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現在、企業で人事の仕事に就いているみなさん。ここを見ていただいているということは、頭の中に「転職」の二文字がよぎっているのでしょうか。
人事の仕事で得たスキルを活かして転職し、さらに人事の仕事を極めたいですか? それとも転職して、人事とは異なる職種で新たな一歩を踏み出したいですか?
今回は、職種を変えずに転職するケースと職種を変えて転職するケースに分け、それぞれのケースで成功するためのヒントや心得ておくべきことをまとめてみました。
自分のキャリアを整理しよう
転職先で人事職を希望する、あるいは人事以外の職種を希望する場合にかかわらず、最初に取り組むべきことは自分のキャリアを整理すること。
「人事」の仕事は、大きく「労務・採用・教育・制度設計」の4つに分かれますが、自分が4つの業務のうち、どれを経験してきたのか見直すことが「キャリアの整理」の第一歩になります。
従業員数が多い企業に勤めている人の場合、人事の仕事は細分化されていることが多く、4つのうちの特定の仕事に従事していたことが多いと思われます。
一方、従業員数の少ない企業の場合、4つの業務をすべて経験したという人もいるでしょう。
自分が携わった仕事内容と、その仕事によって得たことやつらかったことを書き出してみてください。そして現在、あなたは仕事に対してどのような思いを描いていますか?
「これまで新人教育に携わってきた。今後は採用活動にも携わってみたい」
「人事の仕事は成果が形になって見えず、自分にとってはやりがいを感じることができない。機会があるなら、成果が見える営業職に挑戦してみたい」
自分の思いが明らかになると、転職の方向性も見えてくるでしょう。その先に「転職先でも人事職として働く」または「転職先では職種を変える」という選択肢があるのです。
転職先でも人事職として働くなら
この場合、大きく2つに分かれます。
一つ目は、今の勤め先と同じ業界の企業に転職し、人事職として働くパターン。もう一つは異なる業界の企業に転職し、人事職として働くパターンです。
前者はいちばんリスクの低い転職パターンですが、今の勤め先をあえて辞め、同業界の異なる企業を希望する明確な理由が必要です。
では、後者の「異業界に転職し、人事職として働く」パターンはどうでしょうか。このパターンについて、くわしく述べたいと思います。
じつは人事職の場合、他の職種に比べて異業界転職のハードルは低いといわれています。先ほど挙げた「労務・採用・教育・制度設計」といった人事の仕事は、業界が異なっても基本的には共通しているからです。
ただし「人事→人事」の異業界転職では、業界によって人事面で抱えている課題が異なるということに注意しなければなりません。
たとえば、企業の採用活動に携わってきた人が、その経験が活かせる企業への転職を希望する場合。
現在は商社に勤めているが、今度は小売業界に興味を持っていて、「私の経験を活かしたい」と面接でアピールしても、おそらくミスマッチになるでしょう。
なぜなら、店舗を展開している小売業などは正社員の離職率の高さに悩まされているところが多く、こうした課題を解決できる人材を求めています。
「商社で採用活動を行っていた」という強みだけを強調しても、的外れなアピールになる可能性があるのです。
それでは、業界ごとにどんな課題があるか、簡単に触れておきましょう。
小売業・外食業・介護サービス
こうした業界の特徴として、アルバイトやパートが多い、正社員の勤務時間が長い、離職率が高いといったことが挙げられます。
煩雑な労務管理の効率化や社員・アルバイト・パートのモチベーションアップなどが、人事課題になるでしょう。
また、正社員の新卒採用活動で苦戦することも多く、募集から面接、内定までのフォローにもアイデアが求められます。
IT
人材確保に奔走しているIT業界。採用にかけることができる費用が限られているため、求職者に直接アプローチできるようなフットワークの軽い人材が求められています。
人材データベースなどに登録した人材の中から候補者をピックアップしたり、SNSを活用したりして、人材を引っぱってくる「ダイレクトリクルーティング」という手法が注目されていますが、こうした先進的な取り組みに対応できる柔軟性が必要です。
メーカー
生産拠点を海外に持っているメーカーも多く、海外の事業拠点での採用活動や人材育成、労務管理が課題になっています。
現地の法人では十分対応ができていないことが多く、国内で対応できる人材を求めています。
商社
組織が国内外に及び、かつ複雑化するなか、多様化する組織と人材をどうマネジメントしていくかが課題。
本社とグループ会社の一体感を形成する仕組みづくりなど、広い視野を持って業務に取り組む必要があります。
異業界転職を目指すための心がまえ
現在、小売業の企業で人事の仕事に就いている人が、外食業の仕事に興味を持った場合、人事面での課題で共通点を見つけることは簡単かもしれません。自分が経験したことを活かせる可能性も高いでしょう。
それでは、現在所属する企業とは抱えている課題が異なる業界への転職は、あきらめなければならないのでしょうか?
