
このような、機器を選定するのは、医師ももちろんですが、それらを管理している、看護師や技師と言うコメディカルの方々と接触することになります。むしろ、昨今では医師に簡単に会えなくなっていることもありますので、コメディカルに機器を紹介する方が多いでしょう。
ある医療機器営業の1日
では、医療機器メーカーの営業はどのような1日を過ごしているのでしょうか。平和な日は大体このような感じと思っていただければ良いです。
業務内容 | 補足 | |
---|---|---|
8:30~ | 出社、メールチェック、提出書類の確認 | この時間が割と憩いの時間。緊急メールがなければ平和な1日です |
9:00 | 始業開始 | 上司からの呼び出しなどもこの辺りから。月曜日は午前中会議というのも多いです |
9:30~ | 業者から電話が入りだす | 販売店からの問い合わせ対応です |
10:00~ | 移動、業者同行 | 午前中の面会は業者と同行する方が確実です |
~13:00 | 昼食 | |
14:00~ | 現場訪問 | 病院の部署訪問です。活動のメインです。 |
17:00~ | 医局訪問 | 医師に面会できるのは特段のアポイントが無ければ夕方以降です。 |
18:30~ | 帰社 | 連絡事項や残務整理、資料作成などの作業があります。勉強会が入ることも |
このほか、手術の立ち会いなどが入ると、そちらを優先して行います。
販売業者との同行は、スケージューリングをしてコントロールしていかなくてはなりません。ダブルブッキングなどは、厳禁です。
医療機器営業収入はどの位?
医療機器営業の収入の平均は年収ラボ調べによると2014年で663万となっています。平均値なので一概には言えませんが、体感的には正しいと感じます。
営業ですから、成績によって大きく年収が変わります。実際、私の知っている医療機器メーカーの方は、50代のマネージャーで約1500万、一方、私は成績があまり良くないので500万代後半です。
ただし、ハローワークなどで募集企業の条件を見ている限り、販売業で行くと基本給が高い方になります。
前述したとおり、医療機器販売は各分野のスペシャリストとなりますのでそれぞれの分野において変わります。医療機器メーカー転職のライブニッツによると手術室関連が若干高めです。
と言うのも、病院にとって手術とはその病院の看板であり、多くの収入を生みます。使用する医師の要望も強く、簡単に安いものに切り替えられる商品ではありません。その反面、待ったなしの世界なので、緊張感とストレスがあります。その様な意味では分野的に高収入であるのは納得できます。それでは各分野の代表的企業でそれぞれの年収を見てみましょう。
内視鏡分野の営業
前述した内視鏡分野ではオリンパスが圧倒的なシェアを持っています。年収ラボによるとオリンパスの平均年収は865万円。
以前は外科分野についてはストルツなどの海外メーカーに押されていましたが、2006年に発売されたVISERA Proと言う外科内視鏡システムが市場で評価が高く、特に先端稼働型のLTF-VHというスコープが外科医師の評価を得て導入されていきました。
一時世間を騒がせた、不透明な経営の件で、元気がなくなったり、消化器内視鏡で富士フイルムメディカルが猛追していたりするなどの事情もありますが、まだまだ大手です。
放射線分野の営業
放射線分野では、GEが大きなシェア持っています。GEの年収は新卒6年後の営業部員で500万から600万程度。以前医療業界の別の会社から、30台中盤でGEに転職した方の年収を聞きましたがやはり600万程度とのことでした。一応、前職よりは収入UPになったそうです。
放射線機器ではCT位までですと、東芝、日立を始め国内メーカーも健闘していますが、MRIまで行くとまだ海外との技術差があります。GEでは、CT、MRI、SPECTなどと言った放射線機器に加え、超音波診断装置も国内シェアNo1をとった画像イメージングに関して強い企業です。その他には麻酔器も大きなシェアを持っています
手術室分野の営業
手術分野に関して、最大手と言うのがメドトロニック株式会社。平均年収.JPの調べによると平均年収824万です。それまで、ペースメーカーなどのどちらかと言えば循環器よりだったメドトロニックが消化器外科最大手のコヴィディエンを買収したのが2015年。この買収合併により手術全体をメドトロニック社が抑えることが可能になりました。
ただし、メドトロニック社は分野によって事業部を区切っているため、今のところ日本の医療機器業界でユーザー側の不都合はおこっていない様子です。
また、医療機器メーカーには外資と日系の企業があり、一般的には外資系大手の企業の方が年収においては若干高めと言えるでしょう。
国産メーカーの営業
その他、日本企業で狙い目と思われるのは、ニプロ、日本光電です。
ニプロは、使い捨ての注射器や針、点滴のチューブなどの消耗品やダイアライザーと呼ばれる透析膜を販売している会社です。ニプロについては社員に聞いたところ月収はそれほど高くないようですが、賞与が年3回で倍率が良いとの情報があります。社風としても社員を大事にしているようで、社員が輝いて働ける仕事を会社全体で考えてくれるそうです。ニプロの平均年収は年収ラボしらべでは601万となっています。
日本光電は心電計などの生理検査部門から始まり、今では開業支援コンサルティング、海外製品の販売にも力を入れています。柔軟な対応でいち早く市場の流れに対応した業態を持ち続けているといった印象があります。日本光電の平均年収は年収ガイドによると870万です。
医療機器の営業はキツイ・大変って本当?
