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夢を抱いて教師になってからはや10年…。若手とはいえず、ベテランとも言い難い30代の教員には、その年代特有の悩みがありますよね。

一晩休んでおさまるような悩みならまだいいものの、寝ても覚めても学校のこと、生徒のこと、保護者のこと、新任教員のこと、先輩教師のことなどが頭から離れず、辞めたい!と思っている人も多いでしょう。

ここでは、30代の教員として働いていたけれど、辞めたいと思った理由、30代教師がかかえる心と体の問題や、30代教師からの転職先について紹介します。

30代の教員が教師を辞めたい理由を分析

30代で教師を辞めたい理由その1:同期や後輩が次々と休職・育休で仕事の負担が激増

30代ともなれば、同年代の教諭は子どもができたり、後輩の教師も結婚・出産で次々と育児休暇を取得していきますよね。

先輩教員の中には、激務で体調を崩して休職する人も少なくなく、穴埋めの臨時講師は来るものの、前任者と同等と働きができるわけもなく、結局は現場に残された先生が自分の業務のほかにさらなる業務が積まれてしまい、仕事がパンクするのにもう疲れた…という人も少なくありません。

30代で教師を辞めたい理由その2:教頭ほどつらいものはない…そんな出世コースに乗りたくない!

30代まで教員生活を続けていると、教諭のままで生涯を終えるのか、それとも教頭、校長という出世コースに乗るのか…という選択が迫ってきますよね。

社会的地位、給与などを考えれば、やっぱり教頭からの校長コースが最も無難。でも、常日頃職員室で見る教頭は、校長と現場の教員との板挟みで、いつでもだれよりも長時間残業していて、いつでも辛そうにしている…。

こんな風になるのもイヤだし、一生涯教諭で終わるのもイヤだし…という理由で、30代のうちに転職を決心する人が多いのではないでしょうか。

30代で教師を辞めたい理由その3:自分の子育てに専念したい

教師の子どもほど荒れる…というのは昔からよくきく話ですが、学校で生徒の成長を見守るのが生きがいだった20代に比べて、30代にもなると自分の子どもができたり、自分の子どもの習い事がたくさん出てきたりと、自分の子育ても大変になってくる時期ですよね。

残業続きで他者の子どもをみている時間のほうが長いと、「自分の子どもを放っておいて、何が教育だ…?」と自問自答する人も多いのではないでしょうか。

30代教師が転職を決心する心と身体の問題

働き盛りが過信を生む…過労で生じる体調不良

毎日の残業、帰宅してからの宿題の丸付け、成績票の作成、終業時間が過ぎてからの家庭訪問…30代教師の時間外労働は非常に多く、先輩教師に頼れる20代や、後輩教師に仕事をふれる40代教師の間で、毎日過労状態が続いてしまいますよね。

その結果、頭痛、吐き気、めまい、不眠などの体調不良が生じてしまうという現実は、教員生活を続けるのが困難なほどになると、転職したい!という決心へと変わる人が多くなっています。

もっとやれるはずなのに!教育委員会への怒りがストレスへ

日教組がいくら少人数学級をとなえても、なかなか実現にしくい現実を見続け、小1プロブレムなどの具体的な問題に直面している30代教師は、教育委員会からのトップダウンにうんざりしている人も多いものですよね。

このような怒りや憤りは強いストレスとなって、30代教諭の心をむしばんでしまいます。このままじゃいけない、でもいくら自分が頑張ったって、日本の教育は変えられない…そう思うと、転職したい、転職してまったく違う世界で生きたほうがいいのでは…という理由で辞めたいと思ってしまうのは当然です。

30代教師からの転職の不安要素と対処法

転職限界年齢が近づく30代…これからでもまだ間に合うか心配

教師ではなくても、転職市場では「35歳転職限界年齢説」がまことしやかにささやかれていますよね。

30代とひとくちに言っても、31歳と39歳では転職の可能性にもかなりの開きが出てきてしまいます。

30代前半なら、未経験の職種にも挑戦しやすいですが、30代後半ともなると、まったくの未経験では採用が難しくなります。

ただし、30代後半でも、教員生活の中で培ってきたPCスキル、教育スキル、説明力などを応用できる仕事には転職できる可能性が十分にあります。

10年の教員生活が染みついているのに、民間に転職してやっていけるのか心配

30代教師は、上にたてついたとしても、よほどのことがないかぎりクビにならないという特殊な環境下で働いてきたり、業績にかかわらずに給与を支給されてきたという過去があるために、一般企業に転職してその公務員とはまったく異なる世界でやっていけるのかという不安がありますよね。

民間では業績悪化による賞与カット、ベンチャーや外資系では教員の柱だった年功序列も皆無ですから、転職するにあたっての不安も大きいでしょう。

このような場合は、最初の転職先としてはベンチャー企業や外資系企業は避け、できるだけ封建的な企業に応募することで不安が解消されるでしょう。

具体的な転職活動の方法は、「教師から転職!教員を辞めたい方におすすめの転職先と転職成功の秘訣を解説」をご覧ください。

30代教師からの転職で年収アップは難しい?

