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いわゆる「大卒ニート」にあたる人は近年増加してきているのですが、ニートを抜け出そうと就職活動をするにもその道のりは平坦なものではありません。

とはいっても、社会復帰を果たすためには自立して職業を持つことが不可欠ということになります。

実は、大卒ニートにはしっかり大学を卒業しているがために陥りがちな問題がいくつかあります。この記事ではその問題点を洗い出した上で、就職活動に成功するためのヒントをお伝えします!

大卒ニートの就職は難しい?

そもそも、就職活動を行うにあたっては職歴の空白期間が長いほどに成功率が低くなってしまいます。

大卒ニートはアルバイト歴もなくまったくの無業状態ですから、フリーターと比較してもキャリアの面ではハンディキャップがあるのです。

一般的な見方として大卒ニートの就職は難しいとされているのですが、事実をしっかり把握するためにも大ざっぱなイメージだけでなく具体的な理由をくわしく見ていきましょう!

職業に対するこだわりの強さ

そもそも、大卒でニートになってしまう背景には職業に対するこだわりの強さが関係しています。「大学で学んだ自分にはもっと適した仕事があるはず」と考えて就職活動を放棄するか、新卒で就職したとしても満足感が得られず退職してしまうのです。

それから就職活動をするにしても大手企業などへのこだわりを捨てることができず、当然ながらアルバイトなどの非正規雇用は論外。

就活をするにあたってぶれない気持ちを持つことは大切ですが、結果が出ない状況が続くとそのこだわりが足を引っ張ることになり最後にはニートとなってしまいます。

やがてニートから抜け出そう、そろそろ本気を出そうと改めて就活をしようとしても同じ考えを持っている限りは難しいでしょう。

社会復帰への心理的な不安

いかに大卒とはいっても、ニートをしている間で人間的に大きな成長を見込むことは難しいもの。また、外へ出ることのない生活をずっと続けてきたために社会との接点がまったくありません。

社会復帰は生活のリズムを180度変化させた上で実現するものですから、そこへ至るまでの心理的な不安を考えるとなかなか前へ歩みを進める決心がつかないものです。

企業側の見方

人材を採用する企業の側では、大卒ニートについて学歴はあることから十分な学力は持っていると評価しています。

ただ、社会経験が絶対的に不足しているためコミュニケーションスキルが大きな問題とされています。

学力が高いことは過剰な自信へつながりがちであり、学力とビジネススキルは比例するものではないのですが大卒ニートであるとそこを考え違いしがち。

そのため自分の現状を客観的に分析することができず、なかなか将来性のある人材として評価されないのです。

まずは心を就職に向けて

就職するということは社会の中で生きることであり、外の世界とのかかわりを断っている大卒ニートはそのままの状態ですと適応することが困難です。

いきなり職に就くということではなく、まずは就職へ向けてビジネスマンとして生きていくことができるよう基本的な「人間力」を身につけることから考えると良いでしょう。

家族への依存から抜け出す

大学を卒業してからずっと仕事をしていないとなると、当然ながら貯金を増やしていくことなどは難しいもの。

一人暮らしをするにしても実家で生活するにしても、家族に対して大きく依存することになります。ですが、ニートでいる人の多くには共通して他人に対する関心が薄いという傾向が見られています。

それは家族に対しても同様であり、食事を用意されてもお金を都合してもらっても当然のことであるように思ってしまいがち。

社会の中で生きていくことを考えるにしても、周囲からの助けがなければどうにもなりません。まずはもっとも身近にいる家族の存在を当たり前であると思わず、感謝することからスタートしましょう。

そして自分のことは自分でするという意識を持っていくことで、おのずと考え方が変わっていきます。

コミュニケーションの経験を深める

大卒でニートになった場合、社会の中で人とコミュニケーションを取った経験が絶対的に不足しています。

ですが、コミュニケーションスキルこそどのような仕事をするにあたっても基本中の基本となる力。

スキル不足であると判断される場合には、実務面でも次のようなことが懸念されてしまいます。

  • 職場での協調性に欠けチームワークを乱す
  • 上司や同僚に対する人間としての尊重や配慮に欠け自分勝手な仕事をする

もちろん就職活動をするにもコミュニケーションは不可欠であり、閉じこもっている限りはスキルを磨くにもマイナスにしかなりません。

直ちに就活へ臨むことに不安があれば、その「前段階」として以下のようなことに取り組んでみましょう。

  • まわりの人たちと頻繁に言葉を交わす
  • アルバイトや職業訓練などの機会を通じて外の空気にふれる

大卒ニートの就職活動で大切なこと

ずっと大卒ニートだったとは言っても、就職活動をする以上は前へ進もうとする意思を持っているということ。

一般的に学歴はアピールポイントとなるものですが、必要以上に固執しすぎてはいけません。ニートだった時期を消すことはできませんから、あらたに実務へつながるものを身につけて「売り」としたいところです。