同業界間での転職や、課題に共通点のある企業よりは、ハードルは確かに上がります。しかし、自分の経験が活かせる点がないか考察する意義はあります。
業界研究にもつながり、面接時に調べた成果をアピールすることは、「私の経験を活かしたいです」とだけ述べるよりも説得力があります。
異業界で人事を希望する場合、転職先でも活かせる自身の経験と業界特有の人事課題をしっかり意識したうえで選考・面接に臨みましょう。
人事職から異職種へのキャリアチェンジ
人事から異職種にキャリアチェンジをしたい理由として、よく挙がるのが「がんばりが数字として見えず、評価されたと感じられない」こと。
職種を変えたいとき、まずは社内で解決できないか検討するのが原則です。社内でキャリアチェンジの制度を整えている企業も増えています。
それが望めない場合、転職によってキャリアチェンジを実現することになりますが、まずは「現在と同じ業界での転職」を念頭に置くこと。
「異業種かつ異職種への転職」は20代後半以降になると、かなりハードルが高くなると考えておきましょう。
それでは、人事からキャリアチェンジが可能といわれる職種を紹介しましょう。
人事から異業種への転職 おすすめ職種
営業
営業の仕事は取引先などとの折衝が中心。仕事が数字となって明確に表れるという点で、人事から転職を希望する人も多いようです。
営業が社外で人と接する仕事なら、人事は社内でさまざまな部署の人と接する仕事。折衝術をはじめとするコミュニケーション能力において、共通する点はたくさんあります。
広報
広報は企業や自社の商品・サービスを対外向けに発信する仕事。華やかなイメージもあり、人気が高い職種です。
人事で採用の仕事、特に新卒採用を担当した経験があるなら、学生に企業の魅力を伝えるするためにさまざまな工夫をしたことは、広報を希望するうえでのアピールポイントにもなるでしょう。
人事コンサルタント
上でも述べたように、人事の仕事は業界に限らず共通している部分が多く、その本質は経営戦略の根幹となるものです。人事のスペシャリストとなって、さまざまな企業の人事部門に関するコンサルティングを行うのも、経験の活かし方として有効でしょう。
コンサルティング会社には、さまざまな業界から人材が集まってきていて、人事部門でも特に制度設計に携わっていたなど、高い専門性を備えた人材を歓迎しています。
キャリアチェンジの心がまえ
「経験が活かせる」とはいえ、キャリアチェンジはそれまでの実績をゼロにすること。キャリアチェンジに向けて、知識を身につけたり情報を仕入れたりするなど、努力を怠らないようにしましょう。
履歴書や職務経歴書、面接では、キャリアチェンジの理由や努力していることをアピールできるように準備してください。
まとめ
人事は企業の経営戦略に関わる業務に携わっているため、比較的汎用性のある職種といえます。企業が求める人材に合致すれば、人事という職種で異業界転職をすることは、さほど高い難易度ではありません。
人事から異職種への転職を希望する場合、人事の業務と何らかの共通点を見いだせる職種に絞るのがポイントです。営業や広報は、接する人こそ異なっていますが、人と折衝したりものごとを調整したりするといった点で人事と共通しているといえます。