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専門学校は専門分野のスキルや経験が活かせて、しかも教育職なのに教員免許がなくても働けるという特殊な世界で、私も10年近く専門学校の講師として勤務してきた経験があります。

学生の年齢は18歳以上であるため、中学や高校のように心身ともに発展途上中の年齢ではなく、比較的接しやすい年齢ですし、私学共済に入れるので福利厚生もどちらかといえばよいほうに入る専門学校の講師…。でも私は転職を決意し、実行に移しました。

10年という長い年月を過ごした専門学校を辞めて転職した私が、専門学校を辞めたいと思った理由と、専門学校から考えられる転職先について紹介します。

専門学校の講師を辞めたい理由

専門学校は「何を学ぶための」「どんな資格を取得するための」専門学校かによって、その教育内容かカリキュラムは大きく異なりますよね。

それでも多くの専門学校講師は、私と同じような悩みを抱えていることでしょう。

私の他にも、実際に専門学校で働いている講師には以下のようなことで専門学校を辞めたい!と思う人が多くなっています。

  • 国家試験の合格率で大学に負けると上からボロクソに言われる
  • 公立・私立校の教師と比べると泣けてくるくらいの薄給
  • クラス担任も兼任しているので、授業準備をする時間に学生から人間関係の相談を受けてしまい残業確定
  • 教師のはずなのに、学生募集のためにパンフ作成などの広報も兼任で忙しい
  • 国家試験に合格できなかった学生の保護者対応がストレス
  • 大学全入時代だから“手に職“系ではない専門学校では入学者数大幅減で賞与もカット
  • 土日は学校説明会(オープンスクール)で休みなし
  • 10年いても給料はほぼ変わらない

専門学校は中学や高校と違い、学校法人が運営しているとはいえ、ある種特殊な環境ですよね。

同族経営の専門学校もあって、突然理事長の家族が新しい校長になったりという新展開も早いところもあります。

とはいえ、2年間ないし4年間ともに過ごしてきた学生が、見事に国家資格、難関の検定に合格していく様子を見たり、卒業式に参列して学生たちの涙や感謝の言葉をきけば疲れも吹き飛び、また新しい年度を迎えているうちに転職のタイミングがわからなくなった…という人も多いのではないでしょうか。

そんな中、転職の決心がついた専門学校講師(私を含めて)が、どんなところに転職できるのかを次章で紹介していきます。

年収もこんなに変わる!自分の専門分野を活かした転職先がおすすめ

専門学校の講師には、専門分野での実績・業績・スキル・経験が豊富な人が多く、先生になれるだけの知識があるはずです。

転職するなら、教育職という職種を一度離れて、現場に戻ってみるという選択肢もあります。

社会福祉士の資格を活かす!ソーシャルワーカー

専門学校の中でも、社会福祉士の資格取得を目指す学科に所属していた先生は、自分自身が社会福祉士の資格を持っているため、福祉の現場に戻るという方法があります。

その中でも年収が高い傾向にあるソーシャルワーカーは、社会福祉士の資格が必須であり、深い知識があることが歓迎されます。

より安定して一定の給与水準を保ちたい場合は、社会福祉協議会や、一部上場企業が経営する福祉施設に勤務することをおすすめします。

年収の変化

学校にもよりますが、社会福祉系の専門学校講師の年収は250万円ほどです。一般的なサラリーマンと比べても、かなり低いことがわかります。

これが一部上場企業の福祉施設でのソーシャルワーカーともなれば、年収は400~600万円と、福祉の世界でもかなりの高収入になります。

医療事務系の資格を活かす!調剤薬局・病院・クリニックの事務職

診療報酬請求事務能力認定試験や、その他歯科・医科などの医療事務系の資格取得を目指す学科に所属していた場合は、自分自身が医療事務の現場に出るという方法があります。

医療事務の世界は、特に女性が多く、結婚や出産を経て再就職の場としても復帰しやすいということで人気です。

そのため、現場経験がなくても、診療報酬請求事務能力認定試験などの合格率の低い難関の資格を所有していることで、多少年齢を重ねていたとしても採用されやすい傾向にあります。