「テンプレ」通りの就活では難しい

大卒ではあっても、職歴がないニートでいた以上はどうしても就職活動で不利になってしまいます。

一般的な「テンプレ」通りに就活しているだけでは、なかなか良い結果は生まれにくいでしょう。

学歴があるとしてもそれは過去の話であり、企業が学歴に注目するのはあくまでも新卒採用についてのことです。

極端に学力が低いとなればマイナスの評価になる反面、一定水準以上の学力が特別なプラスになることはないでしょう。それよりも、コミュニケーションスキルなどビジネスに役立つ力がアピール材料になります。

即戦力が求められている中途採用で大手企業への就職に夢を抱いても、現実的ではありません。職歴は問わずやる気を買ってくれる企業など、大卒ニートという立場に関係ない人物評価をして受け入れてくれる就職先を探すことに力を入れるべきです。

積極的にサポートを活用すべし

大卒ニートの就職活動では、大卒者であるというプライドが邪魔して一人で何とかしようとしながら行き詰まってしまうことが往々にしてあります。

置かれている状況にかかわらず、親身に相談に載ってくれる就労サポートがいろいろとありますから積極的に活用しましょう。

以下、一例です。

  • ハローワーク
  • ジョブカフェ
  • 就職エージェント

就職情報サイトにしても、大卒ニートを含む既卒者や第二新卒者が応募対象となっている求人に特化しているサイトでは効率的に情報を探すことができます。

大卒ニートの就職体験談

大卒ニートという「職の空白期間」を経て、立派に社会への復帰を果たした人はたくさんいます。

「先人」たちがどのようにして就職活動に挑んで成功したのか、就職体験談をご覧ください!

Sさん(26歳男性)

どういう経緯でニートになったんですか?
大学へ行っていた当時はどちらかというとアクティブな方で、子どもの頃から車が好きだったので早く免許を取ろうとコンビニバイトでお金を貯めていました。

ですが、卒業前の春休みに友達の車でドライブへ出かけたとき事故に遭ってしまったんです。

外へ出ることがこわくなってしまい、内定を受けていた会社にも行くことができずそのままニートになりました。

就職体験談を教えてください。
大学を卒業してからは実家の農作業を手伝うぐらいの日々だったのですが、2年が経つ頃になるとテレビの旅番組などを観て車で行ってみたいという気持ちが少しずつ戻ってきました。

すると、それを察してくれた両親が自動車学校へ行くために必要なお金を出してくれたんです。他に何もしていなかったので1ヶ月ほどで免許を取ることができ、新車も両親からプレゼントされました。

車という「武器」が得られたことで勢いづき、学生時代に内定をもらっていた自動車業界で働きたいという気持ちがよみがえってきたことでいよいよ就職活動をすることに。

1年あまりハローワークからの紹介や就職情報誌の求人に頼っていましたが、残念ながら結果は出ませんでした。行き詰まっていたとき、ネットで情報を探していて就職エージェントという存在を見つけたんです。

担当者さんからは、自動車業界にこだわらなくても車とかかわる機会が多い仕事であれば良いのではないかというアドバイスを受けました。

確かに「したい仕事よりできる仕事」という発想は持ったことがなく、結果的に紹介を受けた仕事は運送会社の長距離ドライバー。今は毎日の大部分を運転して過ごす日々で、もっと効率的に走りたいといつも模索しながら仕事をしています。

Yさん(28歳女性)