民間の教育職なら人気が年収を左右する

塾講師などの民間の教育職は、元教師が違和感を最小限に抑えた転職ができる転職先として、実際に選ばれることが多いものです。

しかし、この講師のような民間の教育職となると、顧客である生徒数がどれくらいつくのか、自分が持つクラスがどれくらいの人気があるのかによって年収が左右されます。

まったく人気がなければ年収200万円程度…。でも、全国的に人気のある講師ともなれば、年収1000蔓延は軽く超えてくるため、カリスマ性が大切なポイントとなります。

30代の教師から転職するとなると、若さによる生徒との距離の近さというよりも、「理想的な親」のような立場からのアプローチを行うことで人気の高い講師になれるでしょう。

間接部門への転職では年収ダウンが予想される

一方、30代で事務職などの間接部門への転職は、淡々と作業をこなすデスクワーク、残業時間が少ないなどのメリットがある一方で、30代教師の平均年収(役職なし)の550万円を超える求人はほぼ皆無というデメリットもあります。

30代ともなると、教師でかなりの年収をもらっているわけですから、この年収を超えようと思ったら、やはり営業職などの直接部門への転職が望ましいでしょう。

30代教師からのおすすめの転職先

30代教師の場合、武器となるのは10年近い教員生活で得たスキルや経験です。でも、ある程度長い期間公務員だったという事実は、転職の足かせになる場合もあります。

それにも関わらず、先生を辞めて民間企業に転職した人は、実は少なくありません。では、実際に30代で教員の仕事から異業種・異職種の仕事に転職して成功した人は、どんな仕事に就いているのでしょうか。

塾講師

教師経験年数が1~3年などの短期間だと、塾講師としての実績として不十分だと思われてしまいますが、30代まで教諭を続けていた人が塾講師になった場合、「そのくらい勤務していたなら、教育力も確かなものだろう」と、塾の生徒も保護者も安心させることができます。

また、教育者であることにかわりはないのにも関わらず、学校と違って担任業務まで請け負うことはありません。

さらに事務仕事は事務局に任せてしまえばいいので、主な業務は授業のみで済むというメリットがあります。

IT系営業職

PC関連に強い人は、雇用対象の幅広いIT系への転職もおすすめです。30代からの転職だと、開発職には無理がありますが、教員ならではの説明能力を活かして営業職になるという方法もあります。

30代だからこそ、若手とはまた違った貫禄が出て、説得力が出てくるのと、教員生活が10年近くあるので、説明能力が20代の若手とは別格ですから、企業の戦力となりうるのです。

【体験談】30代で教員を辞めてからの転職例

小学校教諭から飲食店厨房へ転職(30代前半・女性)

教師は本当につぶしがきかず、元々人から褒められるくらいの腕だった料理の世界で生きることにしました。

民間といっても飲食店は技術職なので、料理ができていればよく、買い出しやメニューの考案など、業務が内勤と外勤のバラつきがほどよくあって、メリハリをつけて働けています

年収は20%ほどダウンしたものの、夫の収入もあるので、好きな料理をつくりながら、十分すぎるほどの生活ができています。

高校教師から塾講師へ転職(30代後半・男性)

高校で数学を教えていましたが、卓球部部活顧問もあって元々体が弱かったのもあり、土日出勤や時間外の仕事の多さに体調を崩し、もっと短時間で自分の教育力を活かせる仕事がしたいと思い、塾講師に転職。

30代後半では転職も困難かと思いきや、教材研究の成果や、この年齢までの実績を面接の場で披露したところ、採用していただけました。

塾講師のいいところは、担任業務がないこと、授業が終われば退勤してもよいこと、そして案外給与がよいところです。

もう少し人気が出れば、教師時代と同じくらいの年収に突入できそうです。

中学校教師からIT企業営業職に転職(30代前半・女性)

32歳まで、10年間息も絶え絶えという感じで教師を続けてきましたが、クラスの保護者にいわゆるモンスターペアレンツがいて、精神的に追い込まれて転職しました。

今の会社は中堅どころですが、製品の説明にまわるという仕事をしています。もともと国語教師ですから、文章作成、説明能力は高いと自負していますが、はやり10年という期間で積み上げてきたスキルが買われています。

転職直後は年収ダウンしましたが、今は主任に昇格し、給与もアップしました。教員生活を続けていても、学年主任→教頭→校長という一辺倒な道しか見えていなかったのですが、今後はこの会社以外の道も柔軟に考えられるようになり、キャリアアップもかなり現実的になってきたことがよかったと思っています。