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自社で購入した用地に住宅を建て、そこから個人向けに販売する製造業である、住宅・マンションメーカー。
日本では少子高齢社会という言葉が何年も声高に叫ばれ続け、年々その声は大きくなっています。その影響と長年続く不況の影響もあってか、戸建て住宅を購入する人や家庭の数は減少傾向にあるのです。
しかし、近年では小さい土地に企画した住宅を建て、比較的低価格で売るパワービルダーやマンションの販売業者は業績が伸びている傾向があります。
それでも国内市場はどんどん縮小してきているため、バリアフリーなどの時代に合わせた付加価値をつけ、リフォームを推進したり、海外市場を開拓しようとしている会社が多いです。
「住宅」という、人間が最低限の文化的な生活を送るのに必要不可欠な要素を担う業界なので、一見普遍的に安定しているように見えがちですが、その水面下で住宅・マンションメーカーたちは足をもがいています。
住宅・マンション業界の求人動向
住宅・マンションメーカーの中途採用求人は技術職・営業職問わず多数そして頻繁に求人が出る傾向があります。どこの会社もボーナス前後などの似たような時期に中途採用を行っているため、会社ごとに待遇など比較検討がしやすいです。
ただし、求人の数などの傾向については戸建て住宅・リフォーム・パワービルダー・マンションといった業種ごとに異なります。全体的に中途採用に積極的ですが、中には消極的な業種もあるので注意しましょう。
戸建て住宅メーカー
戸建て住宅メーカーと言えば、大和ハウス工業や積水ハウス・住友林業などといった会社が有名でしょうか。そのほかパナホームやミサワホームなども頻繁にコマーシャルを打っていて、この業界に特に興味がない人でも知っている企業が多いです。
戸建て住宅メーカーは、住宅・マンション業界の中でも特に中途採用に積極的になっています。職種は技術職の数が多いですが、それは種類が多いだけで求人数自体はどれも同程度。業績が伸び悩んでいるところも多いため、経験豊富な営業職の募集も盛んです。
年齢を30代までと制限するよりも、30代前半・40代までと比較的高めの年齢層を応募条件の上限としています。若年者を優遇して採用して長期キャリア形成を図りながら、数年間の経験のある人を数人雇うことによって、有能な人材を増やそうとしているのでしょう。
技術職は学歴高卒以上としていますが、営業職は大卒以上でなければならないというところが多い傾向があります。
パワービルダー
パワービルダーといえば、タマホームや飯田グループHDの一建設が有名でしょうか。タマホームは営業職・工務職・設計職といった三つの職種の募集に積極的です。未経験でも応募可能としていますが、「営業経験3年以上優遇」「住宅営業経験者優遇」と、出来れば経験者を採りたいという意思が営業職では特に強く示されています。
業績が伸び悩む戸建て住宅メーカー同様、パワービルダーも有能な営業職を雇って業績を増やすことに必死なのでしょう。一建設も企画営業職の経験者採用に積極的です。パワービルダーは営業職でも高卒以上という条件で提示しているところが多いので、戸建て住宅メーカーよりも余裕があると考えられます。
いずれにせよ、各地域で積極採用を行っているので、求人は探せばすぐに見つかるでしょう。
マンション業界
マンション業界と言えば、三井不動産レジデンシャルや三菱地所レジデンスといった会社が有名でしょうか。三井不動産レジデンシャルは技術職よりもプランニングやマネジメントといった職種の募集のほうが多いです。時期によっては技術職の正社員採用が無いということもありますし、先ほど述べたような総合職の求人も頻繁には出されないようです。
一方三菱地所レジデンスは同時期でも三井不動産レジデンシャルより多くの求人を出します。事務系総合職や技術系総合職・マンションのアフターサービス業務や品質管理などといったさまざまな職の求人が全国にあり、海外にも勤務地があるとのことです。
住宅・マンション業界の主な募集職種
各営業エリアでの仕入れ営業が、地権者・不動産仲介業者などから情報を仕入れ、その情報に基づいて土地を購入。それから建物の仕様を決めるのですが、内部の設計者が行うことがあれば、外部の建築家に業務委託して行う場合もあるのです。
それから仕様に基づいて購買担当が建築資材を調達し、工事担当者や設備担当者が外部の建築業者に発注をかけ、工事の監督をします。そうして出来た土地を住宅営業者が売るというのが、この業界の大まかな仕事の流れです。
これだけでも多くの人がかかわっていることがわかりますが、それだけではありません。他にも多くの職種の力があって、業界は成り立っています。それではどんな募集職種があるのか、詳しく見てみましょう。
営業職
住宅・マンション業界全体で募集が多いのが、各営業エリアにいる住宅営業職です。全国の支店で人材が必要なため、正社員の中途求人が頻繁に出回りますが、エリア単位での募集人数はそれほど多くありません。全国で探すとすぐ見つかりますが、地域限定だとなかなか見つからないこともあります。
また、転勤の有無によって「総合職」「地域限定職」などという分け方をされることもあり、どちらかといえば総合職のほうが求人が盛んに出回るのです。
