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私は以前保育園で働いていましたが、現在は異なる仕事をしています。
4年制大学を卒業して22歳で働き始めてから5年間、保育士として勤務していました。私を含め、女性ばかりの職場でしたが、世間で言われている人間関係の悪さなどの問題は幸運にもありませんでした。
そして、27歳で結婚を機に県外へ引っ越すことになり、勤めていた保育園を辞めて転職先を探すことになりました。
保育士の資格を活かす転職をしなかった理由
保育士資格はあるのですから、再び保育園で働くことも可能でした。そうしなかったのには3つ理由があります。
一つ目は、給料の安さです。関東から東北地方へ引っ越したのですが、もともと安い保育士の賃金が、さらに低くなっていたのです。それは正社員、パートタイム両方です。
園が変わっても、県が異なっても仕事の内容が格段に楽になるとは考えられないので、これ以上賃金が低くなってしまうのであれば、という理由からあきらめました。
二つ目は、少し述べましたが仕事の大変さです。残業は当たり前で長時間勤務になります。その上休日出勤や持ち帰りの仕事もあります。これらに対し、賃金が出れば良いのですが、全くと言って良いほど出ません。
三つ目は、心身にゆとりをもって新婚生活を送りたかったのです。前述したように、ハードな勤務形態では家事をこなし、主人を支え、子供を産み育てる…といった当たり前の「奥さん」の仕事ができないと感じたのです。
非常に責任のある仕事ですから、家庭でも仕事のことばかりを考えてしまっていました。よって、私が次に求めた勤務先の条件としては、労働時間に見合った賃金が支払われ、物理的にも心理的にも家庭に仕事を持ち込まないこと、でした。
ハローワークで近所の求人を中心に職探し
転職活動には、ハローワークを利用しました。地方だったこともあってか、スタッフの方々はとても優しく、暖かくサポートしてくださいました。主に利用したのは検索ブースでしたが、居心地はとてもよかったです。
ただ、引っ越したばかりの土地では土地勘もなく運転にも自信がなかった私は、近所で職を探そうと思ったのです。扶養内で働こうと思うと時給制で十分でしたので、近所のスーパーや飲食店で求人を出しているところがないか探しました。
学生時代にも飲食店でアルバイトをしたことがなかったので、経験してみたいと思い、とんかつ屋さんでパートタイムで勤務することになりました。
そのとんかつ屋さんは、時給800円でまかない付き、という一般的な飲食店の勤務形態でした。
転職は成功!そして、気づいた保育士時代の経験の大きさ
正社員ではないので年収は下がりましたが、私は、保育園で再び働かなくて結果的によかったと思います。実際に、ハローワークで提示された保育士のパートタイムの時給よりも高かったのです。
仕事内容は、保育士の方が大変であると感じました。もちろん、サービス残業も持ち帰りの仕事もありません。そして、帰宅してから仕事のことについて悶々と悩むこともありません。
確かに、年収は下がりました。しかし、あの頃、定時以外での仕事をしている時間を計算して時給に換算すると・・・500~600円だったように思います。
責任の少ない、飲食店のパートタイムで働いたことで、時間にも気持ちにもゆとりができ、楽しい新婚生活をおくることができ、転職をしてよかったと思っています。
ただ、とんかつ屋には、かわいい子供たちの笑顔はありません。一生懸命準備して取り組んだ行事の達成感もありません。子供たちの成長を喜び合う、相談し合う先生たちもいません。「先生のおかげでこんなにこの子は成長しました!」と卒園式に涙を流してお礼を言ってくれる保護者もいません。
保育園でのやりがいや楽しさは、飲食店のパートタイムでは味わえません。働いていたときは「早く辞めたい!」と思っていた保育士の仕事ですが、いざ他の仕事をしてみると、楽しかったと思えるから不思議です。
家庭を持ちながら保育士の仕事をするのは私には難しく、今後も復帰する予定はありません。しかし、あの頃必死で働いた経験と子供たちとの思い出を考えると、やってよかった、と思うのです。