医療機器営業の残業実態
医療機器販売業界の残業量については調査によると月平均13.9時間となっていますが、全体的にはもう少しあると思われます。営業の性質上、医師と面談できるのは大体18時前後。さらに、勉強会などがあると20時前後までかかることもあります。
その他、医療機器メーカーだと移動時間が多いということも挙げられます。首都圏はともかくとして、地方を担当すると訪問するだけで1時間や2時間はかかることが多いです。特に北海道など広いエリアを持つ場合は今日函館で仕事をして、8時間かけて移動。翌日釧路で仕事などと言った強硬スケジュールをこなす場合もあります。
医療機器営業の全体的な印象で言うと、残業が多い分野は整形分野、循環器分野です。この2つの分野ではローンインストルメンツという医療機器の貸し出し制度があります。
手術の始まる前に必要と思われる機器を持ち込み、手術後に機材を引き取り、使用分を請求すると言う流れになりますが、手術や処置の時間に依存されるので計算通りにいかないのが現状です。また、循環器分野では緊急処置も多い傾向があります。
医療機器営業の休日出勤の実態
休日出勤については学会参加や機器の納品設置など少なくないです。特に学会については、病院の中でも販売業者及びメーカーが直接医師と面談することを良しとしないところも多くなって来ました。そのような状況下、各メーカーの商品を知って貰う切掛けとして学会における機器展示があるのです。
また、学会会場ではターゲットとなる、医師やコメディカルと接触が取りやすいということもあり、メーカーではない商社の営業担当者も参加する場合もあります。
医療機器営業の接待の現状
営業と言うと接待が欠かせないというイメージがありますが、医療機器については体感的には少ないと思います。もちろん病院主催のゴルフコンペや酒宴の参加というのもゼロではありません。
ただし、医療業界については公正取引ガイドラインにおいて、華美な接待を自主規制しています。官公庁に対しては、過去に大きなニュースになったこともあり、コンプライアンスの対応についてはユーザー、業者、メーカーとも特に気をつけています。
医療機器メーカーで言えば、ユーザーの接待というよりも、販売業者との間において酒宴などが開催されることがありますが、懇親会的な意味合いが強くそれほど堅苦しいものではありません。
未経験者が医療機器営業に転職するには
医療機器営業に向いている人とは
医療業界と言うのは、意外と閉じられた世界です。何故かと言うと、専門性が問われる業界だからです。ですから、医療業界に転職するには、医療業界経験者であると言うのが最も有効な手段です。しかし、未経験者だからと言って医療機器営業になれないわけではありません。
以前、GEの面接担当者に聞いたところ、最も需要にするのは協調性だと言っていました。とかく営業と言うと個人プレーの印象がありますが、医療機器営業ではあまり歓迎されません。
医療機器の営業に欠かせない医療知識の習得については、医療の中心は医師ですから、医師の話す言葉を理解する必要があるので、文献が読めることが前提です。また、医療を取り巻く環境は常に変化しているので、適宜に新情報に通じていなくてはなりません。
その観点で言うと、医療業界に向いている人とは、まめに勉強ができること、自分の扱っているものが人の命に結びつくものであると言うことが分かる人たちです。営業ですから、もちろん人に好かれるような愛嬌は必要ですが、真面目にコツコツとできることの方が重要視されます。
医療機器メーカーの営業になるための秘訣 2選
第一の秘訣
医療機器メーカーの営業になるための第一の秘訣。それは、一旦メーカーではなく、医療機器の卸業者に勤めると言うことです。各地区にはそれぞれ、直接病院などに物品を収めている業者がいます。
業者の仕事は、ユーザーである医療機関と密接にかかわることです。その中には、医師やコメディカルとの付き合いと言うのも含まれます。その中で、輝くような成績を収めると、その後の道も開かれやすいのです。
医療機器の卸業者に努めるためには、何よりも真面目であると言うこともそうですが、自信に満ち溢れていることが大切です。
今まで自分が過ごしてきた時間で得た知識を有利に使用しましょう。営業経験者であれば相手の興味を引くトーク技術や、販売目標に対しての誠意ある取り組みを自己アピールに使用するのが有効です。
第2の秘訣
医療機器営業を含む医療関係は閉じた世界です。ですから他業種からの転職であっても誰かの医療関係者の紹介があることが望ましいのです。
自分の身の回りを見てみましょう、親や親戚が医療従事者でなくても構いません。医療機器の卸業者であれば、その企業に勤めている友人と言うのも立派なコネクションとなります。
医療機器営業の求人を探す方法と選び方
医療機器の営業を探す方法としては、転職エージェーントを使用する方法が有用です。ここまで述べてきたとおり、医療機器の営業と言うのは専門性が問われる職業です。ですから、オープンな環境ではあまり求人が出ていないのが実情です。
一般に募集しているのは、医療機器販売メーカーよりも医療機器販売業者の方が多いでしょう。前章で述べた通り、最終的に医療機器メーカーに勤めると言う考えのもとで医療機器業者を選定するのであれば、従業員数が少ないところは出来うるだけ避けた方が良いです。
理由は、人が少ないと辞めづらいからです。おそらく、人が少なくても回っているというのは、その地域において有力な取引先病院があると考えられますが、その分一人にかかる負担は大きいです。整形分野、循環器分野を少人数で行っているところでは、まだまだサービス残業が多いのが実情です。
メーカーの目に留まりたいのであれば、出来れば医師の処置にかかわることも手掛けており、ある程度の人数でチーム営業をしているような企業が望ましいと言えます。
消化器内視鏡などが手術よりも負荷が少なく狙い目です。当該地域の営業所が小規模でも多店舗あるような企業でしたら、選択肢も広がってくると言えます。
まとめ
医療機器の営業は、人の健康に役立ち、なおかつ、どちらかと言うと高収入な職業です。手術やカテーテルなどの侵襲度の高いものは、仕事量も多く大変ですが、医療機器営業として周囲の評価は高いです。
しかし、医療は常に変化していきます。そして、変化の先駆けは必ず医療機器の進化から始まるのです。その新しい世界を作り出すというのも医療機器営業の醍醐味と言えます。