住宅営業職の仕事内容は新規見込み客に住宅の提案や資料提示をし、契約をとること。古い民家に飛び込み営業をするイメージがあるかもしれませんが、近年ではほとんど行われていません。たいていは展示場などにいて、来店してきた見込み客の相手をします。
近年、住宅メーカーでは大卒以上でないと中途採用を受け付けないというところも増えてきましたが、住宅営業は全体的に学歴や年齢よりも実力主義の職種です。年収も実力に応じて支払われるため、幅があります。
仕入れ営業は住宅営業職に比べると求人が少ないです。こちらは土地を見に行ったり、不動産仲介業者に訪問したりといったことが日常業務となります。
技術職
住宅・マンションメーカーの技術職には、設計・施工管理・構造設計・見積り・設備・環境エネルギー・安全管理といった職種があります。設計は文字通り住宅やマンションなど建物の設計をし、仕様決定をする仕事です。施工管理は工事を行う業者や職人と現場の橋渡しをしたり、実際の工事現場の管理をする仕事。
設備は電気設備や空調設備・防災設備などの設計や施工管理を行います。環境エネルギーは太陽光発電設備などといった環境に配慮した設備を設計し、施工管理をする仕事です。安全管理は建築現場における安全衛生を管理・指導します。
以上のようなさまざまな技術職がありますが、技術職の中途採用は正社員(転勤有・総合職)の求人や、1年更新の契約社員での求人が多いです。技術職は営業職以上に転勤有の案件が多く、転勤の無い地域限定社員の募集案件はなかなか出回らないので注意する必要があります。
アフターサービス関係の職種
カスタマーズサービスやアフターサービスなど、呼称は会社ごとに異なる場合がありますが、住宅やマンションの定期点検・メンテナンスを行う職種の募集も会社によっては積極的に行われていることがあります。対象者は大抵の場合高卒以上、年齢制限は40歳までです。
住宅・マンションメーカーにおけるアフターサービス・カスタマーサービスというのは、お客様から電話をいただくことから始まります。電話をいただいたお客様の相談(リフォームや修復、定期点検など)を受け、実際に訪問をして点検・メンテナンスを行うのです。ここで行うのは扉が重い・外れた・ねじが緩んでいるなどといった軽い修復のみで、専門技術が必要なら工務店などに委託することになります。
賃貸住宅の管理会社が行ってくれるアフターサービスを思い浮かべれば、大方それで間違いありません。
住宅・マンション業界の主要企業の業績・就業データ
企業名 | 業績 | 初任給 | 平均年収 | 募集規模 | 従業員数 | 平均年齢 勤続年数 |
---|---|---|---|---|---|---|
大和ハウス工業 | 売上:1兆6,497億円 経常利益:1,838億円 |
177,000~218,500 | 8,426,397 | 700~800名 | 14,262名 | 38.2歳 13.7年 |
積水ハウス | 売上:1兆1,486億円 経常利益:1,165億円 |
162,000~218,000 | 7,829,140 | 300~500名 | 13,625名 | 40.7歳 15.4年 |
タマホーム | 売上:1,312億円 経常利益:16億円 |
162,000~189,000 | 5,510,000 | 200~300名 | 2,852名 | 38.0歳 5.3年 |
一建設 | 売上:3,408億円 経常利益:- |
200,000~240,000 | 5,795,000 | 50名~100名 | 1,953名 | 42.6歳 1.7年 |
三菱地所レジデンス | 売上:3,809億円 経常利益:677億円 |
202,000~214,000 | 5,700,000 | 10~20名 | 1,106名 | – – |
三井不動産レジデンシャル | 売上:1兆5,290億円 経常利益:- |
203,000 | 3,000,000~5,000,000 | 10~25名 | 1,879名 | – – |
実力主義・仕事重視の社風
住宅・マンション業界は、どこの会社も実力主義であり、プライベートよりも仕事を重視する傾向があります。営業職・技術職とに関わらず毎日2~3時間の残業があり、有給休暇は2割から4割程度しか消費できません。これは大和ハウスや積水ハウスといった平均勤続年数の長い企業でも見られる特徴です。
タマホームなどの平均勤続年数が短い企業との違いは、福利厚生制度が整っているかどうか、有給以外の長期休暇があるかどうかなどといったことにあります。大和ハウスや積水ハウスは、有給休暇の消化率はタマホームと変わりませんが、夏季休暇や年末年始休暇などといった各種長期休暇の取得が可能な場合が多いです。
教育・研修に力を入れる企業が少ない
住宅・マンション業界は、長期休暇の取得ができる・福利厚生が整っているというところは多くとも、教育や研修に力を入れる企業が少ないです。新卒採用での枠が少なく、中途採用で未経験者の採用があまり無いことからも、それはわかります。
ただし、大和ハウスや積水ハウスといった戸建て住宅メーカーは、未経験者でも応募できる求人が増えてきており、新卒採用の人数も業界内では特に多いです。住宅メーカーは比較的、教育や研修に力を入れていると言えます。