どういう経緯でニートになったんですか?
私は小さい頃からディズニーのアニメ映画を字幕で観るなど、とにかく英語が大好きでした。

できれば英語を使った仕事をしたいと漠然と思っていたのですが、それに反してあがり症気味だったので大学時代の就活は全然うまくいきませんでした。

面接での失敗続きで面接を受けること自体が嫌になってしまい、結局卒業してからニートの道へ…。

就職体験談を教えてください。
英語の勉強は独学ながら続けていて、英語力に関しては勝手に根拠のない自信を持っていました。ですが、ニートですから本当にビジネスで英語が通用するかどうかなんてわかっていないんです。

大学を出て5年しても社会とのかかわりは全然なく、家にかかってきた電話に出るだけでもあがり症を発動する始末。

ですが、20代も後半になってこのままでいては人生の先行きがないのではないかとようやく就活を決心。ハローワークへ行ってみたのですが、あがり症の本領を発揮して見事にろくな会話をすることもできませんでした。

英語の勉強をしていることだけはなんとか伝えたところ、英語力を高める職業訓練について教えてもらい受講することに。

独学で勉強していた内容とはまったく違ってビジネス英語が中心で、英語での電話対応なども勉強になりました。不思議なことに英語で話している間はあがり症も気にならなくなり、その後翻訳の仕事に就くことができました。

なぜか英語にふれているときは緊張しない私にとって、本当に適職と出会うことができたなと実感しています。

Nさん(26歳女性)

どういう経緯でニートになったんですか?
大学に何とか入学することができたというぐらいの私は、学力に自信があるわけでもなく学校で単位の確保に苦戦する日々。

こんなことでは就職が厳しいだろうなと思っていたところ果たして、まったく就活はうまくいかずじまい。

なんだか何もかも嫌になって、卒業してからはアルバイトもせずに実家でゴロゴロしていました。

就職体験談を教えてください。
ずっと人にも会いたくなかったんですが、卒業して3年目になって友達がずっと断っていた同窓会にどうしても来てほしいと熱心に誘ってくれて。

行ってみるとなんとなくは予想していたものの、社会に出て忙しくしているクラスメートたちが楽しそうでどこか悔しい気持ちになりました。

そこで正社員になるぞ、就職するぞと決心した私ですが3年もニートをしていてどうなんだろう?と…。大卒ニートの就職についてネット検索してみたところ、就職エージェントというものがあると知ってさっそく登録しました。

すると、学がないので雇ってもらえればどんな会社でも良いと思っていた私に担当者の方が介護の仕事はどうかと話してくれたんです。

今まで全然考えたこともなかった仕事だったながら、直観的に挑戦してみようかなという気持ちに。1ヶ月ですぐに介護職員初任者研修を修了したことも評価してもらい、地元の事業所で採用していただきました。

勉強はできなくても、求められていることを直感で感じての仕事にやりがいを感じています。

Hさん(24歳男性)

どういう経緯でニートになったんですか?
大学生のうちは具体的に就職のビジョンがかたまらず、曖昧なまま就職活動をしていたのでやっぱり通用しませんでした。

エントリーした企業からはオール「お祈りメール」が届き、かといって何をどう改めれば良いかもわからない感じであきらめモードに。

結局就職に対する自分のビジョンが大学を出るまで明確にならなかったので、卒業しても何もせず過ごしていました。

就職体験談を教えてください。
自分の中にはずっと、「何かはしたいけれど何をすれば良いかわからない」という気持ちが渦巻いていました。

いろいろな情報を取り入れれば変わるものがあるかと思い、引きこもってはいましたが新聞や本をたくさん読むようにしていました。

そのうちに、「自分のためにすることが思いつかないのであれば社会のために貢献することを考えれば良いのではないか?」という思いが。

そこで、小さなことなのですが地域の清掃ボランティアに参加することからスタートしました。その後、地元のNPO法人で自分と同じように引きこもっている若者の自立を支援するボランティアスタッフとして活動するように。

その姿を見てくれていた理事長から正式に職員として就職しないかと誘っていただき、今は正職員としてやりがいを感じながら働いています。

まとめ

誰でもなりたくて「大卒ニート」になったのではなく、さまざまな悩みや環境がかかわっているもの。

漠然の就職を考えていても何も変わりませんから悩みがあれば解決へ向けて、環境の問題があれば何かが変わるように何らかのアクションを起こすことが必要です。

一人でできることには限界がありますから、ニートという状況を恥に感じることなく家族をはじめとして種々のサポートを受けるべき。

決して平坦でない就職への道は本人の努力と周囲の理解、助力があることによってはじめて拓かれるのです。