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知的障害、肢体不自由、聴覚障害、視覚障害…など、様々な障害をもつ子どもたちを支援する特別支援学校は、2007年から盲学校、聾学校などの名称から統一され、幼稚部から高等部まで総計6万人を超える児童生徒を抱えていますが、そこに勤務する先生の苦労は、普通学校に勤務する先生のそれとはまったく異なるものですよね。

ここでは、特別支援学校教師として働いていたけれど、辞めたいと思った理由や、特別支援学校教師の転職先について紹介します。

特別支援学校教員が教師を辞めたい理由

障がい児の支援に携わりたい…という思いから、特別支援学校に勤務する人が多いと思いますが、精神的にも身体的にも負担が大きく、初志貫徹できる人はまれなものです。

特別支援学校を教えていると、以下のようなことで特別支援学校教員を辞めたい!と思う人が多くなっています。

  • 覚悟はしていたけれど、生徒の糞尿処理が精神的に辛い
  • 知的障害と自閉症など、合併症が多いと支援が難しい
  • 自分にはそんなつもりはなくても、ひとつの発言で「差別」と敏感な保護者がいる
  • 授業に加えて医療・福祉系機関職員との会議があって忙しい
  • 複数人で担任を持つので、先生との相性が悪いと1年間が地獄
  • 教材作成に芸術的なセンスと技術が求められ、自分が作る教材は採用されない
  • 生徒の急な体調の変化に戸惑い、短時間で適切な処理ができない
  • 普通校と比べて排泄処理などの福祉色の強い仕事も多く、特にまったく経験のない新任の先生の中には、初めての糞尿処理で転職を考える人も多いものですよね。

    生徒はかわいい、成長するのを見守るのは楽しい。だけど…。特別支援学校ならではの悩みを抱え、辞めたいと思う先生は少なくありません。

    特別支援学校教員は、福祉以外の業種で活躍することはできるのか?

    普通校教員とは異なる特性を持つ特別支援学校の教師…転職先は福祉系が多め

    特別支援学校の教員は、どちらかというと介護職などの福祉職に近く、普通校の先生のような完全な教職とはまた違った特色がありますよね。

    児童生徒の短所を見つけるのではなく、長所を見つけてそこを伸ばすという形の教育が行われている特別支援学校教諭の多くは、福祉系の仕事に転職していくことが多いものです。

    しかしながら福祉系の仕事は全般的に給与が低いことで有名であり、公務員として高い水準の年収を維持してきた人の中には転職を後悔する人もいます。

    20代~30代の転職可能性

    上記のような事情がある20代、30代の場合は、未経験の業種・職種も可能です。特に20代のうちであれば、特別支援教育の経験は別として考え、これからの成長性、ポテンシャル、特別支援教育を志そうと思った福祉の心を買われて、さまざまな分野で採用される可能性があります。

    40代からの転職可能性

    40代からの転職は、どの業種でもそうであるように、未経験分野への転職はほぼ不可能というくらい厳しいものです。

    ただし、ある程度年齢を重ねているからこそ福祉系の仕事で管理職として転職できる可能性があります。

    福祉or企業…転職先で変わる年収

    【福祉系】社会福祉法人や株式会社が運営母体の福祉施設職員

    知的障害児等の放課後デイサービスなど、福祉施設に転職するという選択肢があります。

    中でも放課後等デイサービスなら、夜勤もなく、残業も少ないので、特別支援学校での時間外労働の多さに疲れた人にはおすすめの転職先です。

    年収は運営母体によってさまざま

    社会福祉法人が母体の場合は、年収は250~300万円と、教員時代よりダウンしてしまうことは間違いありません。

    一方で株式会社が運営している場合は250~400万円と、その企業の方針や業績によって差があります。

    また、企業が経営している方が賞与が少し高いという傾向もあります。

    管理職なら年収400万円~という求人もあるため、特別支援学校で長年の経験と実績のある先生なら、管理職転職がおすすめです。

    【福祉系】病院やクリニックで言語聴覚士等の資格を活かす

    言語聴覚士の資格を取得している先生は、学校現場ではなく、医療の現場で活躍することもできます。

    言語障害、コミュニケーション能力に障害を受けた患者さんにリハビリを行うことがメインの仕事となります。

    病院勤務は高収入も

    病院勤務の言語聴覚士の平均年収は450万円前後です。特別支援学校での勤続年数にもよりますが、多くの場合において、年収アップとなるケースが多くなっています。

    さらに病院は福利厚生がしっかりしているので、食堂の利用、保険関係、退職金などは学校に引けを取りません。

    特別支援学校教員からの転職体験談

    特別支援学校教師から病院勤務の言語聴覚士へ転職(30代後半・男性)

    転職を決めたきっかけ

    自分の要領が悪いのもあって、残業が多く、体調を崩したことがきっかけです。

    転職によって生じたメリット

    教師独特の閉塞感がなくなったこと。チームで連携することの素晴らしさを実感できたこと。

    年収は変わった?

    勤務している病院は、賞与が年間で4.5か月分出るので、その分で年収は少しアップしました。

    また、教師時代は時間外手当はありませんでしたが、病院ではきっちりつくので、その面でも差が出ていると思います。

    特別支援学校教師から認定こども園へ転職(20代後半・女性)

    転職を決めたきっかけ

    妊娠・出産を経て、ハードワークなこの仕事を続けられないと思ったことです。

    転職によって生じたメリット

    こども園には、自閉症児や軽度の知的障害児も統合保育で入園してくるのですが、月齢が低いので対応に困りません。

    年収は変わった?

    予想はしていましたが、100万円近くダウンしました。でも非正規雇用で勤務時間も短く、自分の子育てにも時間を割けるのでよかったと思っています。

    特別支援学校教員から放課後等デイサービスの責任者に転職(30代後半・男性)

    転職を決めたきっかけ

    児童発達支援管理責任者の資格が取れたから。かなり以前から特別支援学校での教育に疑問を感じていたから。

    転職によって生じたメリット

    資格取得までには講習を受けたり大変なこともありましたが、子どもたちに必要なこと、放課後にできる支援を考えて、実践できる力を持てたことです。

    年収は変わった?

    年収は、ほんの少しですがアップしました。元々児発管の資格を取ったのも、この年齢なら管理職として転職したかったからです。

    自分のように資格をとらずに同じような施設に転職していった教師は、ほとんどが年収ダウンしています。

    30代後半からの転職では、福祉系でも資格取得が必須だなと思いました。