年収の変化

医療事務系の専門学校講師の平均年収は230~250万円ほどです。教育職というと年収が高いイメージがあるかもしれませんが、そのようなことは全くありません。

医療事務の現場に戻っても、年収はほとんど変わらないのですが、正社員で福利厚生のしっかりしている病院勤務なら、30代で400万円程度の年収となります。

介護福祉士の資格を活かす!高齢者福祉施設での介護職・ケアマネージャー

介護福祉士の資格取得を目指す学科に所属していた教師は、自分自身が介護福祉士や精神保健福祉士などの資格を所有していますよね。

これらの資格を活かして、介護の世界に戻るという方法があります。ところが、介護の場合、現場で介護士として経験を積んでいたのに、介護時に自分自身が腰やひざを痛めてしまい、泣く泣く現場を離れたという人も多いはずです。

そのような先生の場合は、自分自身がヘビーな介護を直接しなくても済む職種に転職することをおすすめします。

ケアマネージャーの資格を持っている人は、介護職ではなく、ケアプランの作成と連絡調整に徹することのできるケアマネージャーとして転職しましょう。

これまでの経緯が転職先に伝わっていれば、ケアマネになっても介護を任せられるということは少ないはずです。

年収の変化

介護福祉系の専門学校講師の場合、年収は300~400万円程度です。ケアマネとして転職することができれば、年収は維持できるか、もしくは少しですが年収アップの可能性もあります。

ケアマネジャーは介護系の職種の中だと、看護師や理学療法士に次いで高収入なのです。

理学療法士の資格を活かす!自分でマッサージ店を開業

専門学校で理学療法士の国家資格を取得するための学科に所属していた先生は、自分自身が施術する側に回るという選択肢があります。

自分でマッサージ店を開業するのもよいですし、マッサージ店に雇用されるという形もあります。

どちらにしても、理学療法士に求められる知識と、学生に教えてきた実技の経験が活かされるため、転職後のミスマッチや違和感が最小限に抑えられます。

年収の変化

自ら開業する場合は、完全に顧客数と客単価によって年収がかわります。個人経営のマッサージ店で、人気のある店舗だと、600~800万円の年収が見込まれるため、すべては集客とリピーターの有無にかかわって来るでしょう。

私が転職成功に至った3つのポイント!専門学校講師からの転職体験談

最後に、私自身が専門学校からの転職に成功した経験を3つの視点から紹介します。

私は福祉系の専門学校で社会福祉や心理学などの科目を教えていました。自分自身は社会福祉士と、精神保健福祉士の資格を持っていて、現場での経験もありました。

専門学校を辞めてからは、一部上場企業が経営する有料老人ホームの管理職に転職し、年収は250万円から450万円にアップしました。

1.辞めるタイミングが大切

専門学校に務めていると、学生との交流、「先生」でいられることで自尊心を満たしている人もたくさんいて、給料はよくないのになかなか辞められない…そのうちに転職限界年齢に達して転職できなくなった…という同僚や先輩を私はたくさん見てきました。

専門学校では自分の専門知識や経験が活かせて、教員免許がなくても先生と呼ばれる、ある意味特殊で、思い切って退職しようと思わなければ、惰性で続けてしまいがちな環境です。

でも、そこに目的もやりがいもなく長居しているなら、「今だ」と思ったその時に、重い腰を上げて転職活動を始める機動力が必要です。

2.まったくの異業種よりも専門職だったことを活かせる仕事がいい

まだ20代で第二新卒に近い先生は、未経験の職種にも果敢に挑戦できるでしょう。でも30代も半ばに差し掛かると、どの業界でも未経験転職は厳しくなります。

専門学校で学生に教えていた専門的な知識を現場に戻すという形の転職が、最も自然で収入の維持、あるいは収入アップを実現できる転職につながります。

3.教育以外に「やりがい」を見出すことが大切

専門学校の教師を辞めてからは、「○○先生」から「○○さん」と呼ばれることの違和感、仕事内容が教える側から実践する側にまわるギャップを常に感じることになります。

講師として生活していた年月が長ければ長い人ほど、転職後に「教育」以外にやりがいを感じられなかった人ほど、転職を後悔するかもしれません。

でも、転職後というよりも、転職先が決まった時点で気持ちを切り替えて、「学生を支える立場から利用者(顧客)を支えることをめざそう」というように、やりがいをシフトチェンジしていくことで、転職先にも馴染みやすくなります。